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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 東芝の不適切会計 (企業財務 M&A/村藤功)

東芝の不適切会計

村藤功 企業財務 M&A

15/09/23


今日は、東芝の不適切会計について話します。
東芝と言えば、日本人であれば誰もが知っている企業です。その東芝が不適切会計を行ったという報道には、少し驚きました。

まず今年の2月に、証券取引監視委員会が調査を始めたという話が出ました。3月に社内調査を行ったところ不適切なところが見つかり、5月には元高等検察の検事長を委員長にした弁護士や会計士から成る第三者委員会が作られることになりました。延期の間調査して8月末までに結果を発表するという話でしたが、さらに1回、結論の発表が延期されました。当初は500億円の利益修正があったと言われていましたが、最終的には、2008年から2014年にかけて2248億円の減額修正をするとの発表がなされました。また、2015年3月期には前期決算で1500億円の黒字の予定でしたが、5月にそれを撤回し、378億円の赤字となりました。

東芝の不適切会計は、ここ1年間だけではなく過去7年間に行われたものでしたから、最近の3人の社長、すなわち田中社長と佐々木副会長、西田相談役が、7月に皆辞任しました。パソコン事業出身の西田さんは、これからは選択と集中だと言って、半導体と原子力を推し進めました。ところが半導体事業の業績は悪化し、東日本大震災で原子力事業も苦戦に陥りました。こうした台所事情の最中、少しでも稼いでいるように見せたいがために、歴代社長はずっと無理をしてきたのです。社長が事業本部長に予算通りの利益を出せと言うのは当たり前ですが、「その損失を来期にまわせないか」「あと1週間で利益を何百億増やせるか」など、どうも言ってはいけないことを言っていたようです。こうしたことが、最近になっていろいろと発覚してきました。

3人が7月に辞任して後、2248億円の利益修正を行ったうえで体制を変えようという話になっています。会長であった室町さんが社長に就任するほか、アサヒビールの相談役の池田さんや三菱ケミカル会長の小林さん、資生堂相談役の前田さんを社内取締役に迎え、経営体制を立て直そうとしているのです。そして今年3月までの決算を、9月30日の臨時株主総会で確定する予定です。

もっとも、何を不適切会計とみなして何を粉飾決算とみなすかという点については、難しいところがあります。今年に計上しないといけない損失引当金を来年にまわすことは、粉飾の場合と粉飾とは言いにくいが不適切な場合と両方有ると思います。また、パソコン事業に関して言えば、東芝の外からパソコン部品や原材料を買って東芝の外にパソコンを売ることで利益が出ている場合、それを利益として計上する分には問題ありません。しかし今回は、安く仕入れた部品を組み立てて製造受託先に一旦売った時の売上を、利益に計上しました。また、これを買い戻して後に外に販売できず、在庫になっていたにも関わらず、部品販売の利益を減らしませんでした。パソコンとしての外部販売にはなっていないので不適切ともいえますが組み立てた部品を一応製造受託先という外部に売っていたわけですから粉飾とは言いがたいと思います。

この件を受けて、東京証券取引所や政府金融庁は、金融商品取引法に違反するかどうかを考えないといけません。東京証券取引所は、9月中に東芝を特設注意市場銘柄に指定しようとしています。これは、内部管理体制に問題がある会社の株のことです。内部管理がOKになれば、指定が解除されてもとに戻ることができます。しかし内部管理がいつまでも駄目なままだと、上場廃止ということもあり得ます。東芝が上場廃止になると大変ですので、そうならない方向で皆どうにかしようとしています。しかし、過去の2000億円の利益がなかったことになろうとしているわけですから、結構大変な問題ではあります。

また金融商品取引法では、有価証券報告書を正しく書かないといけないことになっています。今回東芝は、虚偽記載をしており、課徴金を課せられる可能性があります。東芝は課徴金の金額をとりあえず84億円と考えて、2015年3月決算で引き当てています。最終的な処分内容を決めるのは金融庁ですが、10月以降にずれ込みそうです。

今日の話をまとめます。
東芝の不適切会計が発覚し、東芝だけではなく、金融庁や証券取引監視委員会などが対応を迫られています。東芝は、過去7年間で2248億円の利益修正が必要になりました。過去3人の社長が辞任し、室町会長が暫定的に社長を務める新体制が9月30日の株主総会で正式に決定される予定です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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