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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 原油安の影響 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

原油安の影響

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/03/12


前回は、原油価格がなぜ下がったのか、という話をしましたが、今回は、その影響についてです。
まず思いつくのが、ガソリンや灯油の値下がりでしょう。電気料金も下がって来るはずです。それ以外にも、メリットはたくさんあります。天然ガスの中には、原油の値段と連動するものもありますから、これも安くなるでしょう。何と言っても日本はエネルギーのほとんどを輸入に頼っていますから、企業のコストが大きく下がり、その結果として私たちの買う物の値段も下がると期待しましょう。
原油の値段がいまくらいで推移すると、年間のエネルギー輸入代金が大幅に減ります。消費税率が5%から8%に引き上げられた事による税金の増加分を、そっくりアラブの王様たちが減税してくれたという計算になるのです。この影響は非常に大きなものがあるでしょう。
こうした効果は日本だけではなく、世界中に広がりますので、世界的な景気の回復に役立つでしょう。そうなると、日本の輸出も増えるかも知れません。
アメリカでは、シェール・オイルを掘っている会社は困っていますが、アメリカは車社会ですから、ガソリンが安くなったことで一般の人々は大きな恩恵を受けています。また、ガソリン代が浮いた分で洋服を買ったりする人が増えれば、景気にもプラスでしょう。
企業にとっても、燃料費が下がれば利益が増えますし、儲かれば工場を建て増ししようという会社も出て来るでしょうから、設備投資も増えて景気を一層押し上げるかも知れません。
ガソリンが安くなって来ると燃費を気にせずに大きな車に乗りたいという人が増えて、アメリカの自動車会社が儲かるかもしれません。
こうして考えると、アメリカ経済にとっても今回の動きはプラスだと言えるでしょう。
産油国は収入が減って苦しいでしょうね。しかし、産油国はお金持ちの国ですから、原油の値段が下がっても、すぐに困ってしまう国は少ないと思います。
産油国が節約をするようになると、輸入が減る事はあるでしょうが、日本から産油国への輸出はあまり多くないので、産油国が輸入を減らしたとしても、日本への影響は大きくないと思います。
問題は、破産する国が出て来る場合です。たとえばロシアが借金を返せなくなったとすると、大問題になりかねません。ヨーロッパの銀行の中には、ロシアに大金を貸し付けている所がありますから、そうした銀行が万が一にも倒産するような事になれば、リーマン・ショックの時のように世界的な大不況になる可能性もあります。
ただ、ロシアも過去に原油が高かった時に巨額の資金を溜め込んでいますので、原油の値段が下がったからといってすぐに破産する事は考えられません。原油が今後ずっと安いままでいれば別ですが、今から心配する必要はないでしょう。
日本では、エネルギーはほとんど採れませんから、原油の値段が暴落しても困る人は多くありません。たとえばガソリンスタンドが、原油が高かった時に仕入れたガソリンの在庫を持っている場合には、これが安くしか売れなくて困るという事はあるかも知れませんが、それほど大きな影響は無いでしょう。
チョッと意外な事に、日銀の黒田総裁は困っておられるかも知れません。日銀は、消費者物価を上げようとしています。物価が下がるデフレだと人々が値下がりを待って買い控えをするので、デフレをインフレに換えようとしているのです。インフレになれば人々が買い控えをやめて買い急ぎをするようになるので、景気がよくなるだろう、と考えているわけです。
そうした時に、原油が安くなってガソリンなどが値下がりすると、消費者物価指数が下がり、再びデフレになってしまうかも知れません。だから困っているのです。
しかし、物は考えようです。デフレをインフレに換えるのは、インフレが素晴らしい事だからではなく、デフレよりインフレの方が景気にとってプラスだからです。そうだとすれば、景気さえ良くなれば物価が下がるデフレでも構わない、という事になります。
原油が安くなることは、日本の景気にとってプラスなのですから、日銀も素直に喜べば良いのだと思います。
黒田総裁が就任された時に「消費者物価上昇率を2%にする」と宣言してしまったため、これが守れないと格好が悪い、という事はあるでしょうが、誰もそんな事は気にしないと思いますよ。反対に、黒田総裁のおかげで景気が良くなったのだから、名総裁だ、と言われると思います。
無理に公約を守ろうとして、物価を上げるために金融を更に緩和する、という事も黒田総裁は考えておられるかも知れませんが、是非やめていただきたいですね。これ以上金融を緩和すると、株や土地の値段が上がり続けてバブルになってしまうかも知れませんから。

まとめ: 原油価格が値下がりした事で、日本の経済には大きなプラスがあります。国内の景気も回復しますし、輸出も増えるでしょう。日銀のインフレ目標は達成が難しくなりますが、景気が良くなれば良いのであって、物価目標など気にするべきではありません。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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