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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アメリカとキューバの国交回復 (企業財務 M&A/村藤功)

アメリカとキューバの国交回復

村藤功 企業財務 M&A

15/05/14


アメリカとキューバの国交回復

今日は、アメリカとキューバの国交回復について話します。昨年の12月に、オバマ大統領がキューバとの国交回復を発表して、大騒ぎになりました。その背景には、数年にわたる秘密交渉があり、ローマ法王やカナダが関わっていたと言われます。現ローマ法王は南米出身ということもあって、キューバとアメリカの間の書簡のやり取りなどを仲介していたようです。キューバはこれまでベネズエラにいろいろと助けてもらっていましたが、ベネズエラにおいて原油の価格が下がっているために、それも苦しくなってきています。そこでアメリカと国交を回復して、欧米や日本と親しくし、経済を回復しようとしているのです。

アメリカとキューバの国交断絶は、半世紀以上前に遡ります。当時キューバでは、親米のバチスタが政権を握っていました。しかし1959年に、現在のラウル・カストロ議長の兄であるフィデル・カストロがバチスタ政権を倒しました。いわゆる、キューバ革命です。これにアメリカが怒り、1961年に両者の国交が断絶することとなりました。

その翌年に、キューバ危機が起こります。キューバ危機は、アメリカを中心とする自由主義・資本主義陣営と、ソ連を中心とする社会主義・共産主義陣営の対立である冷戦のピークを成します。地理的にアメリカに近いキューバがソ連側の陣営に入ったことで、ソ連がキューバから核ミサイルをアメリカに撃つことが可能となりました。それに対して、アメリカ側も撃ち返す準備をしていました。両者ともに、地球を何個でも破壊できるほどの量の核ミサイルを持っていたために、世界滅亡の一歩手前の状態になっていたのです。しかしお互いに何とか思いとどまって、軍縮がはじまります。その後、ゴルバチョフ大統領のペレストロイカのおかげで、1989年に冷戦が終了しました。ドイツではベルリンの壁が破壊されましたが、朝鮮半島では南北が未だ分かれたままですし、キューバもまた冷戦の名残となっていました。そうした名残をそろそろなくすために、ローマ法王の仲立ちを通して、オバマ大統領は冷戦終了に踏み切ろうとしています。

前回の中間選挙でオバマ大統領は敗北し、共和党が上院下院ともに握りました。したがってオバマ大統領がやることはことごとく反対されているのですが、この国交回復については、国民の6割が支持していると言われています。アメリカの企業にしてみれば、キューバといろいろな商売をすることができるようになれば、これに越したことはありません。現状では、アメリカ企業が早くもキューバに通い始めています。ヨーロッパ企業や日本企業もまた、キューバを訪れ始めています。日本の岸田外務大臣が日本の外務大臣としてはじめてキューバを訪問した際には、15社ほどの日本企業が一緒についていきました。このように、中南米においても冷戦が終わる状況にようやくなってきています。

一方で、中国が中南米に擦り寄ってきていることに、オバマ大統領は不満を覚えているようです。中南米にはいろいろな資源があるために中国が様々に支援しており、アメリカの敵が中国と友達になってきているのです。そこで中南米が中国に取り込まれる前にアメリカに取り込もうとして、オバマ大統領がキューバとの国交回復を目指したという事情もあったでしょう。加えて、共和党との間で揉めてはいるものの、移民改革を志しています。これまでは不法移民の子供はアメリカ国民となるために、親となった不法移民を追い返すことで、親子がばらばらになるという問題が生じていました。これに対して、親となった不法移民を数年間は追い返さなくてよいとするものが、この移民改革です。

今日の話をまとめます。
アメリカは、冷戦以来国交を断絶してきたキューバとの国交回復を目指しています。冷戦を終わらせて、中南米をアメリカへ取り込むことで、中南米への中国の進出を拒もうとしています。キューバとしても、社会主義体制を容易に放棄するわけにはいかないものの、経済を復興したいと考えています。日本の政府も企業もそうした流れに則り、キューバへ訪問しつつあります。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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