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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 価格決定の経済学 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

価格決定の経済学

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/04/08

まとめ:価格は、市場で需要と供給が一致する所に決まります。必ずしも一カ所に集まらなくても、人々が売り場の値段を比べて安い店から買うとすると、一カ所に集まったのと同じ結果になります。


これからしばらく、経済学について御話しようと思います。経済学の教科書には理屈っぽい話しが多いのですが、中には結構面白くて数学も使わないという事も書いてありますので、そういう所についてわかり易く説明します。経済学というものに親しみを持ってもらえれば幸いです。
初回の今日は、物の値段の決まり方です。物の値段は、政府が決めない限り、買い注文と売り注文の数が同じになる所に決まります。経済学の言葉では、「需要と供給が一致する所に価格は決まる」といいます需要とは買い注文の数、供給とは売り注文の数のことです。
ある街に、キャベツの売り買いをする市場があるとしましょう。キャベツの売り買いは一人1個だけだとします。王様が300円、200円、100円でそれぞれ売りたい人と買いたい人のアンケートをとった所、1個 300円なら売りたいと答えた人が50人いました。200円なら売りたい人が40人、100円なら売りたい人が30人です。買いたい人の方は、300円なら30人、200円なら40人、100円なら50人です。
売りたい人の数は、300円なら50人、200円なら40人、100円なら30人と減っていきます。これは、市場から離れた所に住んでいる農家が、「安くしか売れないならば、キャベツを市場で売らないで豚のエサにしよう」、と考えるからです。
一方、買いたい人の方は、300円なら30人、200円なら40人、100円なら50人と増えていきます。お腹が空いている人は300円でも食べたいでしょうが、そうでもない人は100円なら食べても良い、という事だからです。
先ほど、値段は買い注文と売り注文の数が同じになる所で決まる、と言いました。これによると、200円の時には売りたい人が40人、買いたい人も40人ですから、値段は200円になるはずです。200円ならば、売りたい人と買いたい人が一人ずつペアになって取引すれば、40人ずつが希望通りに取引できて満足します。300円で売りたい人は売れないのでキャベツを豚の餌にするでしょうし、100円で買いたい人は買えないので我慢するでしょう。これは仕方がありません。
では、キャベツが一個300円で取引される事はあるでしょうか。そういう事はあり得ないのです。300円で売りたい人は50人、買いたい人は30人ですから、売りたいけれども取引相手を見つけられない人が20人出て来ます。彼等は諦めて帰るのではなく、誰かが「私なら299円で売るから、他の人から買わずに私から買って下さい」と言うでしょう。すると別の人が「私なら298円で売るから、他の人から買わずに私から買って下さい」と言うでしょう。こうして値段は少しずつ下がっていき、結局200円になった所で止まる事になるのです。同様に、値段が100円に決まる事もないのです。
イチバという漢字を、経済学では格好をつけてシジョウと読みますが、これは需要と供給が出会う所、という事なので、必ずしも一カ所に集まる必要はありません。
人々が、スーパーや駅前商店街などのキャベツの値段を比べて一番安い所で買うとすると、お客の来なかった店は値下げをせざるを得ません。こうして全部の店のキャベツの値段が同じになるとすると、全員が一カ所に集まったのと同じことになるのです。つまり、日本中のキャベツの売り場を全部まとめて一つのイチバだと考えることが出来るのです。
モノだけではありません。たとえば働きたい人と雇いたい人が出会う所は労働市場です。ハローワークの求人情報や就職試験の合同説明会は勿論ですが、個別の会社の求人広告も、労働力の需要です。働きたい人、つまり労働力を供給する人が、これらの求人情報を比べた上で一番条件の良い仕事を選ぶ、といった行動を人々が採るとすれば、どれも同じ事だからです。
お金を貸したい人と借りたい人が出会う場所は、金融市場です。私たちが銀行に預金するのは、資金の供給です。企業が工場を建てるために銀行から借入するのは資金の需要です。企業と私たちが直接集まって取引する代わりに銀行がイチバの役割をしてくれているというわけです。
もちろん、実際には店によってキャベツの値段は違うのですが、経済学の入門編では、こうした事は考えない事になっているのです。様々な事を考えすぎると複雑になって訳が分からなくなるからです。いろいろな店を廻ってキャベツの値段を比べる事は一瞬で出来る、どこの店でもキャベツの値段は同じである、という事にして、そこから先の事を考えるのです。
経済学入門は、これ以外にも不自然な前提を沢山置いています。たとえば、「人々は合理的で、衝動買いなどしない、ということにする」、とか「王様がアンケートをとらなくても、人々はアンケートの結果を知っていることにする」といった具合です。
実際の世の中と違う事を勉強しても仕方ない、と思う方もいるかも知れませんが、御化粧や飾り物を取り去った方が素顔が観察できて色々な発見があるかも知れませんから、少しだけ我慢して御付き合い下さい。そして、興味を持った方は、是非上級経済学を勉強していただきた

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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