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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第五大陸は企業統治 (アカウンティング、ファイナンス/谷保廣)

第五大陸は企業統治

谷保廣 アカウンティング、ファイナンス

15/06/15


アカウンティングは、六大大陸から成っています。今回はそのなかの五番目の大陸である企業統治についてお話します。これは、委託と受託の二つの言葉をキーワードとするアカウンティングです。

第五大陸は、アカウンティングマップを縦切りにした場合には受託責任のところに、横切りにした場合には外部会計のところに位置します。お話の舞台は、株式会社という制度そのものとなります。

一言で株式会社と言っても、その実態は様々です。商店街で商いをしているお店の中にも、株式会社はいくつもあります。会社の所有者である株主と経営者である社長が同一な同族会社は、所有と経営が未分離の株式会社です。しかしここで話題にあげたいのは、所有と経営が分離している株式会社で、その典型は上場企業です。株主は自己の貴重な資金を委託はしますが、経営には直接関与しません。かたや経営者は、株主の資金を受託して、それらを用いて事業を営みます。ここに、所有と経営の分離が生じます。自らの大切な資金を委託した株主は、本来であれば、経営者が自分のお金を適切に運用しているかどうかを経営者の横で監視していたいものですが、言わずもがな、そのようなことは不可能です。そこで、監視を制度に委ねます。これが企業統治です。英語ではコーポレートガバナンスと言います。

「コーポレートガバナンス」は、ひょっとすると今年の流行語となるかもしれません。最近では3月に、金融庁と東京証券取引所が、社外取締役を二名以上置くことを柱にした企業統治指針、別名コーポレートガバナンス・コードを正式決定しました。これは上場企業を対象とするもので、6月1日から適用されています。株主が経営者の横にずっと坐っていることはできませんので、次善の策として、社外取締役にその役割を担わせようという次第です。さらにこの5月に施行された改正会社法においては、従来の監査役会設置会社や委員会設置会社に加えて、これまでになかった新たな形のコーポレートガバナンスが設計されました。名付けて、監査等委員会設置会社。5月末時点ですでに180社を超える上場企業が、その採用を表明しています。監査等委員会は三名以上の取締役から成り、その過半数は社外取締役でなければなりません。

それでは、このコーポレートガバナンスはアカウンティングとどのように関係してくるのでしょうか。先ほど申しあげましたとおり、株主は経営者に資金を委託し、経営者は株主から資金を受託します。経営者は他人のお金を預かっているわけですから、その運用が上手くいっても、しくじっても、顛末を株主に対してきちんと説明する責任があります。この説明責任のことを、英語でアカウンタビリティと言います。ここに、アカウンティングの語が入っているのです。

経営者から株主への説明責任は、第一義的には財務諸表を通じて果されます。これについては、すでに第三大陸の財務報告の説明において紹介しています。簡単におさらいをしますと、財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の三種から成ります。前提条件として財務諸表は、虚偽や誤りを含まずに適正に作られていなければなりません。偽りの決算報告書では、経営者の説明責任が果されたことにはならないのです。そこで、会社外部の公認会計士や監査法人が監査を行って、財務諸表の適正性を保証します。併せて、会社内部の監査機関によっても、監査が行われます。会社内部の監査機関と聞けば難しく感じられるかもしれませんが、監査役という役員が多くの会社におられるものと思います。上場企業に限らず、日本の株式会社の監査機関は大半が監査役です。

先に紹介しました監査等委員会設置会社という新しいコーポレートガバナンスは、実は、従来の監査役会に代えて監査等委員会に監査機能を持たせようという趣旨です。そして、この監査等委員会のメンバーの過半数は社外取締役でなければなりませんから、ここでは「監査機能」よりさらに範囲が広い「監督機能」が期待されていると思います。会社の利益を偽って過大に報告しようとしている。これを改めるのが「監査機能」です。経営者が株主の利益を犠牲にして自らの利益を追求しようとしている。これを防ぐのが「監督機能」です。

今日のお話をまとめます。
アカウンティングマップの第五大陸は、企業統治です。経営者は自らの受託責任を果すべく、適正な財務諸表を作成しなければなりません。ここで鍵となるのが、会社内外で実施される監査です。

分野: アカウンティング グロービス経営大学院 |スピーカー: 谷保廣

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