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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ロシアとウクライナ (企業財務 M&A/村藤功)

ロシアとウクライナ

村藤功 企業財務 M&A

15/08/04


今日は、ロシアとウクライナについて話します。

以前は、BRICsとして、ブラジルやロシア、インド、中国がすごい勢いで経済成長を続けていると言われていました。しかしロシアの実質経済成長率は、2013年には1.3%、2014年には0.6%と落ち続け、2015年には-3.8%とマイナスになる見込みです。ロシアはもともと、原油やLNGといったエネルギーに頼っている国です。去年の年末から続く原油やLNGの価格の下落によって、ロシアの経済状況はまずいことになっています。さらにウクライナ問題によって、アメリカ合衆国とEU、日本が、ロシアに経済制裁を加えています。プーチン大統領は、五年ほどはロシア経済が停滞するだろうと国民へ向けてテレビを通して話したそうです。

ただ、ロシアの経済が低迷していようとも、冷戦を思い起こせばわかるように、ロシアはとてつもなく広い国土を有する大国です。いざという時には、どこかと戦争するかもしれません。そうした最中に、クリミアがウクライナから独立してロシアに入りました。アメリカやEUはこれに対して怒っていましたが、クリミアがロシアに併合されることを結局は黙認したために、何事も起きませんでした。その後プーチン大統領が、もしクリミアで揉めていたら核兵器を準備していたといった旨の発言をしました。もしもロシアが核兵器を撃ちアメリカがそれに報復した場合には、第三次世界大戦が起きて地球が終わっていたことでしょう。

ウクライナ問題に目を転ずれば、クリミアがウクライナから独立して後、ウクライナ東部のドネツクやウガンスクがウクライナから離れてロシアの一部になろうとしていますが、未だ解決していません。親露派対ウクライナの戦争では、親露派へロシアが武器を供給するのなら、アメリカはウクライナに武器を援助したいと言っていますが、これでは昔の冷戦と同じ構造になります。もう一度冷戦が起きれば、ドイツやフランスは徴兵制を敷き、無理矢理にでも軍を派遣することとなりかねないため、ドイツもフランスもこれを必死に止めようとしています。ただ、最近では、ドイツもフランスもともに、ギリシア問題で頭がいっぱいでなかなかウクライナにまで手が回りません。

ウクライナ問題においては、実は既に、二回の停戦合意がなされています。一回目は、去年の9月のミンスク合意です。ベラルーシの首都のミンスクで、親露派とウクライナ軍が停戦に合意しました。しかし、戦闘が収まることはなく、なし崩し的に戦いが続いていました。今年の2月になって、ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領の仲介で、ウクライナのプルシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領が二回目の停戦合意に至りました。しかし小競り合いは続いており、特に親露派へのロシアからの武器供与や、ロシア軍の動きなどに、怪しい点が見られます。そうした中で、ウクライナの東部がロシアの手の内に落ちていることも疑われています。ロシアがそう簡単に、東部ウクライナをめぐってアメリカやEUと戦争することはないと思いますが、多少ロシア経済を悪化させてでも、ウクライナ東部を勢力圏に置こうとしている可能性はおおいにあります。

一方中国が陸のシルクロードを構想していますが、これは中央アジアを通るものであるために、ロシアも看過するわけにはいきません。中国と対等の地位を確保しようと、中央アジアのタジキスタンやキルギスの基地を強化し始めています。

日本は、欧米と協力している以上、対露制裁を採らざるを得ません。他方、安倍総理はこれまで北方領土問題につきプーチン大統領と話し合ってきており、今後もそうした交渉を続けたいところです。また日本は、特に東日本大震災以降、いろいろなところから高い原油やLNGを購入してきました。そこで、ロシアから安いLNGを、またアメリカから安いシェールを買いたいと考えています。日本の商社も、ウラジオストクでロシアと一緒にLNG基地を作り、できるだけ安く日本へ輸出しようとしているようです。

今日の話をまとめます。
ロシアとウクライナの今年の実質経済成長率は、ともにマイナス見込みです。ウクライナの一部がロシアに取り入れられるのであれば、ロシアはさらに勢力を拡大していくことになります。また中国が陸のシルクロード経済圏構想を持っている以上、中国と対等の地位を確保するために、中央アジアにおける軍備をロシアは増強しなければなりません。一方でウクライナは、財務が厳しいために、IMFからの支援パッケージを受けていますが、その返済交渉で苦労しています。EUにおいてはギリシア問題がプライマリティになっていますが、その隙にロシアがウクライナ東部の勢力を強めている疑惑もあります。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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