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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 限界費用など (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

限界費用など

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/05/05

  前回は消費者の限界効用の話をしましたので、今度は生産者の「限界生産力」の話をします。

  労働者は、長時間働くと疲れるので、あと1時間働くと何個作れるか、という個数が次第に減って行くのです。これを「限界生産力が逓減する」と言います。
アルバイトにペンを作らせる会社があるとします。アルバイトの時給は1000円です。ペンは1本300円で、材料費はゼロだとしましょう。
最初の1時間は、アルバイトが元気なので、5本作ります。次の1時間は4本作ります。次は3本、次は2本、次は1本です。6時間目は疲れて仕事になりません。会社の戦略として、アルバイトを何時間雇えば良いでしょうか。
最初の1時間目は、限界生産力が5本、つまり1500円分ですから、1000のバイト代を支払っても雇うべきです。2時間目も1200円分の限界生産力ですから、雇うべきです。しかし、3時間目は900円分の限界生産力ですから、雇うべきではありません。つまり、会社としては、「2時間しか雇わないが、それでも働いてくれるか?」と聞くのが正しいという事になります。

  一方アルバイトとしては、「4時間働いて4200円分のペンを作ります。バイト代は4000円ですから、御社にとって得でしょう。だから4時間雇って下さい」と言うのが正しい戦略です。言い換えると、「4時間働いた時の平均生産量は3.5本だから、私の1時間の労働は平均して1050円分の価値があるので、雇った方が得ですよ」という事になります。
この時、会社は受けてはいけません。4時間働いた時の平均生産量は1050円分ですが、4時間目の限界生産力は2本、つまり600円分しかないからです。前回も言いましたが、限界と平均は違うのです。十分気を付ける必要があります。
あとは、交渉になります。限界生産力の話からは外れてしまいますが、アルバイトとしては、「4時間働くか、全く働かないか、どちらかです。2時間だけ働くというのは絶対嫌です」と言えばよいのです。もっとも、あまり強気に出ると、「ならば、他の学生を雇うから、君は来なくてよい」と言われる可能性もありますから、要注意です。

  次は、生産者の「限界費用」についてです。先ほどのペン作りのアルバイトの話を、別の方向から見てみましょう。
最初の1時間は、1000円のバイト代で5本作りますから、1本あたりの限界費用は200円です。
厳密に言えば、最初の1時間でも1本目と5本目は作る速さが違うかもしれませんが、ここでは同じだという事にしておきましょう。
ペンが1本300円で売れるなら、雇うべきです。2時間目は、1000円で4本作りますから、1本あたりの限界費用は250円です。これが1本300円で売れるなら、雇うべきです。3時間目は、1000円で3本作りますから、1本あたりの限界費用は333円です。これを300円で売ったのでは赤字になりますから、雇うべきではありません。こうして、バイトは最初の2時間だけ雇うべきだ、という結論になります。結果は先ほどと同じです。同じ事を違う方向から考えてみただけですので、当然の結果と言えるでしょう。

  このことを経済学では、「限界費用が限界収入と等しくなるまで生産する」と言います。限界費用が限界収入より低ければ生産を増やし、限界費用が限界収入を上回ったら生産を止める、という事です。
「限界費用」は、あと一個作るための費用のことで、「限界収入」はあと一個売る数を増やした時に増える収入の金額の事です。この場合には、アルバイトの時給を最後1時間の生産個数で割った値が限界費用になり、製品の販売価格が限界収入になります。
「ある限界収入を得るための限界費用が上がっていく」という事は、逆から見れば、「ある限界費用を支払っても得られる限界収入が減って行く」ということです。つまり、どちらの側から見ても、「限界費用と限界収入が等しくなるまで生産を増やす」という事になります。
「10個作って利益が出たから良かった」という考え方はやめて、「9個作るのと10個作るのと、どちらの利益が多いだろう」と考えましょう。そのために便利なのが、「9個目より10個目の方がコストがかかるはずだが、10個目のコストは売り値を超えていたのではないか」というチェックポイントだ、というわけです。

  まとめ:限界費用が限界収入と等しくなるまで生産するべきです。生産量が増えると限界費用が増えていきますが、限界収入を下回っている間は生産を増やすべき、という事です。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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