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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ギッフェン財 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

ギッフェン財

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/05/13

  今回は、「コメが値上がりするとパンが売れる」というお話をしますが、まずは、「パンの話」です。
1個目のパンは、大変美味しく感じ、値段が高くても買いたいと思いますが、2個目からはそれほどでもありません。あと一個パンを追加で買うか否かを考えるとき、いくらまでなら払ってもよいか、という金額を「限界効用」と呼びますが、パンの限界効用は次第に減っていきます。コメも同様です。つまり、パンばかり食べていると、パンの限界効用は下がり、コメの限界効用は上がります。そこで、パンが好きな人でも、コメが多少高くても、少しはコメも買おう、という事になるわけです。
では、コメとパンをどのような比率で買うのでしょうか。世の中には食べ物がおにぎりとパンしかなく、どちらも一個100円だとしましょう。1個目を買うときには、あと一個おにぎりを食べるのと、あと一個パンを食べるのと、どちらが幸せかを考えて、幸せな方を買うことになるはずです。2個目も3個目も同じで、最後の一個も同じでしょう。
つまり、100円で買えるおにぎりとパンの限界効用が等しくなるような比率で買うことになるのです。
つまり、最後の1個を買う時には、パンを買ってもおにぎりをかっても同じくらい満足するので、どちらを買おうか迷ってしまう、というわけです。

  では、たとえばおにぎりが200円に値上がりするとどうなるでしょうか。おにぎり1個とパン2個の限界効用が等しくなるような比率になるので、当然おにぎりを減らしてパンを増やそう、という事になるはずです。つまり、値上がりした物は少なく買い、値上がりしていないものを多く買う、という事になります。経済学では、こうした比率の変化を「価格効果」と呼んでいます。
ここまでは、予算の事を考えていませんでしたが、実際にはもらった給料以上には買い物ができない、といった予算の制約があります。給料が十分高ければよいのですが、ここでは「食べたい物を食べたいだけ買うと予算が足りない」、という状況を考えましょう。そうなると、もう一つ考えなければならない事が出て来ます。
コメが値上がりしても、少しはコメを買います。それにより、給料の残りが少なくなってしまうと、パンを買う個数はそれほど増えないかも知れません。コメの値上がりによって予算の制約が厳しくなり、それによりコメとパンの購入量が変化する事を、経済学では「所得効果」と呼びます。実際には、さきほどの価格効果と所得効果が両方同時に発生して、結果として購入量がどうなるのか、という事が問題になるのです。

  極端な場合には、コメの値段が上がるとパンの売り上げが減る場合があります。実際、米国ではガソリンの値段が上がると消費が落ちる事があります。米国ではガソリンが必需品ですから、ガソリンが値上がりしても人々がガソリンを買う量は減りません。それで財布が軽くなった米国の消費者は、物を買わなくなるというのです。
では、頭の体操です。コメが値下がりするとコメの売り上げ数量が減る、という事はあり得るでしょうか。
普通に考えれば、価格効果はパンを減らしてコメを増やす方に働きますし、所得効果も予算の制約が緩くなるので前よりたくさんコメを買うようになるはずですよね。でも、そうでない可能性も理屈の上ではあるのです。
ある国ではパンが高く、贅沢品だとします。国民は貧しく、給料の全部をコメに使っているとします。コメの値段が下がると、給料が余りますからパンを食べます。パンを食べた分だけ、買うコメの量が少なくて済みます。つまり、コメの値段が下がるとコメの売上数量が減るのです。

  こうした事は、コメやパンだけではなく、時間の使い方にも関係しています。アルバイトの時給が高くなると、学生がアルバイトをする時間は伸びるでしょうか。1時間アルバイトをするとステーキが1枚食べられますが、自由な時間が減ります。最初の1枚のステーキは限界効用が高い一方で、自由時間はたくさんあるので、自由時間が1時間くらい減っても限界効用はそれほど大きくありません。そこで、自由な時間をステーキと交換します。
しかし、ステーキを食べれば食べるほど、限界効用は小さくなっていき、自由時間が減れば減るほど限界効用が大きくなっていき、いつかは逆転するので、交換するのをやめることになります。
アルバイトの時給が2倍になると、自由時間を1時間減らせばステーキが2枚食べられるようになるので、これは沢山アルバイトをする理由になります。一方、最初の1時間でステーキが2枚食べられてしまうとステーキの限界効用が下がり、2時間目のアルバイトをするメリットを感じなくなる、という事もあります。どちらが強く働くかで、アルバイトの時間を増やすか否かが決まるのです。

  まとめ:コメとパンをどのような比率で買うかを考える際には、同じ値段で買えるコメとパンの限界効用が等しくなるように決めます。コメが値下がりするとコメを買う量が増えてパンを買う量が減るのが普通ですが、極端な場合にはそうならない場合もあります。

分野: |スピーカー: 塚崎公義

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