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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > エネルギー関連のビジネスモデルの特徴2 (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

エネルギー関連のビジネスモデルの特徴2

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

15/06/10


・前回は、エネルギー関連のビジネスには、(1)規模の大きさ、(2)投資の大型化と長期視点、(3)既存サプライチェーンとの整合、(4)ユニバーサル・サービス、(5)政府規制、の特徴があることを話した。

・今回は、それらの特徴が具体的なビジネスモデルにどのような影響を与えるかについて考えてみたい。

・ビジネスモデルを考えるにあたっては、以前紹介した「ビジネスモデル・キャンバス」という、紙1枚でビジネスモデル全体を俯瞰して整理できるツール(シート)を使う。
・ビジネスモデル・キャンバスとは、1枚の紙の真ん中に「価値提案」というボックスを置き、これを中心に右半分に「顧客セグメント」、「顧客との関係」、「チャネル」、「収益」といった、顧客とのかかわりに関するボックスを配置する。左半分には、「主要な活動」、「資源」、「パートナー」、「コスト」という、製品やサービスを提供する活動に関するボックスを配置して、全体を表現する。実にシンプルな構造だ。

・分析対象のビジネスとして、燃料電池自動車への水素供給事業を取り上げる(下線部は、エネルギー関連ビジネスの特徴が現れている箇所)。既にトヨタのMIRAIが公道を走り始めているが、燃料電池自動車は、水素ステーションで車載タンクに水素を充填し、走りながら水素を燃料電池に供給することで発電し、モーターを駆動させ車を走らせる仕組みだ。

・まず、9つのボックスの中で最も重要で、最初に考えるべき点は、真ん中の「価値提案」と右端の「顧客セグメント」だ。まず、「顧客セグメント」だが、現在のところ燃料電池自動車は市場投入され始めたばかりで、水素供給を求めるユーザーは少なく、環境意識の高い個人ユーザーやデモンストレーション利用の役所や企業などに限られる。従って、ユーザー増加を図るためには投資の大型化と長期視点が不可欠となる。また、たとえユーザー数が少なくても、水素ステーションは、ユーザーがアクセス可能な範囲に立地する必要があることが条件となる(ユニバーサル・サービス)。

・次に、「価値提案」だが、水素ステーションのビジネスモデルにおける価値提案は、価格と環境負荷低減だ。現在、ステーションで販売される水素の価格は、同程度のガソリン車の燃費換算で同等の価格(1,000円/kg程度)に設定されており、ガソリンと比較した際の特段の優劣はない。環境負荷低減は、ガソリン車よりも大幅に向上する。
・今後、ステーションを普及させ水素の価格を下げるためには、既存の都市ガスインフラを有効活用することが挙げられる。つまり、オンサイト型というステーションで都市ガスを改質して水素を製造し、それを車に供給するステーションのタイプである(既存のサプライチェーンの利用)。現段階では、低コスト化の技術開発が途上であること、政府規制があること、運営人件費の高さ等で高コストだが、これらを低下させていくうえで既存インフラの活用は重要だ。そもそも、水素社会の目的は、排出される二酸化炭素を減らすことが重要課題の一つなので、本来であれば再生可能エネルギー等によって水素を製造することが望ましい。しかし、そのためには技術開発とコストダウンにまだまだ時間を要するため、当面は都市ガスインフラの有効活用で普及を図るという考えが必要だ。また、ステーションの設置数の少なさには、政府の規制が多いことによるステーションの高コスト化が影響している。従って、今後規制緩和が進めば、よりユーザーにとって価値の大きい低コストのステーション設置が進むだろう。

【今回のまとめ】
・ビジネスモデル・キャンバスを活用して、燃料電池自動車むけの水素供給事業のビジネスモデルを分析すると、エネルギー関連のビジネスの特徴が顕著に現れていることが判る。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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