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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 失敗からの学習 (経営学(マクロ組織論)/閔廷媛)

失敗からの学習

閔廷媛 経営学(マクロ組織論)

15/08/14

(1) 失敗経験の有益性
いかなる経験でも、繰り返せば組織学習に繋がるとは限らない。組織学習の研究では、特に、組織の失敗経験が、有効な学習の手段となると指摘している。

(2) 事例
Fordの代表的なスポーツカーとして、1964年に紹介されたマスタングがある。このモデルは、1950年代に紹介されたエドセルというモデルを改善して開発された。当時、エドセルは、高いエンジン性能とスポーティーなスタイルで一般大衆を狙っていたが、値段は高く、デザインがトイレの便座のようだ、など、消費者の嗜好を反映することに失敗し、産業のタイタニックと呼ばれるほどの大失敗となってしまった。その後、消費者の意見を積極的に反映し、品質をもっと高め、再デザインしたものが、長く愛されているマスタングである。
我々が普段の生活で使用しているスマートフォンも、実は、1993年に紹介されたNewton PDAを改善したものである。
Newton PDAは、技術的には現在のiphoneやipodと似ており、初代のiphoneとは画面解像度まで同じである。ノートパソコン、携帯電話、タッチスクリーンなどを融合基盤を作ったものとして、意味深い商品であった。しかし、サイズが大きすぎて、さらに重かったので、消費者には受け入られず、1998年に市場から撤退された。この失敗を基に、もっとポータブルな商品の企画が考えられたのである。

(3) なぜ成功経験からは学びにくいか?
GinoとPisano(2011,HBR)によれば、成功経験には2つの問題がある。1つ目に、人間には、成功経験の原因を考える際に、常に自分からその原因を探す傾向が強い。これをAttribution bias(対応バイアス)と言う。成功すると、我々は、既に良く学んでいるので、更なる改善や改革は要らないと自信を持ちがちだ。しかし、場合によっては、外部環境にその原因があるかもしれないし、単なる運であったかもしれない。成功経験によりもたらされた自信過剰は、組織学習の毒となる。これと関連し、2つ目に、失敗後には、その原因を探すサーチ・プロセスをすぐに行われるのが一般的であるが、成功後には、そもそもその原因を探そうと考えない。したがって、深い組織学習は、行われにくい。

(4) 失敗からより学べるためにはどうすれば良いか?
当然、失敗の原因を組織内部で共有することが重要である。また、Near failure(mistakes)に注目することも、同じ失敗を繰り返さないためには重要である。大きな失敗の前には、多数の関連しているNear failureが存在しているといわれる。したがって、あまり目立たないNear failureでも、組織内部で共有することが求められる。実際、ある病院では、各自が経験したメディカルエラー(簡単なミスを含め)の原因と簡単なコメントを、無記名で記録してデータベース化することにより、同じ失敗の発生や、さらに大きな失敗の発生を、防止しているという。

今日のまとめ:組織の失敗経験は、問題に対するサーチプロセスをもたらし、組織が自信過剰になることを防ぐため、組織学習の有効な手段となる。失敗から学ぶためには、失敗経験の内部共有とnear failureへの注目が有効といわれる。

分野: 組織マネジメント 経営学 |スピーカー: 閔廷媛

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