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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > おカネの役割 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

おカネの役割

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/07/28

 今日は、おカネの役割についてお話ししましょう。おカネというものが無ければ物々交換が必要になります。物と物を直接交換するのは便利なようですが、実は大変不便です。
 私は大学で経済学を教えて給料をもらっています。もらったお金を持って居酒屋へ行けば、好きな酒と肴を楽しむ事ができます。しかし、物々交換の世界では、私は居酒屋に入るたびに「経済学を教えますから酒を飲ませて下さい」と頼まなければなりません。居酒屋の御主人がたまたま経済学や金融論などを勉強したいと思っていれば良いのですが、そうでなければ私は酒も肴も楽しむ事が出来ません。

 それで困った人がお金を使うようになったということなのですが、それではお金の成り立ちをイメージしてみましょう。
 酒屋と魚屋と肉屋だけの村があったとします。酒屋の御主人は魚が大好きで肉が大嫌い、魚屋の御主人は肉が大好きで酒が大嫌い、肉屋の御主人は酒が大好きで魚が大嫌いでした。酒屋の御主人が大好きな魚を手に入れようと、酒を持って魚屋に行きましたが、魚屋の御主人は酒が大嫌いなので、交換に応じてくれません。魚屋の御主人が肉を手に入れようとしても、同様に肉屋の御主人に断わられてしまいます。肉屋の御主人も同様に、酒を手にいれる事が出来ません。しかしある時、魚屋の御主人は考えました。「自分は酒が嫌いだが、酒屋の頼みを聞いて、魚と酒を交換してやろう。」別に親切だからではありません。手に入れた酒を持って肉屋にいけば、肉屋の御主人がよろこんで肉を分けてくれるからです。
 こうして、魚屋の御主人は、まず自分が欲しくない酒を手に入れることで、自分が本当に欲しい肉を手に入れることが出来たのです。

 次に考えた事は、酒は重いし割れるので、魚をビール券と交換する事でした。どうせ自分で飲むわけではないので、軽い方が良いからです。これが最初のおカネです。こうしてこの村では、ビール券さえ持っていれば、誰でも欲しいものが何でも手にはいるようになったのです。もちろん、実際には最初のおカネはビール券ではなかったと思いますが、イメージは掴んでいただけたでしょうか。ここで大切な事は、二回交換するのは面倒なようで、結局は便利だという事です。二回交換するというのは、しばしば登場する考え方です。

 他にどのようなものがあるかというと、たとえば外国語が例に挙げられます。
 英語は世界の共通語だと言われます。日本人とフランス人の会話も、日本人とドイツ人の会話も、普通は英語で行なわれます。そうでないと、国際人と言われる人はフランス語もドイツ語も英語も勉強しなくてはならなくなり大変です。まして、国際会議でそれぞれの国の人が自分の国の言葉で話したら、出席する人はすべての国の言葉を覚えていなくてはいけません。
 しかし、外国人とは英語で話すという事になれば、世界中の人が英語だけを勉強すれば良い事になります。外国語の出来ない人も、英語の通訳だけを連れていけば困る事はありません。日本人とドイツ人が会話をする時も、日本語を英語に訳し、英語をドイツ語に訳すという二度手間はかかりますが、問題はありません。

 空港も、ハブ空港というものがあります。日本では、羽田空港がハブ空港です。日本には何十も空港があるので、福岡空港からすべての空港に飛行機を飛ばすのは大変ですし、到底満席にならずに赤字になる路線も多いでしょう。しかし、福岡の人が旅行する時は必ず羽田に行き、羽田で乗り換えることにすれば、福岡羽田便は必ず黒字になるでしょう。日本中の空港が、羽田との間の便だけを飛ばすことにすれば、全ての人が行きたい所に行けますし、航空会社も黒字になります。もちろんこれは極端な話で、実際には福岡からも大阪便や沖縄便などが数多く飛んでいますが、やはり羽田便が圧倒的に多いことも事実です。

 宅急便の荷物や郵便局の手紙なども、一度大きな配送センターなどに集められ、そこで行き先別に仕分けされて発送されています。荷物や手紙を積み替えるのは手間のようですが、結局はその方がトラックの荷台が埋まるので、採算は良いという事なのです。

 お金の話に戻ますが、お金がないと不便な事は他にどんなことがあるのでしょうか。
たとえば、物々交換の交換比率を決める手間が大変なのです。たとえば牛丼屋のメニューは、牛丼一杯がビールなら1本でリンゴなら2個で鉛筆なら5本、というように大変長くなります。しかも、メニューに無いものはその都度交渉という事になりますので、手間も大変です。
おカネが無いと不便な事の今一つは、老後のためなどに蓄えておくのに不便だという事です。おカネなら銀行が預かってくれますが、リンゴやみかんでは銀行も預かってくれませんし、タンス預金をしても腐ってしまうので、やはりおカネというものが必要なのです。

まとめ:物々交換は不便です。物を現金に換え、現金を別の物に換えるというのは、面倒なようですが、実は大変便利な事です。国際会議を英語で行うのも同じ理屈です。日本語を英語に換え、英語を各国の言葉に換える方が便利なのです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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