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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 限界効用 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

限界効用

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/05/04

  今日は、「限界効用」というお話をします。経済学で「限界」というのは、日常用語とは異なり、「あと一個」という意味です。つまり、「限界効用」とは、「あと一個食べることによる満足」という意味です。
1個目はとても美味しいけれど、2個目はそれほどでもなく、しばらくすると飽きて来るというように、「限界効用」は少しずつ減って行きます。これを経済学では「限界効用が逓減する」と呼んでいます。

  空腹時のパンは非常に有難いですから、400円でも買いたいと思うでしょう。2個目のパンは、それほどでもないので、300円なら買いたいと思うでしょう。3個目は200円、4個目は100円で、5個目は満腹なので無料でも食べたくないと思うでしょう。この場合、最初の一個の限界効用が400円分で、2個目以降は次第に減って行きます。

  さて、レストランのメニューで4個入りのパン籠があったら、いくらまでなら支払うでしょうか。最初の1個が400円、次が300円、次が200円、次が100円の限界効用ですから、合計すると1000円です。つまり、1000円以下であれば買うけれども、高ければ買わないという事になります。

  4個入りパン籠を1000円で買うということは、一個当たり平均価格は250円です。そこでレストランは、「このお客にとって、パン一個は250円の価値があるのだ」と考えるかも知れませんが、そうではありません。パン籠を買ったお客に対し、「5個目はばら売りで250円ですよ」と言っても、買ってくれないでしょう。
レストランから見ると同じパンに見えますが、お客にとってのパンの価値は、最初の一個と次の一個では違うのです。「限界と平均は違う」ということです。お客は4個で満腹になりますから、5個目は無料でも欲しくない、という事になるのです。限界と平均は違うので、注意が必要です。
  
  では、パンが籠ではなく、最初からバラ売りで一個250円だったら、お客は何個買うでしょうか。2個食べれば空腹は収まるので、3個目は200円であれば買うかもしれないけれども、同じ値段では買わないでしょう。
では、レストランの戦略を考えてみましょう。パンの仕入れ値が一個200円だとして、1個250円でバラ売りすると、2個の売り上げで500円、仕入れ値が400円で差し引き100円しか儲かりません。4個入りを1000円で売ると、仕入れ値が800円ですから、差し引き200円儲かります。

  1個ずつ売るのではなく籠に入れて売ると利益が増えるわけです。しかし、もっと儲かる方法があります。
2個入りを700円で売れば、仕入れ値が400円ですから、差し引き300円儲かります。700円という値段は、消費者の限界効用を2個分加えたものです。最初が400円、2個目が300円の合計です。
同様に、3個入りを900円で売っても、300円儲かります。仕入れ値が1個200円の時には、2個入りと3個入りが正しい売り方なのです。
2個入り700円と3個入り900円では、値段の差が200円です。これは、お客にとって3個目の限界効用が200円なので、200円高くても売れる、という事から来ているのですが、たまたまレストランの仕入れ値も200円なので、2個入りでも3個入りでも利益は変わらないのです。

  では、仕入れ値が一個50円だったらどうでしょうか。4個入りを1000円で売れば、800円も儲かります。2個入りでも3個入りでも、そんなには儲かりません。4個目についても、お客の限界効用がレストランの仕入れ値より高いので、3個売るより4個売る方が儲かるのです。
このように、消費者の限界効用がわかれば、自分の仕入れコストと比べながら、最適な売り方が出来るのです。
もっとも、この話には一つ落とし穴があります。4個入りを1000円で売ろうとしても、隣にライバルのパン屋さんがあればうまく売れません。ライバルが4個入りを999円で売り出すからです。こうして結局は値下げ競争になり、それほど美味しい儲話は転がっていないという事になるでしょう。隣にライバルがいるか否かは大変重要な事なのですが、ライバルの話は別の機会にすることにしましょう。
さて、「限界効用が逓減する」ということは、「リンゴ村ではミカンの方がリンゴより値段が高い」という事を意味しています。つまり、リンゴ村の人々はリンゴを食べ飽きているため、高い値段を払ってもどうしてもミカンを食べたい、と思っているわけですね。
そうだとわかれば、リンゴ村でリンゴを仕入れて、ミカン村でリンゴを売り、ミカンを仕入れてリンゴ村へ行く、という商売が成り立つことになります。リンゴとミカンの値段の比率がリンゴ村とミカン村で全く違うからです。しかし、多くの商人が同じ事をすると、リンゴ村の人がミカンを沢山食べて限界効用が下がり、ミカンの値段が下がり、商売が儲からなくなるかもしれません。

  まとめ:経済学で「限界」とは、あと一個たべたら満足度がどう変わるか、というように、最後の一個の持つ意味、ということです。限界と平均は違うので、注意が必要です。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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