QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第一大陸は財務会計② (アカウンティング、ファイナンス/谷保廣)

第一大陸は財務会計②

谷保廣 アカウンティング、ファイナンス

15/05/20


今日は、アカウンティングの六大大陸のうち、前回に引き続いて財務会計についてお話しします。

これまでにお話ししてきましたとおり、アカウンティングは六大大陸によって形作られています。アカウンティングのイロハのイである財務会計は、第一大陸に相当します。第一大陸は、アカウンティングワールドマップを横切りにすれば外部会計のところに、縦切りにすれば成果計算のところに位置します。したがって財務会計は、対外的な価値の流れを対象にしてその成果を計算するもの、となります。前回はそのうち、売上高の認識規準について触れました。日本基準と国際会計基準(IFRS)を紹介し、売上高の認識時点の違いについて説明しました。

すべての企業にとって、売上高は大変に関心の深い数字です。一所懸命汗を流して売上を上げたつもりであるのに、会計上いまだ認識の時期ではないなどと言われると、企業も営業パーソンも困惑することでしょう。ここでは、自社が日本基準とIFRSのいずれを採用しているかを確認し、それに合った形で自らのマーケティングを合理化することが極めて重要です。多くの企業は、日本基準すなわち出荷基準に慣れているものと思います。たとえば3月決算において、3月31日23:59までに出荷を果せば、売上高に計上することができます。ところがIFRSを適用するとなると、3月31日23:59までに相手のところへ品物が到着していないと、売上高を計上することができません。

こうした認識時期の問題に加えて、達成した売上高の金額測定の問題もまた重要です。これは一見自明のように思われるかもしれませんが、なかなかどうして奥が深いところがありますので、これから説明いたします。

売上高は、安く買ったものを高く売るというだけのシンプルな形であるならば、容易に測定可能なものです。ところが経済取引が複雑になってくると、売上高もまた複雑化します。その一例が、皆さんがよくご存じのポイントの付与です。たとえば家電販売店で、10万円の電気冷蔵庫を購入するとします。その場で代金の10万円はきちんと支払われ、価格の2%、すなわち2,000円相当のポイントが付与されました。この2,000円のポイントは、次回の購入で使用できます。この場合、家電販売店の今回の電気冷蔵庫の売上高は10万円でしょうか、それともポイント分の2,000円を引いた98,000円でしょうか。このように一口に売上高の金額といっても、測定の問題によってある種の幅が生じるのです。

日本の現行の会計慣行に則れば、この場合の電気冷蔵庫の売上高は10万円です。次回に20,000円の電気掃除機を購入する際、2,000円のポイントを使用し18,000円だけ支払ったとすれば、家電販売店は電気掃除機20,000円の売上高とともに、2,000円のポイントを販売促進費に計上します。ここで費用が計上されることになるのです。ところがIFRS第15号によれば、電気冷蔵庫の売上高は2,000円を控除した98,000円となります。売上高は98,000円であるにもかかわらず、購入者は10万円を支払っていますので、この差額2,000円は、次回購入時までの預り金(繰延収益)という形で負債に計上されるという次第です。

このように日本基準とIFRSのどちらを採用するかによって、売上高も異なってきます。アカウンティングは数字を扱いますが、決して算数ではありません。算数では唯一の正解を求めるのに対し、アカウンティングの答えには一定の幅があります。この幅のなかでは、10万円の売上高も98,000円の売上高も、ある種妥当なものです。ここにアカウンティングの醍醐味があるといっても、過言ではありません。

今日の話をまとめます。
アカウンティングマップの第一大陸は、財務会計です。売上高の認識規準と測定規準の一例をご紹介しました。財務会計を規律するルールはひとつではなく、日本基準もあればIFRSもあります。ビジネスパーソンは、会計ルールがどのように変わりいくのか、関心をもって見守る必要があるでしょう。

分野: アカウンティング グロービス経営大学院 |スピーカー: 谷保廣

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ