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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本の株価について1 (企業財務管理、国際金融/平松拓)

日本の株価について1

平松拓 企業財務管理、国際金融

15/06/25

 今回は、堅調が続いている株価の動きについて考えてみたいと思います。

 日経株価は2008年のリーマンショック以降、一時は7千円台にまで沈んでいましたが、ここ3年の間に大きく回復し、4月には15年ぶりに終値で2万円台をつけるなど、この間に2.5倍程度上昇しています。そのため、この3年の間に株式投資を始めた人の中には結構儲かっている人、値上がり株を抱えて含み益を享受している人が多いのではないかと思います。しかし、株式投資をすればいつでもこのように良い結果が得られる訳ではありません。実際にバブル時代の終盤、1989年の終わりに日経平均株価は39,000円近くまで上昇しましたが、その後急落し、更に2000年代に入ってからのITバブルの崩壊によって8,000円近辺まで下がりました。その後一時18,000円位まで回復しましたが、リーマンショック後の急落で一時7,000円台をつけるなど、大きな変動を繰り返しています。このように株価が激しい動きを繰り返す中で、株式投資で利益を上げるのは簡単ではありません。私も株価の動きを正確に読む自信があったら、仕事をデイ・トレーダーに変えていたかもしれません。

 それでは、株価の水準自体を言い当てるのは難しいにしても、この株価は何により動き、そしてどのように決まっているのでしょうか?
此処まで話題にして来た日経平均は株価の指標の中でも、証券取引所に上場されている株式代表銘柄の平均価格ですが、その証券取引所という所はまさに「株」という「モノ」を取引する市場に他なりませんので、他の商品同様に価格を決めるは「需給」ということになります。ただ、需給が決めるといっても、証券市場の参加者の中には投機やさや取りの目的で、ごく短期で資金を運用する参加者も含まれていますので、皆が値上がりすると思ったら実際に価格が上がる、皆が下がると思ったら実際に価格が下がるというように―――こういうのを自己実現的な変動と呼びますが―――投機的な思惑を反映した動きも見られます。

 以上は実態の話ですが、少し理論的な観点から株高を考えてみましょう。一つの企業の発行済み株式の価値総額、これを時価総額といいますけれども、この時価総額のあるべき金額を、その企業の「将来亘ってのリターン」を「期待される投資利回り」で割り引くことによって求めることがあります。これを「収益還元法」と呼びますが、こうして求めた「時価総額」を発行済み株式数で割ってやれば、あるべき株価の目安が求められます。つまり、株価は企業の将来の良好なリターンが期待できれば上昇するし、投資家の期待する利回りが高ければ逆に低下するわけです。
より具体的には、企業の当期純利益、これは企業の売上から原価や人件費などの費用を差し引き、そこからさらに社債や融資の形で資金提供してくれている債権者への利払い、更に税金も差し引いた残りで株主の為の取り分(リターン)と考えることができます。将来に亘っての、この当期純利益を分子に、投資家が期待する利回りの水準、これは少々厄介ですが、長期金利と過去の株価データを勘案して求めた利回りを分母と考えて計算してやれば、あるべき株価総額が求められます。後はそれを発行済み株式数で除してやれば、株価の目安が求められます。

 この数式に則して考えると、分母の方の期待投資利回りについては、現在は日本に限らず欧米も含めて極端な金融緩和政策を実施中で金余り状態です。こうした中では、それ程高いリターンが見込めなくても株式市場にお金が入ってくるため、期待リターンも下がっていると見られます。一方、分子については、リーマンショック後に振るわなかった日本企業の業績が、アベノミクスによる円高修正効果や米国経済の回復などから昨年度より顕著に回復しており、今年度も継続する見通しです。分母が小さくなる一方で分子は増加しているため、株価総額や株価の増加・上昇に繋がっているということができます。

 その他にも、前に採り上げた法人税減税も税務署への支払が減る分株主へのリターンが増えるため、株価要因として挙げられます。尤も、減税分の大半は別の形での企業への増税で賄われるため、全体としてのインパクトは限られるでしょう。

 その他、今回の株価上昇の背景として、政府や日銀など公的な部門が直接間接に株式市場の需給に影響を与える政策によって結果的に株価を支えていることが特徴的です。詳しくは次回お話ししますが、ここでは具体例として「NISA小額投資非課税制度」の導入や、日銀による「指数連動型上場投資信託(ETF)」の買い入れ、それと少し性格は違いますが、機関投資家の行動原則或いは企業側の行動規範としてのスチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの導入といったことを挙げておきます。

 まとめ:リーマンショック以降低迷していた日本の株価の回復がここ3年近く続いています。基本的な背景としては、従来からの金融緩和に加えて、円安等を起点として日本企業の業績が回復しているということが挙げられますが、その他にも政府による様々な株価支持効果を持つ政策が影響しているということも理解しておくべきでしょう。

分野: ファイナンシャルマネジメント 国際経営 |スピーカー: 平松拓

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