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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 予算管理をやめてみませんか? (管理会計、コストマネジメント/丸田起大)

予算管理をやめてみませんか?

丸田起大 管理会計、コストマネジメント

15/08/28

今日は、「予算管理をやめてみませんか」という話になります。

皆さんの組織では当たり前のように予算管理をやっていると思います。しかしこの予算管理をやめるべきだという主張が、10年ほど前から欧米を中心に高まっています。

予算管理とは、今年度の予算はいくらで、この中でこんなふうにやりくりしていく、というものですが、これをやめていこうというのです。欧米ではこの主張を「beyond budgeting」と呼び、日本でも「脱予算経営」と呼ぶなど、10年程前から知られています。

皆さんの組織で「予算管理」と言うと、まず年度の初めにむこう1年間の売上高とかコストの予算を決定。予算からの差異を月ごとなど定期的に把握して、年間の予算を達成するために色んな手を打つ。最終的に予算を達成できたかどうか、そうした結果が報酬の査定だとか人事の方にも影響する、といった内容ではないかと思います。
こういうやり方には、一旦決まるとむこう半年や一年は固定されてしまうという問題や、決まった予算を達成できたかどうかで業績評価や報酬決定が行われる、という特徴があると言えます。
しかし、現代のように顧客とかライバル企業の動向がめまぐるしく変化する環境の下では、年度の初めに予算の前提として想定していたビジネス環境から大きな乖離が生じてしまう可能性が有るわけです。そうした場合、社内で数ヶ月の労力を要して調整して決まった予算を頻繁に改定するというのは容易ではありませんし、またその予算目標が報酬契約のベースになっている場合にはそれを改訂してしまうということは、動機付けにも大きな影響があるというふうに言えるわけです。
そうすると予算を達成できそうだという場合に組織でどういう行動が起きるかというと、その予算目標を達成できれば報酬が得られますが、それ以上の業績を上げてしまうと今度は来年度の予算目標を自分で厳しくしてしまうというリスクがあるわけです。すると、予算目標は達成できそうだけど、それ以上の努力はしなくてもいいかなと努力を抑制してしまうというような行動が起きてしまう可能性があるわけです。
逆に予算を達成できないという場合は、予算を達成できないと報酬が得られないので、会計操作のような不正を働いてでも達成しなければというような非倫理的な行動を誘発してしまうリスクを持っていると考えられています。

ではそういう問題に対処するためには、どのようなことをしていったらいいのかという話になりますが、
数ある主張の中で今日は2つ、ご紹介します。

まず予算の特徴として、先程目標が固定化されてしまうということをお話しましたが、達成すべき目標を固定的なものではなく、相対的なものにしてやるという主張がされています。つまり、売上高やコストの固定的な予算額を決めて、それを達成できたかどうかということではなくて、例えば業界内で上位何位に位置するとか、そういう目標とする位置みたいなものだけを決めておいて、それを達成できたかどうかは相手のあることですから、その目標額を相対的なものに変え、それをベンチマークにするということが提案されています。
これはよくある例えですが、プロゴルファーを見てもらいますと、プロゴルファーはリーディングボードを見ながら自分がどの順位にいるか見ています。それは変動しますので、自分が今どの位置にいるか、どの位置にいたいかということを確認しながら自分のスコアメイクをしないといけません。そういう状態を組織でもつくりだしたらどうかというわけです。しかし、このように目標が動くことを「ムービングターゲット」という言い方をしますが、動く目標を追いかけるということになりますので、その情報をつかまないといけませんね。ライバル企業が投資家向けなどに公表している月次のマーケティング情報や、3ヶ月毎の四半期決算の情報などを常にモニターしてライバル企業がどういう状態か目を光らせておくという必要があります。

2つ目は、上述したような目標を設定した場合でも、その目標が達成できたかどうかということと報酬を連動させてはいけないという考え方です。つまり「ムービングターゲット」では、目標は動いていて達成が難しくなるわけなので、それを達成できないと報酬をもらえないという仕組みにしてしまうと動機付けに悪い影響がおきかねません。そのため、ムービングターゲットを追いかけるということが大事なのであって、最終的に目標が達成できなくても、結果として例えば前年度の実績よりも良かったというような結果が得られたのであれば、目標がどれほど難しかったか、目標の難易度とか、前年度からの改善の程度、そういった相対的な成果を報酬に反映してあげるという仕組みがいいのではないかという提案になっています。そうすると報酬を得るということのために、無理して目標を達成しようとして不正をはたらくというような行動は抑制できるというふうに考えられています。

目標が達成できなくても、ムービングターゲットを追いかけたというそこの過程がとても大切だということになるわけです。
もし皆さんの組織で努力を抑制するとか、会計操作みたいなものが起きていたら、それはもしかしたら予算管理を熱心にやっていることがもたらしている副作用かもしれません。思いきって予算管理をやめるということが実は検討の材料になるのではないかと言えます。

今日は、努力の抑制とか会計操作といったことが組織で症状として現れていたら、実はそれは予算管理と関係がある可能性があること、予算管理をやめてしまって業績評価とか報酬決定の仕組みを見直す必要性があるのかもしれないというお話でした。

分野: 会計 |スピーカー: 丸田起大

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