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難民問題

村藤功 企業財務 M&A

15/10/27


今回は、難民問題について話します。特にシリアからトルコを通って、ドイツの方へ向かった難民が問題になっています。

シリアにはもともと、国民に化学兵器を使ったアサド政権と、アメリカなどの支援を受けた反体制派の二つの勢力がありました。ところが最近になってイスラム国ができたことで、シリアには三つの勢力が存在することになりました。三者が争う中で、約2000万人いた国民の2割にあたる400万人が、周辺国に逃れました。当初はヨルダンやレバノンの難民キャンプにいましたが、収容能力を超えて生活環境が悪化したために、彼らはさらに遠くへ移動し始めました。

そのルートのひとつが、バルカンルートと呼ばれるもので、今やメインルートとなっています。トルコからギリシア、マケドニア、セルビア、ハンガリーまたはクロアチア・スロベニア、オーストリアなどを経て、ドイツや北欧を目指します。しかしハンガリーがクロアチアとの間の国境に鉄条網を作って難民の入国を阻止したがために、シリア難民はクロアチアからスロベニアを経て、ドイツへ向かうようになりました。

先ほどシリアから400万人の難民が出てきたという話をしましたが、そのうちの200万人がトルコへやって来ました。トルコは彼らを一時滞在扱いにしていますので、安定した生活基盤を確立するための機会は限られています。そこで難民は、東欧へ向かいました。しかし東欧は、冷戦が終わってようやく生活が豊かになってきたところです。ここで難民を受け入れたら、冷戦の頃の不幸な時代に逆戻りしてしまうのではないかと人々は心配しています。またグローバル化や多様化に、ハンガリーをはじめとした東欧諸国は対応できていません。ハンガリーが鉄条網を築いた背景には、こうした事情があります。

難民は移民と異なり、元の国に戻ると殺されてしまうかもしれない人たちです。したがって国際的に、各国がある程度受け入れることが求められています。そのためにEUは先日、16万人の難民をEU全体で受け入れることを表明しました。東欧諸国は大反対していましたが、多数決で無理矢理決めたのです。そこで16万人の難民を受け入れることにしたのですが、先ほども話したように、欧州を目指す難民がトルコには200万人います。EUはお金を払う代わりにトルコに彼らを留めておくことを、トルコに求めています。その代わりに、トルコがEU加盟を求める話も出てきています。一方で、シリア難民は、EUだけの問題ではありません。アメリカはこれまで年間7万人の難民を受け入れてきましたが、今後は7万5千人の難民を認める予定です。オーストラリアなどの各国も、難民の受け入れを表明し始めました。

難民問題の解決には、シリア問題の解決が不可欠です。そのためにフランスは、シリアのイスラム国空爆に参加することにしました。ロシアはアサド政権支援の立場からイスラム国を空爆するといいながら、アサド政権に対する反体制派をも空爆し始めています。そのことについて、欧米は怒っています。このようにシリア問題は、どんどん混沌としてきているのです。

一方日本では、ほとんど難民を受け入れていません。2014年には、5000件の申請に対して11人が難民として認定された程度です。アップル創業者のスティーブ・ジョブスはシリア移民の子孫であり、グーグル共同創業者のセルゲイ・ブリンは旧ソ連からアメリカに逃れてきた人物です。優秀な人材を確保することを鑑みれば、日本もお金を支払うだけではなく、難民をもう少し受け入れていいのかもしれません。

今日の話をまとめます。
国際紛争が解決されないと、難民問題は拡大し続けます。最近では、バルカンルートでドイツを目指すシリア難民が増加しています。EU全体で16万人を受け入れることになりましたが、入り口であるトルコに200万人がいる現状、解決の兆しは見えません。シリア問題と難民問題、この二つをこれからどうにかしていかなければなりません。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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