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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 地域創生と日本版CCRC (様々なジャンル/ゲストスピーカー)

地域創生と日本版CCRC

ゲストスピーカー 様々なジャンル

15/09/07

今日は、「地域創生と日本版CCRC」というテーマでお話したいと思います。

私は、九州大学大学院医学系学府で「医療系管理学」を教えています。もともと内科医をやっていましたが、今日の様に薬だけで治るという事はなかなか難しい生活習慣病やメンタルヘルスの病気、あるいは高齢者に多い病気に対応する為には、医師1人で取り組むのではなく、仕組みを作っていかなければならないと思っています。

今日は、現在内閣府が進めている「地方創生」、これは人口が急減、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対して、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を生かした自立的で持続的な社会を創生出来ることを可能にする試みのことを言いますが、現在日本が取り組んでいる「地方創生」についてお話していきたいと思います。

今、内閣府が一番頭を抱えているのが「人口の減少」です。人口の減少により労働力が失われ、活性化が阻害されます。その他にも日本では「社会保障費」というのが非常に大きな問題になっています。これは若い人たちが高齢者を支える仕組みですが、若い人がどんどん減っていくと、日本の社会保障を支えることが出来なくなる可能性があります。

そのため、今どこに注目がされているとかというと、地方の人が大学入学や就職のため首都圏に出ていくと、東京圏では「再生産率」と言う「子供を作る確率」というのが非常に低くなります。そのままそこで高齢になるまで進むと将来の社会保障費というのがかかってしまいます。そのため、地方で職業の場を保障して、そこで仕事をして子供を産み育てるという事が出来ると人口減にも歯止めがかかり、社会保障費の問題もかなり軽減できるのではないかと考えているわけです。
そこで、今「日本版CCRC」が注目を集めています。

CCRCというのは米国に住む、Continuing Care Retirement Community です。1995年に私達が日本に初めて紹介しました。CCRCというのは、住民が「自立して生活出来る段階」から、「寝たきりで特別な介護が必要な段階」を通して人生の終局まで同じコミュニティ内で住居、生活、介護、看護、医療サービスなどを総合的に提供していくサービスのシステムのことです。高齢者というのは非常に環境の変化に弱いというのが分かっていました。例えば日本でも自分の母親が認知症になったなどの理由で、自分の家に引き取ったり、病院や施設に入院、または入所をさせると認知症が急に進行したり、鬱状態になったりすることがよくあります。それを私たちは「トランスファー・ショック」と呼んでいます。学問的には、「トランスファー・ショック」というのは、適応能力が低下した高齢者の環境が大きく変化すると精神的な落ち込みが起こる現象のことです。そして不活発になって認知症が進行し、孤独に苛まれて悲しんだりします。そして不活発になるということは、つまり動かなくなるということなので、「歩く機能」など様々な機能が落ちていきます。しかし、CCRCでは、こうしたことを見越して同じ場所でケアすることで、老後も環境を変えなくて済むため、トランスファー・ショックは起こらないわけです。

 こうしたCCRCの日本版が現在注目を集めています。日本では少しでも障害があるとなかなか自立支援をしてもらえません。多少認知症があり、忘れることが多くなっても、支援的に周りの人が働いてくれる人がいれば、引き籠らずに様々な活動が出来ると思います。生活や人生が中断しないで最期まで暮らせる仕組みを作るというのがCCRCの利点の1つです。
それから2つ目が、CCRCというのは地方で作る方がコストは安く済みます。都市部の人達がそういうCCRCに移動してくれれば、人の流れが出来て地方創生に叶うことになります。
3つ目が2つの意味で都市圏の高齢者問題の緩和に繋がります。1つは首都圏の高齢者が移住してくれるという点。もう1つは地方の若者達が首都圏で介護労働するのではなく、地方にいたまま労働することが出来るという点です。
さらに、日本版CCRCには「コンパクトシティ」という考え方もあり、高齢者が点々と点在すると、そのケアに交通費だけでも非常にお金がかかります。それを例えば駅の周りに集めて高齢者住宅を作ってCCRCとしてケア出来るのであれば非常にコストの削減にもなります。そういうことも首都圏だけではなく、地域の問題解決にも貢献出来るのではないかという風に考えられています。

現在、日本において「高齢化の問題」と「人口減少の問題」というのは非常に深刻な問題ですが、高齢者のケアの在り方を変えることによって、この2つの問題を解決に導くことが可能になると思います。

分野: その他 |スピーカー: ゲストスピーカー

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