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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 株式と社債 (企業財務管理、国際金融/平松拓)

株式と社債

平松拓 企業財務管理、国際金融

15/08/06


前回、株式の価格である株価についての話をしました.今回は株式の話からもう少し視点を広げて、社債との対比で、株式の性格を考えてみたいと思います。

企業の資金調達方法として基本的には、株式発行、銀行借入、社債発行―――の3つが重要ですが、これらの内、銀行借り入れの原資は預金者の預金、そして銀行が市場で他の金融機関から借り入れる資金であり、いずれの場合も投資家たる預金者と企業の間に銀行が介在することから「間接金融」と呼ばれます。これに対し株式や社債は、投資家が企業が発行するそれ等の証券を直接保有することになるので「直接金融」と呼ばれます。また、銀行は基本的には短期(期間1年以内)の資金を扱う「金融市場(マネー・マーケット)」のプレーヤーですが、株式や社債は共に長期(1年より長期)の資金を扱う「資本市場」で取引されます。

それでは同じ直接金融に属する社債と株式にはどういう違いがあるでしょうか?一般的には、株に投資すると債権とは違って元本が返ってくる保証がない、或いは株を保有することで配当金を受領することができるが、社債の利子と違って決まった額ではない、といった違いが思いつくかと思います。しかし、これは株式、社債のごく一面に過ぎません。ここでは、もう少し包括的に違いを見て行きましょう。

株も社債も「資本証券」の一種ですが、①将来のキャッシュフローに対する投資家の請求権、②経営への参加権、③会社清算時の残余財産分配請求権―――などの点で基本的な違いがあります。典型的(基本形)とされる「普通株」、「普通社債」を比較してみましょう。

まず、普通株の場合は―――
・証券自体に期限の定めはなく、投資家は市場等で他人に売却することになりますが、いくらで売却できるかは企業の業績、市場の状況等に依ります。
・企業の業績等による配当金を受領できますが、社債など債務の弁済に支障をきたさない範囲という制約があり、また、株主総会或いは取締役会での決議が必要です。つまり、元本の回収・配当の受け取り共に不確定で、リスクが高いということになります。
・株主総会の議決に参加できるという点で、経営への参加権があります。
・会社清算時には、税金や債権の弁済に劣後しますが、残る資産の請求権があります。

これに対し、普通社債の場合は―――
・株式とは違って期限が定められ、期日に元本の償還を受ける他、業績等に拘わらず、発行時に定められた条件の利子(利金)が支払われます。
・経営への参加権利はありません。
・また、既定の利子や元本の金額以外には会社清算時に残余財産の分配には預れません。

さらに、普通株式、普通社債の名が示す通り、株式及び社債には、それぞれ普通株式、普通社債以外の名称を持つバリエーションが存在します。例えば社債では、一定の条件で株式へ転換することを選択できる、或いは、一定の条件で株式の購入が可能になる条件のついた、「新株引受権付き社債」というものが発行されることがあります。株価の上昇が見込まれるような状況の下では、企業にとって低利で資金調達が可能となるので、今はさほどではありませんが、バブルの時期には非常に多く見られました。

また、利子の支払いや元本償還については、普通社債を含む一般債権より順位が劣後しますが、その分高めの利率で利子が支払われる、「劣後債」が発行されることもあります。最近のように長期投資でも利回りが低い中で証券の魅力を少しでも高めるために、比較的信用力のある企業が発行するケースが見られます(最近ではソフトバンク)。劣後債も経営参加権はなく、また、会社清算時においては、既定の利子や元本の金額以外には残余財産分配の請求権はありません。

株式についても、バリエーションとして「種類株式」が発行されることがあります。代表的なものが「優先株」で、典型的には、一定利率の配当金や残余資産については普通株より優先的に支払・分配を受ける代わりに、経営参加権は持たないというものです。中には一定の条件で普通株式に転換できるものもあります。最近では、経営不振のシャープが債務超過の解消のためにメイン銀行2行に対してこの優先株を発行し、両行からの借入金返済に充てたことが話題になりました。こうした債務の資本化のことを、デット・エクイティ・コンバージョンと呼びます。

長期の資金をやりとりする資本市場では、普通株や普通社債以外にも目的に応じて様々の種類の証券(株式や社債)の発行が可能で、企業は自己資本充実や低利資金調達などの目的n応じて劣後債や優先株などの種類株式を活用しています。逆に、こうした証券に付された条件を読み解くことで、企業の証券発行の目的を知ることができます。

分野: |スピーカー: 平松拓

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