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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > PPP/PFIの課題 (公共政策、地域政策、産学連携/谷口博文)

PPP/PFIの課題

谷口博文 公共政策、地域政策、産学連携

15/09/15


前回は、官民連携事業などと訳されるPPP(Public Private Partnership)について説明しました。その一種であるPFI(Private Finance Initiative)では、税金ではなく民間資金を使って、様々な公共施設が建てられてきています。

それではなぜ、こうしたことが可能なのでしょうか。その秘密は、公共施設の運営にあります。従来であれば、役所が、維持管理経費や利用者の数などを検討しないままに、管理運営を税金で行っていました。ところが民間が運営するとなると、そうは行きません。どのくらいのコストをかけて長期的に維持管理をして行くか、どのようなタイミングで投資するか、料金設定をどうするかといった諸点をきちんと考えないと、維持することができなくなるためです。役所のように作りっぱなしにするのではなく、最初から十全に検討するのです。民間はこれまでに蓄えた知恵を用い、イベントやフィットネスクラブを開いて事業収入を増やすなどして全体の収支が見合うようにすれば、銀行から借りたお金を返済することができます。このように個別の事業の採算性に着目して融資するやり方を、プロジェクトファイナンスと言います。日本ではあまり見られませんが、大きなインフラを作るプロジェクトの場合には、親会社の担保などではなくプロジェクト自体に着目して融資する方法がとられることがあります。最終的には、施設の所有権は役所に移転します。こうして、税金を使わなくても公共施設の建設は可能となるのです。

ここで重要な点は、公共施設を使って稼ぐことができる人に建設や運営を任せるという点です。そうすると、役所は税金をあまり使わなくてすみますし、民間にとってはビジネスチャンスとなり、住民にとってはサービスがよくなります。こうした三方良しが、これらの事業の考え方となっています。

もっとも、刑務所の場合は、受刑者から料金をとるわけにもいきません。この場合は、刑務所の施設設備の提供というサービスを民間から国が購入する、サービス購入型の事業となります。PFIには、先に話しました税金をまったく入れない独立採算型のほかにも、刑務所のようなサービス購入型、それらの中間の混合型の三パターンがあります。実は、独立採算型は全体の一割に満たず、ほとんどがサービス購入型となっています。そのためPFIの事業に対しては、税金を分割払いにしているだけではないかという批判もあります。そこで、公共施設の中に民間の収益施設を入れるなどいろいろな工夫をすることで、PFI法に必ずしももとづかない事業を展開する動きも見られます。それらの様々な動きを、幅広くPPPと呼びます。

しかし、いいアイデアではあるものの、実際の現場ではなかなか難しいところがあります。公共施設は、結局は市民のため、公共のためではないといけないという制限を加えられています。PFI法がそれを若干緩めましたが、それでも未だなお、「こうじゃないといけない」「あれ使っちゃいけない」「こういう使い方をしちゃいけない」といった、関係者の固定観念が邪魔をしています。

そうした中で、TSUTAYAやスターバックスが入った武雄の図書館は面白い例です。こうした図書館は、普通の公務員からはなかなか出てこない発想です。民間は稼ぐけれども、役所は稼いではいけないといった意識に凝り固まっていてはいけません。本当は役所も、民間のような経営センスを持つべきなのです。そうすれば、最終的に税金が少なくてすみます。

政府はアクションプランの一環として、PPP/PFIを推進しています。その理由は政府の財政が厳しいからですが、役所しかやってはいけないという日本の構造を変えて、民間の役割を大きくするチャンスではないかと、私は考えています。

今日の話をまとめます。
これまで、公益や公共を担うのは役所だけであり、民間に公共サービスやまちづくりは任せられないという考え方がありました。しかしこれからは、民間企業やNPOも公共の重要な担い手ですので、政策作りやプロジェクト作りに最初から参画して、一緒に社会を作っていく時代になっていくように思います。

分野: パブリックマネジメント |スピーカー: 谷口博文

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