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中国

村藤功 企業財務 M&A

15/10/26


今回は、中国の情勢について話します。

中国の経済成長が鈍化してきましたが、それでもなお7%成長を目指しています。これまで10%や8%を目標としていたことを踏まえると、7%という数値は低いものではあります。2、30年もゼロ成長の日本と比べれば、高度成長であることに変わりありません。ところが最近になって、今年の上半期は5%程度であったと言われ始めました。中国は7%成長を今年に達成すると言っていますが、実際には5-6%止まりになるのではないかという懸念が生まれています。その背景には深刻な環境問題のために、北京や上海に住んでいた人々が逃げ出し始めたなどの事情もあります。これからは、安定成長で良い社会を目指さなければなりません。そこで、ニューノーマル成長で7%と設定したのです。

中国の産業競争力も、ミドルに落ち込んでいます。中国には、世界で一番良いものをつくる能力も、一番安いものを一番安い労働力で作る能力もありません。欧米や日本のような先進国のように、研究開発において世界一になることは難しいです。また安さに関して言えば、インドやアフリカに軍配があがります。中国は現状、中途半端なところでじたばたしています。ラテンアメリカ諸国を見ると、どの国も中進国にはなったものの、それより先には行けていません。中国も同様に、どこかで止まる可能性が高いのですが、そのどこかがどこなのか、今のところよくわかりません。

中国のような大国の経済成長がスローダウンすると、いろいろなところで影響が出てきます。たとえば、これまで山のように鉄鉱石や石炭などの資源を輸入してきましたが、それも既に20~40%も減少しています。国内では消費しきれない安価な鉄鋼が世界にあふれ、代表的な鉄鋼製品のアジア価格は1年で4割下がったとも言われます。日本が作っている量と同じくらいの量を中国が輸出するために、これまでは各国において自国の鉄を自国の鉄鋼会社が作っていましたが、そうもいかなくなっています。タイの鉄鋼会社の稼働率は3割にまで落ち込み、10月初めにはサハウィリア・スチールが経営破綻しました。アメリカのUSスチールは高炉の一つを閉鎖し、タタ製鉄もイギリスでの一部の操業を止めました。世界中の鉄鋼業界が、中国の輸出にやられ始めているのです。

国内の成長が止まった以上、国外で競争力を強化しなければなりません。そこで中国は、国内1位と2位の鉄道車両企業である北車と南車を合併することで、世界2位のボンバルディアの4倍の売り上げを持つ巨大車両会社を作りました。また海運では、中国遠洋運輸と中国海運を合併し、国際競争力を高めようとしています。また中国では25基の原子力発電所が稼働しており、26基を新たに建設中です。これまでは年間に3から5基程度の原子力発電所を新たに作ってきましたが、来年から始まる13次5か年計画ではその数を6基から8基に増やす予定です。その結果、2030年には、アメリカを上回る110基以上の原子力発電所を稼働させることになります。中国は、原子力発電所を高速鉄道と並ぶ輸出戦略の目玉にしようとしているのです。国外で高速鉄道や原子力発電所を作ることができるようにすることで、経済成長を目指します。その結果、現地の人々の売上や利益を喰うことにもなるでしょう。

最近では、中国の人たちが日本へやって来て、爆買いを行うようになりました。一部の人たちは日本人以上にリッチになったので、海外でたくさんの買い物をしています。ヨーロッパでは、世界の高級ブランドの三分の一を中国人が買っていると言われています。

今日の話をまとめます。
中国の経済成長が鈍化し、目標の7%成長の達成も怪しくなってきました。消費が伸びず、いろいろなところで過剰な在庫や設備が生まれています。成長が止まると中国は鉄鉱石や石炭などの資源を輸入しなくなるため、それらの値段が少し下がってきました。また中国に輸出する日本企業の業績も悪化しています。中国の存在感が巨大化するにつれて、世界の経済や産業への中国の影響が大きくなっています。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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