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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 独占 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

独占

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/07/21

  今日は、独占について御話します。

  以前、「白菜は豊作になると農家が貧しくなる」という御話をしました。まず、白菜の値段が上がっても下がっても白菜の需要はあまり変化しない、という事が大切です。白菜を買う人は、鍋を食べる人だけで、鍋を食べる人の数はそれほど増えたり減ったりしないのです。次に、白菜は保存が利かないので、白菜を作る農家は、出来た白菜をすべて市場に並べる、という事が大切です。豊作だと白菜の供給は増えて、値段が下がりますが、値段が下がっても需要があまり増えないので、値段が更に下がり、農家が損をする、という事が起きるのです。反対に、不作になって供給が減ると、値段が大幅に上がることになります。
  
  では、日本中に白菜農家が1軒しか無かったら、どうなるでしょうか。白菜が豊作であっても、出来た白菜の一部を捨ててしまって、不作の場合と同じ数しか市場に出さなければ、不作の年と同じ利益が得られます。更に言えば、最初から少なめに作れば良いのです。白菜のように豊作不作があるものならば、少し多めに作っておいて豊作ならば捨てる、という事もあり得ますが、工業製品であれば、そんな無駄をする必要はないからです。これが、独占企業の儲かる仕組みです。つまり、値段が変化しても需要があまり変化しない物については独占企業がすごく儲かるという事です。一方、少しとミカンが値上がりしただけで消費者がリンゴに逃げてしまうとすれば、ミカンの独占企業はたいして儲かりません。値段を吊り上げようとして出荷量を減らしても、少し値段が上がると、すぐに需要が減ってしまうからです。

  ところで、独占企業は日本で一社とは限りません。山登りをしていると、山小屋があって、飲み物を高い値段で売っている場合があります。これも独占企業です。登山者は、喉が渇いているので、値段が高くても飲み物が欲しいですし、近くにはライバル店が無いので、登山者は山小屋で買うしかないわけです。
  
  白菜の話に戻りましょう。独占企業が毎年少ししか売らないので、白菜は毎年高い値段で取引されているとします。それならば、私も白菜を作ってみようと思います。その場合、独占企業の採り得る選択肢は2つあります。一つは、私の生産コストよりも低い値段で白菜を売って、私を赤字にする方法です。独占企業は大規模生産をしていますから、私よりも安く白菜を作っています。そのため、今年は去年より安い値段で出荷しても赤字にはなりません。一方で、私は赤字になってしまうため、来年からは白菜を作ろうと思いません。そこで、独占企業は来年から再び高い値段で白菜を売って儲ける、というわけです。今一つの選択肢は、私が売る分だけ独占企業の売る数を減らすというものです。私の売る分は独占企業の売る分に比べて非常に少ないので、独占企業は捨てる白菜の分量を少しだけ増やすことによって、去年と同じ値段で白菜を売る事ができます。この場合には、私も儲かり、独占企業も儲かります。独占企業の儲けは、去年よりは少しだけ少なくなりますが、気にするほどの違いではありません。
  
  どちらにしても独占企業は儲かることになるわけなのですが、一つ気をつけることがあります。白菜が儲かるとわかると、私のように白菜を作る人が増えて来るため、独占企業の売上高がどんどん減ってしまう可能性があるのです。白菜は誰でも簡単に作れるでしょうから、新規参入者が多いのです。しかし、大きな機械がないと作れないような製品であれば、新しいライバルが簡単には出てきませんから、独占が続く可能性は高いでしょう。

  さて、これまでは、白菜農家が一軒だけの場合を考えていましたが、数軒しかない場合は、独占と言わずに寡占と言います。
寡占の場合は、合併してしまって独占になるという方法もありますが、お互いに相談して全体の生産量を減らすという方法もあります。独占企業ならば何個売り上げるだろうか、という数字を求め、全体の数がその数字になるように、各社の売る数を相談して決めるのです。あるいは、目標とする値段を決めて、その値段で各社が売れるだけ売る、という決め方もあります。このように、寡占企業が独占企業のような儲けを狙って相談する事を、カルテルと呼びます。なお、独占やカルテルは、日本の法律で禁止されているので、実際には白菜にしろ自動車にしろ何にしろ、独占的に作っている企業が値段を吊り上げるといった事は行なわれていないはずです。

  海外にある世界的な独占企業が値段を吊り上げる事は日本の法律で取り締まる事が出来ませんから、その場合には日本は高い値段で輸入するしかありません。
有名なのは、オイルショックの時に世界中の産油国がカルテルを組んで、世界の石油の値段を吊り上げた事があります。
もっとも、このカルテルは長くは続きませんでした。話し合いが途中からうまく行かなくなったのです。その理由については、次回に御話しします。

まとめ:需要の価格弾力性が低い商品については、独占企業が大きく儲ける可能性があります。販売量をわざと絞って値段を高く設定すれば良いのです。独占でなくとも、寡占の場合にはカルテルが組まれる事もあります。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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