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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > オンラインMBA:SPOC新しい学び方 (戦略思考/荒木博行)

オンラインMBA:SPOC新しい学び方

荒木博行 戦略思考

15/10/09

今回は、オンラインMBAについて話します。
前回には、オンライン教育のトレンドについて三つのキーワードをもとに説明しました。本日はさらに、SPOCs(Small Private Online Courses)という学び方をキーワードとして付け加えます。SPOCsとは、日本語に訳せば、小規模限定型オンラインコースとなります。

我々が考える問題や課題は、「正解があるもの」と「正解がないもの」に分けられます。算数などは正解がある典型的な領域でしょう。正解があり、そして正解に至るまでの正しい道のりがあります。したがって、もし正解に至らなければ、どこのプロセスに問題があったのかということが分解できるので、何を鍛えればいいのかも具体的になります。

例えば、一次方程式の正解率が上がらない場合、四則演算や等式の性質、少数・分数の概念などのいずれかの項目に立ち戻ってしっかりトレーニングすればいいのです。そのトレーニングには、今まで紹介したような手法論、つまり、モジュール化したコンテンツを適切に紹介し、ゲームやコミュニティ機能を活用してモチベーションを維持する反復学習の仕組みを用意すれば効果的でしょう。

しかし、課題には必ずしも正解があるものばかりではありません。特に我々がビジネス上で直面する多くの課題には普遍的な正解はありません。
ビジネスは極めて複雑な因果関係の中に置かれています。1日前はうまくいった意思決定も1日経って環境が変わった瞬間にうまくいかなくなるということが日常的に起こります。ある事業で成功した手法も、置かれた環境が微妙に異なる事業では失敗要因になり得ます。厄介なことに、仮におかしな意思決定をしても、その後の実行段階でパフォーマンスを高められれば結果的に成功となる「結果オーライ」ということさえあります。つまり、ビジネスにおける意思決定、というのは、普遍的・汎用的な正解はなく、その時の環境次第の「ケースバイケース」でしかありません。

そして、このケースバイケースにおける最善解を導き出していくためには、「正しく環境を分析する力」「そこから新たな発見を見つける洞察力」「仲間と意見を戦わせて仮説を作り上げるディスカッション力」「最終的に右か左を決める決断力」・・・といったことの「高度な合わせ技」になります。

こういった合わせ技を習得するには、やはり擬似的な環境を作り上げて意思決定経験を積み重ね、「体得」していくしかありません。もしサッカー選手が「ここ一番の場面での判断力」を高めようとしたら、プレッシャーのかかる試合での試行錯誤を繰り返すしかないのと同じです。

そして、前回ご紹介したオンライン教育の手法は、具体的な知識の習得や細分化しやすいスキル獲得には強みを発揮しますが、このような因果の複雑に絡み合った「合わせ技」「総合力」の習得においては限界があります。
そして、こういった「総合力」を鍛えるのに適した手法として、SPOC形式が注目されているのです。

SPOCとは、少人数の限られた空間の中で、意見交換を通じて学びを深めていく、というスタイルになります。AI(人工知能)を相手に反復を重ねるのではなく、既に録画されたコンテンツを一方通行で視聴するのでもありません。教室で行われる双方向で生身の議論をオンライン上に移植した、ある意味「オンラインとオフライン(通学型)の融合型」と言ってもいいでしょう。

グロービス経営大学院は2014年10月よりオンラインMBAというサービスを開始しましたが、我々が採用した手法はこのSPOCになります。
グロービスではSPOCをどのように運営しているのかを簡単にご紹介しましょう。

まず1クラス当たりの人数は30名前後という規模で運営しています。一般的なSPOCは小規模といえども百~数百名規模ですが(それでも数万~数百万人を対象とするMOOCよりは小規模)、グロービスでは全員で議論できるように、さらに人数を絞った形で行っています。全てのクラスは決められた時間(90分間)に全員がログインして行うライブ形式で行います。録画視聴は欠席者向けの補完サービスとして行っていますが、その時間にライブの議論に参加できなければ出席にはなりません。

90分間の設計スタンスは、「1人で完結できることは個人ベースで行う」、そして「集合した時間内には徹底的に議論を行う」ということを基本としています。

議論のフォーマットは、口頭ベースもあれば、テキストベースのチャットもあります。チャットの議論はオンライン特有の形式ですが、極めて効果的です。教室では1人が意見を言っている間、残り全員はそれを聞いているしかないのですが、チャットであれば全員が同時に意見表明することができます。講師はtwitterのタイムラインを見る感覚で、受講生全員のスタンスを理解することができます。もしその中で興味深い意見があれば、指名してより具体的な発言を求めることもできます。教室では埋もれてしまうような意見も、チャットによってすべて可視化できるわけです。

90分間息もつかせない速さで「問いかけ」→「意見表明」→「プレゼン」→「フィードバック」→「まとめ」というサイクルを回し続けます。このサイクルを回し続けることにより、緊張感のある環境下で意思決定することの「経験値」を高めることができるのです。

今後はこのSPOCsという手法を取り入れていくサービスも増えていくものと考えます。ぜひ注目していてください。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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