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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 家計の金融資産 (企業財務 M&A/村藤功)

家計の金融資産

村藤功 企業財務 M&A

15/04/30


今日は、日本とアメリカの家計の金融資産について話します。
日本とアメリカを比較すると、アメリカの国土面積は日本の25倍、人口は日本の2.5倍程度です。それでは家計の金融資産は、どのようになっているのでしょうか。

新聞などで言われる金融資産は、預金や株、公社債、保険、年金も含んでいます。金融資産のうちには、土地や住宅などの不動産は含まれませんし、八百屋さんなどの法人化していないお店が持っている在庫も含まれません。私がこれから話す金融資産は、家計に金利、配当やキャピタルゲイン等の金融収益をもたらさない保険や年金を除き、預金と公社債、株といった、家計に金融収益をもたらすものだけを指すこととします。

2013年末の日本の家計の金融資産は1149兆円、アメリカの家計の金融資産は42.9兆ドルでした。日本の金融資産の利回りは1%程度であることに対し、アメリカの利回りは8.4%となっています。アメリカでは金融資産そのものが結構稼いでくれるために、本業の稼ぎ以外の収益を金融資産に期待しつつ、消費することができます。そのために、働いて貰うお金や社会保険収入などから成る家計の収入から消費する金額を引くと、日本ではプラスに、アメリカではマイナスになります。もちろん、金融資産からの所得を家計の収入に加えれば、アメリカでもプラスです。

家計の貯蓄はおよそ銀行に預けられ、銀行はそれを民間企業に貸し出したり、それで政府の国債を買ったりしています。したがって、貯蓄があるということは極めて重要です。しかし日本では、バブル崩壊以降、家計の貯蓄が減って来ています。2013年末の消費税を上げる前の段階において、日本の家計の貯蓄は既にマイナスになっていました。バブルのピークの頃には、4、50兆円のプラスで、世界に名立たるものでした。それに対してアメリカは、お金を貯めないで消費ばかりして、日本のように先を考えて貯蓄をしないなどと言われていました。しかし気が付けば、アメリカの貯蓄はプラスのままで、日本の貯蓄はマイナスに転じています。

今後消費税によって、日本の貯蓄の赤字はどんどん増えて行きます。これまでは、政府が国債を発行しても銀行が国債を購入することができたために、国内で国債が十分に売れていました。しかし貯蓄がマイナスになっているため、人びとは銀行に預けている貯蓄をどんどん引き出します。その結果、銀行は、これ以上国債を持つことができなくなります。そうなると、政府の赤字は毎年40兆円ほどになりますので、国債を日銀に買ってもらうか、国外へ国債を販売せざるを得ません。アメリカでは、国債を14兆ドルほど発行し、そのうちの30%にあたる4兆ドル分を海外へ販売しています。しかしこれは、アメリカドルが国際通貨であるためです。日本の国債を買ってくれる海外の投資家は、ほとんどいません。

こうした中でひとつの方法は、日銀がお金を刷りまくることです。黒田総裁が金融緩和を行っていますが、あれはお金を刷るというものではなく、民間銀行の日銀に対する当座預金を増やすことでマネタリーベースを大きくするものです。しかしお金を多く刷れば、マネーサプライがどんどん増えて行きます。すると、現物に変化がないにも関わらず、お金の量がふえるために、お金の価値が下がることとなります。ハイパーインフレーションの懸念があるわけです。

国民経済計算によれば、家計が2600兆円を持っていますが、借り入れは300兆円しかありません。正味資産では、2300兆円ほどあるように見えます。しかしここでは統計上のルールに従って計算を行っており、実際の価値とは異なる結果が出ているという点に気を付けなければなりません。家計の正味資産の本当の価値は家計のキャッシュフローの現在価値です。マイナスのキャッシュフローしか生まない正味資産はマイナスです。貯蓄がマイナスに転じていることからわかるように、2300兆円が存在するように見えても本当はないという、困った状況にあるのです。

今日の話をまとめます。
日本の家計の金融資産は1500兆円ですが、そのうち400兆円は保険や年金など、キャッシュフローを生まない資産です。これを除いた1100兆円の利回りも、1%程度です。日本の家計の貯蓄は、2013年にマイナスに転落しました。不動産などを足し合わせても、家計のキャッシュフローに余裕はありません。この点アメリカでは大きな問題は生じていませんが、日本はハイパーインフレや円の暴落が懸念されるとても危うい状況になってきています。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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