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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 『デザイン思考』による新しい事業創造(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

『デザイン思考』による新しい事業創造(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

15/07/03

【今回のまとめ】
・デザイン思考は、「観察」→「概念化」→「プロトタイピング」→「実験」を繰り返すプロセスから構成される。この過程で「自画自賛」や「独善的」な状態に陥らないよう注意することで、ユーザーの真の問題を解決する、イノベーティブな製品やサービスを生み出しうる。


・デザイン思考の重要なコンセプトのひとつが「人間中心のイノベーション」だ。そして、デザイン思考では、(1)人間にとって望ましいこと、(2)技術的に実現可能なこと、(3)ビジネスとして成長性があること、の3つの関係性を意識することが重要だ。
・デザイン思考のプロセスは、「観察」→「概念化」→「プロトタイピング」→「実験」を繰り返すプロセスから構成される。
・まず、観察の段階では、多様な視点から対象を観察するため、様々な分野の専門家からなるチームを組成し、現場に赴いてユーザーを観察する。この段階で重要なことは、「問題解決の方法」を考えてはいけないことだ。現場でユーザーに何が起こっているのか、その問題はなぜ生じているのか、その問題はどのくらい深刻なのか、といったこと深堀りすることを通じて、問題の本質に到達する。これに関して、よく「ドリルを買いに来た客」の話が引き合いに出される。ドリルを買いに来た客に、そのままドリルを売るのではなく、なぜドリルが必要なのかを掘り下げて聞いてゆく。すると、目的が「壁に絵を掛けたい」だけだということが判り、ドリルを売るのではなく、壁に絵をかけるのに最も相応しい商品を勧めることができる。
・逆に、観察が十分で無いままに問題解決の方策を考えてしまうと、個人の思い込みや自画自賛にまみれた、間違った解決策を導き出してしまうので、注意が必要だ。
・観察によってユーザーの問題を特定したあとは、いよいよ問題解決方策を考案し、それを「概念化」する。この時は、ブレーン・ストーミングなどアイデアを否定せず自由に発散させる方法で、スケッチやポストイットを活用して、とにかく固定観念にとらわれない多様なアイデアを出して、それらをチームで共有する。その中から、挑戦にふさわしいアイデアを絞り込んでいく。奇想天外に思えるアイデアも否定したり捨ててはいけない。一見、奇想天外なアイデアも、実際の解決策の提案のヒントになることがあるからだ。
・製品やサービスの概念が確定したら、次は、プロトタイピング(試作品づくり)だ。実は、ラフスケッチやポストイットのメモだけでは、自分自身の発想が十分に解き放たれていない。それを、具体的な形にしてチームで共有してみることで、新しい視点の発見や見過ごしていた重要な問題に気づくことが多い。最初の試作品はダンボールを組み合わせて色を塗ったような不格好なもので構わない。出来た試作品を皆でいじりながら改良を加えて、ユーザーの観察で得た気づきが適切に反映されているかどうかを確認することを繰り返す。何度目かの試作を繰り返すうちに、徐々に出来が良くなってくる。
・プロトタイプは「仮説」の塊だ。次は、ユーザー実験を行って仮説を検証する。実際のユーザーに触ってもらって感想を求めると、自分たちが見過ごしていた点を発見できたり、よりよい形やサービスを見出すことが出来る。逆にユーザーの反応が悪い場合は、なぜそうなのか、ユーザーの求めているものとどこがずれているのかを明らかにして、場合によっては「ピボット(方向転換)」する勇気も必要だ。何度かのプロトタイピングと実験、ピボットを繰り返して製品やサービスのイメージを絞り込んでブラッシュアップする。
・これらのプロセスで最も注意しなければならないのは、人は「自画自賛」や「独善的」な状態についつい陥りがちだということだ。慶応の奥出先生は、デザイン思考でやってはならない7つのこととして、次の事柄を挙げている。
1. 答えはここにあるのであって、外にはないと考える
2. 話ばかりして作らない
3. 可能性を検討している時に、実効性を議論する
4. 利口に振る舞う
5. 間違いを許さない
6. 他部門が集まれば多様な視点を得ると勘違いする
7. プロセスを守ればうまくいく

・デザイン思考は、フライパンや洗剤などの日用の消費財だけでなく、国家の鉄道システムや物流システムなど、巨大なビジネスにも適用しうる。
・当事者が気づいていない問題を、様々な思い込みを排除しながら、実際の現場やユーザーの言動にもとづいて忠実にえぐりだして特定し、問題を違和感なくスムーズに解決するアイデアを盛り込んで、創造的な製品やサービスとして結実させる力を『デザイン思考』は秘めている。


分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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