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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第三大陸は財務報告② (アカウンティング、ファイナンス/谷保廣)

第三大陸は財務報告②

谷保廣 アカウンティング、ファイナンス

15/06/05


今回は前回に引き続き、アカウンティングの第三大陸である財務報告についてお話しします。財務報告は、企業外部の利害関係者の意思決定に貢献する会計領域です。ビジネスパーソンがアカウンティングを学ぶ時には、こちらから上陸されるのがよろしいでしょう。

前回は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の三表についてお話ししました。実はこれらの財務諸表の作り方を定める会計ルールに、近年、大きな変化が生じています。これまで日本企業が財務諸表を作成する場合には、当然ながら日本基準が用いられてきました。しかし、約3,600の上場企業のうち、すでに70社を超える企業が国際会計基準(IFRS)で財務諸表を作成しています。国際会計基準とは、英国のロンドンに本部を置く国際会計基準審議会という団体が設定する、欧州発の会計ルールのことです。全世界で100近くの国もしくは地域が部分的であれ採用しているグローバルルールです。わが国でも企業の選択によって、日本基準に代えて国際会計基準を適用することが認められています。

国際会計基準は時価を重視する点に大きな特徴があります。時価とは今の値段、これとは対照的に、原価とは過去の購入時の値段をいいます。たとえば、あるメーカーが工場を新設し、総工費として10億円を要したとしましょう。現行の日本基準に従えば、貸借対照表の有形固定資産の部にこの原価10億円を計上します。ただし、建物であれ設備であれ、時の経過とともに価値を落していきます。仮にこの工場の耐用年数を40年とすると、10億円の工場が40年で価値を失うわけですから、毎年2,500万円ずつ費用化されることになります。これが減価償却費です。このような会計処理の方法を「原価モデル」と呼びます。それに対して国際会計基準は、原価モデルを認める一方で、「再評価モデル」という別の方法も認めています。この再評価モデルに従えば、定期的にその工場の時価を見積もることとなります。先の工場新設から、4年間が経ったものとしましょう。原価モデルに従えば、毎年2,500万円ずつ減価償却費を計上するわけですから、4年後には減価償却費の累計額は1億円になります。もともとの取得原価は10億円ですので、この1億円を控除した9億円が、4年後の貸借対照表に計上されます。さて幸いにしてこの工場が製造する製品が売れに売れて、生産現場においてはフル稼働が続いているとします。この工場が当社にもたらす将来のキャッシュフローを現在価値ベースで15億円と見積もったとするならば、国際会計基準はこの金額を貸借対照表の有形固定資産の部に計上することを認めています。これが再評価モデルです。

国際会計基準はなぜ時価を重視するのか、その理由を理解するためには、一度株式会社という存在について考えてみる必要があります。一般従業員や消費者の立場からすれば、会社とは、働いたり利用したりする生活の場に違いありません。ところが投資家の立場からすれば、株式会社とは、売ったり買ったりする金融商品となります。株式会社が売買の対象であるならば、その財産の一覧表である貸借対照表はできるだけ今の値段で評価した方が、会社の売買価値を判断するうえで都合がよいのです。国際会計基準は、このような投資家の要望を強く反映しています。

今日のお話をまとめます。
アカウンティングマップの第三大陸は、財務報告です。財務報告は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書という三表によって行われます。近年、この財務諸表の作成ルールにおいて、国際会計基準が大きな影響力をもちつつあります。

分野: アカウンティング グロービス経営大学院 |スピーカー: 谷保廣

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