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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 京セラの経営哲学から見た7つの習慣:(8)まとめ② (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

京セラの経営哲学から見た7つの習慣:(8)まとめ②

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

15/10/13


1 京セラの経営哲学から見た7つの習慣:概説1 2 概説2  3 概説3 4 概説4  5 第1の習慣「主体性を発揮する①」6 第1の習慣② 7 第2の習慣「目的を持って始める①」 8 第2の習慣② 9 第3の習慣「重要事項を優先する①」10 第3の習慣② 11 第4の習慣「Win-Winを考える」① 12 第4の習慣② 13 第4の習慣③ 14 第4の習慣④ 15 第5の習慣「理解してから理解される」① 16 第6の習慣「訴状効果を発揮する」① 17 第6の習慣② 18 第7の習慣① 19 第7の習慣 20 まとめ① 21 まとめ② 

(1) はじめに
これまでスティーブン・コヴィー(米国人)が書いた『7つの習慣』という本の内容を、京セラ哲学の観点から解説してきました。そして、この『7つの習慣』の内容が、非常に京セラの経営哲学と通ずるところがある、ひいては東洋的な考え方と似ている、ということをお話してきました。今日は、どういうところが似ているのか、ということの最終的なまとめです。

(2) 7つの習慣の東洋性
この『7つの習慣』という考え方が世界的に通じますが、『7つの習慣』という本がいかに東洋的かというところは、これまでにも何度もお話してきました。では、具体的にどういうところが西洋的ではなく、東洋的なのかというところを、順を追ってお話したいと思います。

(3) 本心良心
第1に、この本では「本心良心」を中心において全てが書かれていますが、これは東洋的といえます。すなわち、西洋的には、どちらかといえば、自己(自我)の確立を中心とした「感情」や「理性」、或いは「宗教的な側面からは神」というような観点から見た本が多いように感じます。そのため、超自我的で無我的な心である「本心良心」を中心においている点で、この本は東洋的です。
 
(4) 人格主義と徳
第2に、「本心良心」が具体的に現れた形として「人格主義」を一貫して述べています。「人格主義」とは、「人格」という言葉からわかるように東洋的にいうと「徳」に当たります。例えば、儒教の5常「仁義礼智信」です。「愛を持て」とか、「義理は欠かすな」というような人格や徳を中心として、この本は書かれています。例えば、人格の優れた人間性のある人は、誠実です。近藤勇などの属する「新選組」が掲げた「誠」のことです。この「誠実性」が具体的に現れるとどうなるのかというと、この誠実性が自己に向いた場合、この本では「自己が目的を持って始めて、誠実にそれを遂行して目的を達成する」と書かれています。他方、これ(誠実性)を他者に向けて発揮すると、約束を守るなどの行動につながり、信頼関係が出てきて、Win-Win関係が成立し、最後に相乗効果になります。このように全ての根っ子に本心良心があって、それが具体的に現れた人格主義に基づいて、誠実性、信頼性や正義などが出てきます。こうしたところも「東洋的」といえます。

(5) 相互依存性と相依関係の哲学
第3に、この本では「相互依存性」を説いていますが、西洋的には自己とか自我が中心に語られます。例えば、西洋では「自我の確立や自己の確立」などよく耳にします。ところが、この本では、「相互依存は、自立より遙かに成熟した高度の概念である」と明確に言っています。これは非常に東洋的な考え方です。全ての自然界にあるものは相互依存の関係にある、と以前ミツバチと花の話を例にお話ししたかと思います。何故花が美しい花を咲かせてミツバチを寄せ付けるのか、それは、勿論、受粉してもらいたいからです。お互いにWin-Win関係が成り立っています。この本では、このような相互依存の関係を非常に重視しています。これは東洋哲学で表現すれば、「相依関係の哲学」と言われ、全てのものは相互依存関係にあるということをいっています。この本全体が自立とか自我という自己というよりも、良好な相互依存関係を非常に重視し、それを最終目的達としているところが非常に東洋的です。

(6) ウイン・ウイン関係と相乗効果
そして、最終目的であるシナジーを発揮する前提として、第4に、Win-Win関係を非常に重視しています。そして、このWin-Win関係を説明する上で、西洋で盛んに用いられている二元論は正しくないと明確に述べています。この二元論は、例えば、白黒とか、明暗、敵味方というように、物事を2つに分けて考える考え方です。西洋の科学が何故発達したかというと、このように分けて考える思考が発達しているためです。「分ける」というのは、AとBの違いというように、両者の「違いが分かる」ということです。これによって近代の科学文明を発達させてきたのが西洋です。そのため「分ける」ということ自体は悪い面だけでなく、良い面もあります。しかし、この二元論が強すぎると区別・差別・迫害・競争等へと結びついてしまいます。そこでは、競争モデルに基づき自分が勝って相手をなんとか負かそう(ウイン・ルーズ関係)という考え方につながりやすいといえます。ところが、ここで述べられているのは、二元論的なウイン・ルーズ関係ではなく、「Win-Win関係」であり、「協調モデル」です。相手と協調しながらWin-Win関係を育てる、というこのモデルは、従来の西洋的な考え方とは全く逆の発想といえ、非常に東洋的な考え方です。

(7) 自己実現と自己完成
第5に、自己実現よりも「自己完成」を重視しているという点があげられます。すなわち、西洋的な考え方の代表例として一般に「マズローの欲求五段階説」があります。そして、この欲求の最上階には、個人主義で自己中心的な自我に基づく「自己実現」(self realization)があります。しかし、東洋的に見るとそれはまだ一つ低いレベルのものです。すなわち、東洋的には、超自我的な「自己完成」というのがその上にあります。すなわち、自分(自我)だけに留まってないで、自分を超える(超自我)という発想、「社会のために」という考え方が入ってきます。自己超越している考え方が自己完成です。それが最後のモデルになるというのが東洋的です。

(8) シナジー
第6に、「シナジー(相乗効果)」を最終目標としている点です。Win-Lose関係で自分が勝てばいいという「競争モデル」ではなく、「協調モデル」に基づくウイン・ウイン関係によってパイを大きくすることを通して、お互いハッピーになるということで、日本人が得意とするチームワークを重要視しています。お互いに相手のことを思って、利他行をしながら社会貢献して、お互いハッピーになりましょうというのが本の最終的な目標であるところが非常に東洋的です。

(9) むすび
本書における非常に東洋的な考え方としては、本心良心、人格主義、相互依存性、Win-Win関係、自己完成、シナジー等があります。このような東洋的な考え方がやはり世界に立派に通じるということを、この本が実証しています。

〔参考〕スティーブン・コヴィー[2013]『7つの習慣』キングベアー社


分野: コーポレートガバナンス 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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