QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 地域創生と日本版CCRC② (様々なジャンル/ゲストスピーカー)

地域創生と日本版CCRC②

ゲストスピーカー 様々なジャンル

15/09/08

今日は、具体的に私たちが作りあげた「日本版CCRC」について説明したいと思います。

前回少しご紹介しましたが、CCRCというのは"Continuing Care Retirement Community"の略で、元々アメリカで作られたシステムです。住民が「自立して生活できる段階」から、「特別な介護が必要な段階」を通じて人生の終局まで同じコミュニティで住居・生活・介護・看護・医療サービスを総合的に提供していくサービスです。つまり、「エイジング・インプレイス」という同じ場所で年を重ね、最期まで過ごせる仕組みです。
この仕組みがこれからの日本にとって非常に大切になってくるのではないかということで、現在注目されています。今日はその内容をさらに詳しく掘り下げていきたいと思います。

日本版CCRCというのは、今の高齢者のケアのあり方を抜本的に変えるというのを目的としています。人間というのは、心のあり様が非常に大事になってくるため、そこにアプローチするようなケアを行わないと高齢者もその家族も、それからその人々を支援する人たちも幸せになれない、自己肯定感が持てないだろうと思います。何が大事かというと、その「理念」が大切です。高齢者が何を望むかというと、出来るだけ病や障害を避けて、自分で出来ることは自分でして自立して生活していくことを望んでいるといえます。

しかし、今の世の中ではなかなか希望が満たされません。これは要するに日本の障害を持つ高齢者のお世話というのはお嫁さんに委ねられていて、福祉施設に入所させると後ろ指を指されてしまうというような時代があったことと関係していると思います。ところが1973年に老人医療無料化が起こり、病院であれば周囲も高齢者を入居させることを許容するようになりました。そのため次々と老人病院が建設され、地域で高齢者をケアするということは少なくなっていきました。そして病気や障害を持った高齢者は、長期間病院ですごし、病院で最期を迎えるという病院完結型の人生を送るようになりました。しかし一貫して日本の高齢者はそのようなケアのされ方を歓迎していたわけではありません。自宅で亡くなりたいと考えている方たちもたくさんいるわけです。

長期入院の何が悪いかというと、結局の所、寝てる所と生活している所が同じであるという点や、常に管理されているという環境が体も動かさないし、話もしない、頭も使わないといったように不活発になり、機能が衰えていくという「廃用症候群」に陥りやすくしています。それに関しては私も非常に強い問題意識を持っていました。やはり理念がないからこんなケアをやっているんだと思っていたため、まずその理念を作ろうと思いました。「日本版CCRC」の理念というのは、高齢者の生活が継続出来るようにケアを行い、自分の人生で起こった事を前向きに肯定して統合することを支援するということを理念にしようと考えたわけです。理念を生かすための三大原則として、「本人の意思の尊重をする」、本当に自分がどうされたいか、例えば病院とか施設にずっといたいかということを本人の立場になって考える。高齢者の人たちを視察すると、大体高齢者というのは決まり言葉があります。「早くお迎えに来ないかな」。そう言いながら、健康食品をとり、毎日1万歩歩くというような生活を送っている人の本音はいつまでも自立していたいどはないでしょうか。それをこちらが分かってあげる必要があると思います。
次に、その「残存機能を活用した自立支援」です。足に不自由があっても自分でトイレに行けるようにするような仕組みを作るとか、パーキンソンでも、手が震えても可能であれば自分で食べたいわけですから、手づかみでも食べられるような料理を考案する。最後は、「生活とケアの連続性の維持」ですから、出来るだけ環境が変わらないように工夫すればいいのです。以上のような三大原則があればで、高齢者も自分の思うような終末期が送れるのではないかと思います。
そのためにはハードとソフトの両面が大切です。「ハード」は「自立しているときの住まい」、「支援があれば何とか自立できる人の住まい」「殆ど自分で動けなくなった住まい」が別々に必要だと思います。適切な住まいがあった上で、それに対して「生活支援」、「健康支援」、「介護医療サービス」を提供する複合施設が必要だと思います。この2つをネットワークで結んで地域包括ケアシステムと言い、地域で全てのケアに必要なサービスを完結できる機能を満たす高齢者のケアが出来ます。
現在の仕組みの中では、「予防」はお金にならないためなかなか取り組まれていませんが、予防も組み込んでいくことが可能ではないかと思います。それからどうしても心に対するケアとしては薬が重視されていますけれど、一緒に過ごすことや、あたたかい声かけの方が認知症の高齢者でも穏やかになるのではないかと思います。こうした環境を提供することで高齢者の生活の質の向上に貢献出来ると思います。こうした考え方が広まり、ハードやソフトが用意されていけば、どこでも高齢者の意思が尊重されて変化していくニーズに対応して、同じ場所で継続的にケアを行っていくことが出来るようになると思います。

日本版CCRCというのは現在の高齢者のケアを改善し、高齢者が自分の意思を反映させた終末を送れるためのシステムです。重要なのは理念、そしてハード、そしてソフト。それとやはり社会がこの日本版CCRCが大事だと考えてくれることだと思います。

分野: その他 |スピーカー: ゲストスピーカー

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ