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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ギリシャ危機 (企業財務 M&A/村藤功)

ギリシャ危機

村藤功 企業財務 M&A

15/09/02


今日は、ギリシャ危機について話します。ギリシャ危機はもともと、2009年に決算の粉飾が発覚したところに始まります。

ギリシャは粉飾発覚後、2010年より5年間にわたってEUから支援を受けていましたが、今年の6月にその支援がいったん切れることになりました。そこで支援を2年ほど延ばす条件として、EUは緊縮策を受け入れるようにギリシャに求めました。ギリシャは6月末になってもそれに納得せず、7月5日の国民投票の結果によってどのようにするか決定すると言い出しました。世界の大方は、EUの緊縮策をギリシャが受け入れざるを得ないと考えていました。しかし国民投票の結果、反対が60%を超えてしまいました。富裕層や高齢者は緊縮策の受け入れに賛成しましたが、若者や低所得者が反対したのです。

ところが国民投票を指揮したチプラス首相は、EUより示されたものとほとんど同様の内容の緊縮策を提案しました。これにはEUも驚きましたが、緊縮策を法律化することを条件に、3年間で860億ユーロを支援することで合意しました。実際にギリシャの国会で緊縮策は法制化されましたが、野党のうちに賛成者が多かった一方で、もともと与党は緊縮策反対ですから、与党全員がチプラス首相に賛成したわけではありませんでした。その結果、チプラス首相は国会で多数を維持することができなくなり、辞任し、9月20日に議員総選挙を行うこととなりました。チプラス首相がこの選挙で勝てるかどうか、未だわかりません。チプラス首相の新提案に反対した人たちが勝ち、緊縮策に反対する政党を国民が選んだ場合、ギリシャはどうなるのか。ユーロが支援を表明したものの、選挙の結果如何によってはまた変わってくる可能性があります。ギリシャ国民が他国から言われた緊縮策を嫌がっているだけであれば、チプラス首相の提案に賛成するかもしれません。しかし、緊縮策自体が嫌なのであれば、チプラス首相が戻って来ない可能性が出てきます。

こうした状況の中、ギリシャの失業率は25%に達しています。20代だけを見れば、50%に上ると言われています。ちなみに、ドイツの失業率は5%くらいです。ギリシャにはもともと、観光業や海運業くらいしかありません。財務的には、ずっとたいしたことがありませんでした。1999年にEUが発足した時には、ギリシャは参加基準を満たすことができませんでした。その後2000年にEUへ入り、2009年に粉飾が発覚することとなります。すなわち、ギリシャが最初からEUに入る基準を満たしていなかったことが、この時明らかになったのです。

ギリシャはこれまでの5年間、EUに言われるままに緊縮策を実施してきました。しかし、財務状況は全然良くなっていません。今後緊縮策を行ったとしても、改善されないかもしれません。そこでIMFは、緊縮策だけではなく、債務の元本の削減を行わなければならないと言っています。ところがドイツはドイツ国民の税金を他国の財務の補填に使わないことを国民に約束してきたため、ドイツは元本の削減に賛成できません。このように問題は、依然として解決していません。

EUは、ギリシャに対して鷹揚です。少なくともフランスは、ギリシャがEUの中にとどまることを望んでいます。ドイツが同様に考えているかどうかわかりませんが、アメリカがドイツに対してギリシャを外さないように要求しています。ギリシャは、ソクラテスの時代より民主主義によって成り立ってきました。いわば民主主義の象徴のような立場にありますので、周囲もある程度寛容になっています。ギリシャがEUから外れると、他の国も同様に離脱する可能性がでてきますので、今回はギリシャがEUに残ってよかったなと思われているようです。なおEUでは、通貨こそ統合されたものの、財務政策は各国で行われています。ギリシャはユーロを用いて安い金利で資金調達をしていますが、この点も問題となっています。

今日の話をまとめます。
国民投票の結果、ギリシャがEUの緊縮策に反対した時には、皆驚きました。ところがチプラス首相がEUの緊縮策と似た提案を行い、ギリシャ国会もそれに同意したため、EUは3年間で860億ユーロを支援することになりました。これで問題が解決したかのように思われましたが、与党の一部議員はこれに反対しました。チプラス首相は辞任し、議員総選挙が9月20日に行われることとなりました。今後の状況は、この選挙の結果次第です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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