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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(3) リニアモデル (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

キーワードで理解するイノベーション・マネジメント(3) リニアモデル

永田晃也 技術経営、科学技術政策

15/07/16


 「リニアモデル」とは、イノベーションが発生するプロセスに対する捉え方の一つです。
 技術的イノベーションであれば、まず基礎研究から始まって、次に応用研究、開発、製造と進み、最終的に販売活動を通じて市場で利益を上げるといった具合に、逐次的なプロセスを経てイノベーションが成立するという見方がリニアモデルです。

 ところで、モデルという言葉は、「かくあるべし」という規範的な意味で用いられる場合と、例えば原子核モデルのように、基本的な構造などを記述したものという意味で用いられる場合がありますが、リニアモデルは後者に当たります。つまり、イノベーションのプロセスとはこういうものだということを記述したモデルです。
 これは誰によって提唱されたというわけでもなく、我々が一般的にイノベーションのプロセスをイメージする際に、前提としてしまいがちな認識の枠組みとして作用することがあります。

 しかし、イノベーションのプロセスは、それ程単純なものではないことが今日では知られています。
 リニアモデルでは、イノベーションの起点は常に基礎研究にあるのですが、現実のイノベーション・プロセスでは、例えば製造工程で発見された問題の解決を図ろうとすることが起点になったり、市場で発見されたユーザーの潜在的なニーズに対応しようとすることが起点になったりすることがあります。
 それにも関わらず、我々がイノベーション・プロセスをリニアモデルの枠組みで認識していると、どういう問題が起こるでしょうか。
 リニアモデルでは、イノベーションの起点が常に基礎研究にあるのですから、イノベーションを促進しようとする経営者や政策担当者は、まず基礎研究の重点化を課題と認識することになるでしょう。ところが、そのような見通しに基づく取組は、期待されたようにはイノベーションを創出できないという問題に直面するでしょう。

 イノベーションの発生要因に関する伝統的な仮説に、「テクノロジー・プッシュ」と「ディマンド・プル」があります。前者は、主な発生要因を新技術に求め、後者は市場における需要に見出そうとしたものです。いずれが支配的な要因であるのかについては、膨大な実証研究が行われてきましたが、それらはイノベーションのうち概ね7〜8割が需要、2〜3割が新技術を主な要因にしていたという結論に至っています。

 よりリアリティのあるモデルを考案する試みもなされてきました。そのうち最も包括的なモデルは、クラインとローゼンバーグという2人の研究者が提唱した「連鎖モデル」というもので、そこでは様々なステージで発見された情報のフィードバック・ループからなるものとして、イノベーション・プロセスが記述されています。

今回のまとめ:イノベーションの発生を、逐次的なプロセスとして捉えるリニアモデルは、イノベーション・マネジメントの陥穽になることがあります。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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