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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第二大陸は原価計算 (アカウンティング、ファイナンス/谷保廣)

第二大陸は原価計算

谷保廣 アカウンティング、ファイナンス

15/05/21


今日は、アカウンティングマップの六大大陸のうちのひとつである第二大陸、すなわち原価計算についてお話しします。ものづくりとアカウンティングがどのような関係にあるのか、探ってみましょう。

第二大陸は、アカウンティングマップを縦切りにした場合には成果計算のところに、横切りにした場合には内部会計のところに位置します。一言で言えば、対内的な価値の流れを対象に成果を計算する会計領域となります。

たとえば、昨日の夕食がカレーライスであったと仮定し、カレーライス一杯分のコストを計算することを考えてみましょう。まず、食材にかかった費用が念頭に浮かぶでしょう。それから、水道光熱費も必要です。さらには、作った人の人件費も考慮に入れなければなりません。家庭労働の人件費の算出は、本来難しいものです。しかし市場を眺めると、各家庭に出向いて食事を作るパーソナルシェフという職業もあります。そういう人に支払われる料金が、家庭労働の人件費の参考になります。後は、台所や厨房機器、スペースそのものの原価も、考えなければなりません。高価なシステムキッチンを導入しているならば、その購入金額の一部は昨晩のカレーライスが負担すべきと言えます。賃貸マンションに住んでいる場合は家賃の一部が、持ち家に住んでいる場合は購入金額の一部が、それぞれカレーライスのコストに含められます。このように、カレーライスが作られる過程を丁寧に追っていけば、原価を構成するものが自ずと見えてきます。

さて、これらの原価要素は二つのグループに分けられます。食材費やシェフの人件費は、カレーライスという製品に直接関連付けられます。メーターさえ付けておけば、カレーライスを調理するために用いた電気代やガス代、水道代も把握することができます。これらの原価要素を直接費と呼びます。

かたや、システムキッチンや家賃はどうでしょうか。当然のことながら、その全額をカレーライス一杯に背負わせることはできません。何らかの基準を用いて、その一部だけをカレーライスに負担させることになります。このような原価要素を間接費と呼びます。ここでは計算しやすいように、一か月の家賃が12万円である賃貸マンションを想定しましょう。一日当りに換算すると、ざっと4,000円に相当します。厨房の面積が家屋の全面積の1/8ならば、一日当りの厨房の家賃は4,000円×1/8=500円になります。もっとも一日に3食を準備するのであれば、この500円全額を夕食のカレーライスの原価とみなすことはできませんが、計算の原理そのものは基本的にはこのようなものです。もしカレー店を営むのであれば、この家賃相当を一杯のカレーライスの代金にきちんと織り込まなければなりません。それを怠ると、骨折り損のくたびれ儲けになりかねません。ここに原価計算の重要性があります。

さらに夕食に手作りの餃子が加わったとしましょう。すなわち、昨日の夕食はカレーライスと餃子です。この場合、先ほど計算した一日当りの厨房の家賃500円はどのように配分すればよいでしょうか。250円ずつ折半するというのも、ひとつの考え方です。しかし、手作り餃子を調理する際には、餃子を皮からつくる以上、カレーライスを調理する時よりも多くの面積を占有します。このことを踏まえれば、カレーライス以上に家賃を負担すべきかもしれません。しかし手作り餃子の調理では広い場所が必要である一方、家族総出で取り組めば短時間で終わらせることができます。カレーライスの方は、ぐつぐつ煮込むほど美味しくなるので、長時間を要します。すると厨房の占有時間という観点からみれば、カレーライスの方がむしろ多くの家賃を負担すべしとなります。このように、配分基準の選択が間接費に影響し、それがそのままコスト計算にまで及ぶのです。

このことを、企業を例にとって考えてみましょう。企業の工場は、言わずもがな、複数の製品を製造しています。したがってそこでは、様々な間接費が生じます。固定資産の減価償却費や工場長の給与、支払保険料等がその代表例です。このような間接費をどのような基準で各製品に配分するかによって、それぞれの製品の原価が異なってきます。配分基準を不適切なものにしてしまうと、本当は安いはずの製品が高く、高いはずの製品が安く、原価計算されてしまいます。間違って安く原価計算されると、売値も安くなり、売れば売るほどに損が大きくなります。逆に誤って高く計算されると、本来ならば安価でたくさんの売上高が計上されたはずのものが、売れない事態となります。このように間接費の配分を誤ると、企業の業績に悪い影響を及ぼしかねないのです。

今日のお話をまとめます。
アカウンティングマップの第二大陸は、原価計算です。原価は、直接費と間接費に区分されます。製品の原価を適切に算定するためには、間接費の配分基準にとりわけ留意する必要があります。

分野: アカウンティング グロービス経営大学院 |スピーカー: 谷保廣

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