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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マネジメント・コントロールにおける責任機関(責任センター)について① (企業財務管理、国際金融/平松拓)

マネジメント・コントロールにおける責任機関(責任センター)について①

平松拓 企業財務管理、国際金融

15/03/16


今回は、私がQBSで担当している「マネジメント・コントロール」という授業科目に関連して、企業における「責任センター」について話します。

これは、英語ではレスポンシビリティ・センターと呼ばれるものですが、企業は目的を達成するために戦略を立案し、実行のために組織作りを行います。しかしその意思決定を、全てCEO一人で行うことは普通できません。そこで組織の中に事業本部や部、課といった下部組織を設け、それらに権限を委ねます。その際に、勝手な意思決定をされては困るため、企業の目的や戦略の実現につながるような意思決定がなされる仕組みを採用します。その一環として、下部組織に「達成責任」を与えますが、この達成責任を負うことになった下部組織が責任センターということになります。

営利企業の場合、事業活動の目的は、一般には利益の獲得であるとされます。例えば、ある製造企業が利益拡大のために全く新たな事業分野に進出するという戦略を策定したとします。その新たな事業分野では、同社がこれまでに蓄積した製造や販売のノウハウの応用がなかなか活かせません。そうなると、従来の事業のための組織とは別に新たな事業のための下部組織をつくり、その下部組織の中に専用の製造部門や販売部門を組み込むといったことを行います。これは、事業本部制と呼ばれるものです。従来の組織では、会社の中が販売部門と製造部門とに機能別に分かれており、製造と販売の調整に関する意思決定は経営のトップの近くで行われざるを得ませんでした。しかし、事業本部制の組織では、その事業本部の中で製造から販売までの幅広い意思決定が行われます。なぜならば、トップマネジメントは、新しい事業分野についての専門知識を必ずしも持っておらず、事業本部の本部長などの現場に近い専門家の方がより的確な判断を行うことができるためです。この場合、この事業本部に与えられるべき達成責任は、利益の増大になります。このように、利益増加の達成責任を与えられた機関を、利益センター(プロフィット・センター)と呼びます。

これに対して、組織が大きく製造部門や販売部門など、機能ベースで分割されているところでは、そのままではそれぞれの部門に利益の責任を負わせることはできません。たとえば製造部門は、販売部門の求める製品を生産することがミッションとなりますが、そのために仕入れ価格などの製造コストについての権限が与えられますが、普通は販売価格や数量を決定する権限が与えられていないため、収益と支出の差である利益について責任を負いようがないのです。こうした部門二は通常、支出の適正化の責任が与えられます。こうした機関のことを、支出センター(エクスペンス・センター)と呼びます。

逆に機能別組織内の営業部門で、仕入価格についての決定権が与えられていない場合、収益の管理の責任を負うことになります。こうした機関のことを、収益センター(レベニュー・センター)と呼びます。もし、仕入価格についての決定権も与えられていて、利益の増大の達成責任が負える形となっていれば、その部門はプロフィット・センターということになります。また、事業本部自体はプロフィット・センターでも、その中に置かれた製造機能や販売機能は、普通はそれぞれ支出センターや収益センターということになります。

以上より、利益を目的とする企業では、利益センターと支出センター、収益センターの三つが基本となります。なお利益センターの中には、利益額の目標を達成するという責任ばかりではなく、使用する資本に対する利益の比率や投資収益率の責任を負う投資センター(インベストメント・センター)も存在します。

適切に組み立てられた責任センター体系のもとでは、それぞれのセンターが与えられた責任を達成することで、企業全体の戦略が実行され、目的到達につながるはずです。それゆえに、責任センターの責任者も、その下で働くマネージャーも、達成度によって客観的に評価されることとなります。

こうした責任センターの考え方は、日本企業の組織管理において昔から取り入れられているものです。しかし、必ずしも体系的ではないために、明確になっていないところも少なくありません。たとえば支社には利益の達成責任が明確に与えられている一方で、本社の各部にはそれらが与えられていない例も多く見られます。最近ではどこの会社においても毎期の予算を作る作業が行われていますが、本来は予算の策定にあたっては各責任センターが負っている達成責任が最も重要な数字となります。したがって、達成責任を明確化しないことには、予算自体が曖昧なものとなり、あまり効果を期待できない結果に終わることもあり得るのです。

今日の話をまとめます。
企業の戦略実行をより確実なものとする仕組みとして、責任センターという考え方があります。これによって、企業内部のそれぞれの組織が負わされた達成責任の達成に向けて努力することで、企業の目的につながって行きます。皆さんが属している社内組織において、どのような達成責任が与えられているのか、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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