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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > プロフィットセンター化 (企業財務管理、国際金融/平松拓)

プロフィットセンター化

平松拓 企業財務管理、国際金融

15/04/23

  前回は「責任センター」には、収益センター、費用センター、プロフィット・センターといった類型があるということをお話しました。今日はその中の「収益センター」や「費用センター」をプロフィット・センター化するということについてお話したいと思います。

  前回説明した責任センターの内、「費用センター」や「収益センター」の場合、それぞれ費用や収益には責任を負うことになるけれど、単独では企業の究極の目的である利益を拡大するための調整ができません。その点、「プロフィット・センター」については、費用と収益両方に責任を持つということで、利益拡大のためより多くの意思決定を行うことができることになります。また、下部組織としてのプロフィット・センターは、製造機能や販売機能という形で、組織が大きく機能別に構成されている組織の場合より、マーケットに近いところで利益増大のための意思決定が行えるため、より的確で且つ下部組織内で採算意識も強まるといったメリットもあります。こうした利点に着目して、下部組織により大きな裁量権とアウトプット・インプットの両方についての金額的な責任を持たせる形で「プロフィット・センター化する」という動きがあります。これには、具体的には2つのアプローチが存在します。

  ここまでの内容を少し具体的な例を挙げて説明しますと、例えばペットボトル入りのお茶を製造販売している会社があるとします。その営業部門は「収益センター」で、ペットボトルのお茶を月に何本売るのか、どれだけの売上を得るのかということについての責任を負います。一方「費用センター」としての製造部門は、営業が立てた売上目標のお茶を、費用をどのくらい抑えてつくっていくのかを考えるというところに責任を負います。そしてこの「費用センター」と「収益センター」を、それぞれプロフィット・センター化しようという話です。

  そのための1つの方法は、企業内での取引に、以前にもご説明した「移転価格」(または「社内取引価格」)を導入するという方法です。具体的には、製造部門はそれまで営業部門が求める商品を提供する一方、費用をどれだけに抑えるか、という責任を持っていた訳ですが、新たに、アウトプットである製品の提供にあたって、移転価格を用いることで収益を認識する訳です。これは管理部門が費用を抑えるという責任と共に、アウトプットであるサービスの提供に際して、移転価格を用いて収益を認識する場合も同様です。逆に従来「収益センター」とみなされてアウトプットのみ金額認識されてきた営業部門は、インプットの方は従来自動的に製造部門から提供されるという前提だったわけですけれども、新たに商品の社内調達にあたって移転価格を用いて費用として金額を認識する。こうしてそれぞれが利益責任を持つ、即ち、「プロフィット・センター化」することになる訳です。この際、移転価格の決め方によって商品を提供する側と商品を調達する側の利益の水準がゼロ・サムで大きく変化してしまうため、注意する必要があります。

  もう一つのアプローチは、企業外への販売、或いは企業外からの調達を行う、或いは認める方法です。製造部門や管理部門では、企業外(マーケット)へ商品やサービスや販売することで、従来から認識してきた費用に加えて、新たに収益も認識することになるため、部分的ではありますが、プロフィット・センターとしての性格が生まれます。販売部門の場合には、企業外から調達することで、丁度逆のことが起こり、プロフィット・センター化する訳です。こうした形のプロフィット・センター化は、企業にとって新たな収入源につながる効果があるので、実は広く企業組織の改編、リストラの中でも行われています。

  ペットボトルのお茶で例えると、製造部門が新たな収入源を求めて他社に製品を卸したり、自社製造部門から仕入れるより安い場合に営業部門に他社の製品を仕入れることを許してしまおうということです。この社外との取引部分については、両部門とも、費用・収益双方を金額で認識することになるので、「プロフィット・センター化」に繋がるわけです。実際、これら2つの組合せで行われることも多いです。また、管理部門について言えば、人事部で給与計算を行っている係が他社の給与計算を受託するようなケースがあります。こういう場合、単に自社向けのサービスだけを行いながら収益認識することでプロフィット・センター化したとしてもなかなか黒字化するのは難しいですね。しかし、企業外へのサービスを同時に行うことでスケールメリットも働いてくるため、黒字化も見込めるようになるわけです。


  責任センターの中で、プロフィット・センターはいくつもの事業分野に参入していて事業本部制をひいているような比較的大きな企業に多く見られるものですけれども、単一の事業分野でビジネスを行っている企業、或いはそれほど規模のそれほど大きくない機能型の組織を持つ企業でも、移転価格の採用や企業外調達、販売などを取り入れることによって費用センターや収益センターをプロフィット・センター化することが可能です。プロフィット・センター化によって、採算意識の向上などのメリットが期待できるわけですけれども、一方で移転価格の決定はそれほど簡単ではないというデメリットもあることにも留意しておく必要があると思います。

分野: ファイナンシャルマネジメント 国際経営 |スピーカー: 平松拓

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