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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 第一大陸は財務会計① (アカウンティング、ファイナンス/谷保廣)

第一大陸は財務会計①

谷保廣 アカウンティング、ファイナンス

15/05/11


今日は、アカウンティングの六大大陸のうち、財務会計(第一大陸)についてお話します。ここが、アカウンティングの1丁目、すなわち基本となります。アカウンティングとは、今一度おさらいすれば、「企業をめぐる価値の流れを貨幣額でもって、認識、測定、記録、報告する技術の体系」のことです。この評価のコンベアの中の「認識」は、価値の時期を問うものです。二番目の「測定」は、価値の金額を問うています。今日は、売上高の話を中心として、その認識と測定、すなわち時期と金額をめぐる今日的な問題を紹介し、財務会計について説明します。

財務会計は、アカウンティングマップを三つに縦切りした場合、成果計算という領域に含まれます。そして成果計算はさらに、外向きの会計である財務会計と、内向きの会計である原価計算に二分されます。したがって、今日のテーマである財務会計は、対外的な価値の流れを対象として成果を計算する会計のこととなります。

たとえば、卸売業で利益を計算することを考えてみましょう。1個あたり600円で仕入れた10,000個の商品を、単価1,000円で販売したとします。売上高は、単価1,000円×10,000個=1,000万円となります。原価は、600円×10,000個=600万円です。したがって売上総利益、すなわち粗利益は、1,000万円-600万円=400万円となります。これが、もっとも簡単な財務会計です。

今の話を少しだけ抽象化しましょう。外部から獲得した価値を収益といいますが、その典型が売上高です。それに対して、外部に放出した価値を費用といいます。ここでは仕入で出ていったお金のことです。すると利益は、収益と費用の差額で求められることとなります。

先の例では、単価1,000円の商品を10,000個販売することで、1,000万円の売上高が計上されました。しかし、もう少し踏み込んで考えると、10,000個を販売した具体的な時点、すなわち時期はいつなのでしょうか。そこでは、いくつもの候補がありえます。得意先から注文を貰った時、自社の商品を積んだトラックが営業所の敷地を出た時、商品が得意先の営業所に到達した時、先方の担当が検収した時、販売代金を回収した時、などです。一言で売上高の認識時点と言っても、様々な時点が想定されるのです。もし売上高が、得意先の検収時点で計上されるならば、ノルマを達成することを目的とする営業パーソンにしてみれば、注文を貰って商品を用意し、出荷しただけでは不十分ということになります。きちんと相手のところに商品が着いて検収をしてもらってはじめて、自分自身のノルマにつながるのです。その意味で、売上高の認識時点は、一営業パーソンにとっても会社全体の経営成績にとっても、死活問題といって過言ではありません。

答えを言いますと、従来から日本企業は出荷基準で売上高を認識していました。すなわち、商品を積んだトラックが敷地を出た時点で、売上高を計上していたのです。これは、いわば手間暇がかからない方法です。いつ出荷したかというのはその会社にとって承知の時点なので、実務において採用しやすいものでした。現在も、この出荷基準を使っている企業は多いかと思います。しかしすでにわが国では、70社を超える上場企業が任意でイファース(IFRS)、すなわち国際会計基準を適用しています。国際会計基準においては、この出荷基準が必ずしも認められるとは限りません。昨年5月、収益の認識に関するルール、IFRS第15号が公表されました。このルールにおいては、「支配」が得意先に移転した時点で売上高を認識すべしと規定されています。これに従えば、出荷しただけでは、自社商品の「支配」が得意先に移ったと言うことはできません。せめて、相手の敷地内に入っている必要があるでしょう。IFRSを採用すると、出荷基準の適用は難しくなります。このように取引は同一であっても、どの会計ルールを使うか、言葉を変えれば、どの物差しを当てるかで、売上高が変わってくるのです。

今日の話をまとめます。
アカウンティングマップの第一大陸は、財務会計です。財務会計を規律するルールは、一つではありません。日本基準もあれば、IFRSもあります。ビジネスパーソンには、会計ルールがどのように変わりいくのか、関心をもって見守る必要があります。今日の話をきっかけに、自社の売上高の認識規準を一度確かめてみてください。

分野: アカウンティング グロービス経営大学院 |スピーカー: 谷保廣

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