QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第四大陸は管理会計 (アカウンティング、ファイナンス/谷保廣)

第四大陸は管理会計

谷保廣 アカウンティング、ファイナンス

15/06/08


アカウンティングは、六大大陸から成っています。今回はそのなかの四番目の大陸である管理会計についてお話します。これは、企業内において経営を改善するために用いられるアカウンティングです。

第四大陸は、アカウンティングマップを縦切りにした場合には意思決定のところに、横切りにした場合には内部会計のところに位置します。一言で言えば、企業内部の利害関係者、具体的には経営トップを中心とする経営陣の意思決定に貢献する会計領域となります。

経営トップが最も気にする財務指標として、まず想起されるのは利益額でしょう。業種業態や規模の大小を問わず、仮初めにも営利事業を営む限り、利益額なくして存続なしです。ここで、同業の2社、甲社と乙社について考えてみましょう。両社ともに今期の利益額は100万円で、その意味では両社の成果に違いはありません。しかしよく調べてみると、甲社の資本金は1,000万円、乙社の資本金は5,000万円でした。そうであれば、資本金が小さい甲社の方が成果が大きかったということになります。甲社は1,000万円の資本金で100万円を儲けたわけですから、利益率は10%です。それに対して乙社は、5,000万年の資本金で100万円しか儲けなかったので、利益率は2%です。このように、企業の成果を比較する場合には、利益額よりも利益率の方が合理的です。

企業の当期純利益を自己資本で割った比率のことを、自己資本利益率と言います。英語ではReturn on Equityですので、その頭文字をとってROEとも呼ばれます。最近、経済関連の新聞雑誌において、ROEという文字をご覧になる方も多いのではないでしょうか。その背景として、昨年閣議決定された日本再興戦略のなかで、経営者のマインドを変革しグローバル水準のROEを達成することが重要、との一文が明記されたという事情があります。すなわち今やROEは国策となっているのです。

経営トップがROEを高めることを望むのであれば、企業を構成する各事業部の利益率を高めなければなりません。一つの企業の中には大きな事業部もあれば小さな事業部もあります。大きな事業部はより多くの資本を使っていますので、小さな事業部と同額の利益を出しただけでは不十分です。全社の目標ROEが15%であれば、社内の各事業部は自らが使っている資本の15%の利益を上げることが目標となります。経営トップは、各事業部の利益率の達成度合いを勘案しながら、各事業部の改廃や組み替え、人材の配置などの意思決定を行うことになります。これがまさに管理会計の具体例です。

ROEは、当期純利益を分子に、自己資本を分母におくことで算定されます。当期純利益とは、株主が配当でもらえるお金のことです。自己資本とは、株主が出したお金のことです。すなわちROEとは、株主が自らの持分に対して受け取ることができる果実を測るもので、いわば株主の視点からの財務指標です。株主の視点から企業の効率的運営を図るという意味ではROEは有効ですが、弊害がないわけではありません。企業内の各事業部長が当期の資本利益率を高めようとするならば、即効性のない設備投資や人材育成に資金を投じることに消極的になりがちです。これらにお金を使った場合には、分母が増える一方で、分子の方はすぐに増えるとは限らないからです。ROEをあまり強調しすぎると、企業経営が近視眼的になってしまい、長期的な企業成長が損なわれる恐れが生じます。

第四大陸においては、ROE以外にも、米国伝来のバランスト・スコアカードという手法もあります。これは、「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の四つの視点から、企業の業績を多角的に評価する管理会計の手法です。ここでは、短期目標と長期目標のバランスを巧みにとる工夫が凝らされています。先ほどのROEは、バランスト・スコアカードの一番目の「財務」に含められます。人材の育成は、四番目の「学習と成長」で重要課題に設定されます。

今日のお話をまとめます。
アカウンティングマップの第四大陸は、管理会計です。管理会計は内輪の会計ですから、経営トップが自由に設計してかまいません。経営トップが抱く株式会社の理想像を実現するよう、最適な管理会計を選択することになります。

分野: アカウンティング グロービス経営大学院 |スピーカー: 谷保廣

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ