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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アベノミクス(近況) (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

アベノミクス(近況)

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/03/10

まとめ: アベノミクスで景気は回復軌道に乗りました。消費増税後、一時的に景気が落ち込みましたが、その後再び景気は上を向いています。景気は一度上を向くと、そのまま回復を続ける性質があるので、今後の景気は回復を続け、庶民の生活も少しずつ楽になっていくと期待されます。


今回は、消費税率が8%に引き上げられた後の景気についてです。消費税増税の前は、アベノミクスの影響で景気は上を向いていました。企業は売れるから増産する、そのために失業者を雇うから雇われた人が給料をもらって消費を増やす、といった好循環が産まれていたわけです。この好循環は、景気を持ち上げる力として働きます。一方で、消費税は私たちの購買力を直撃しますから、景気を押し下げる力として働きます。この両方が綱引きをしてどちらが勝つかによって、増税の後の景気がどうなるかが決まるわけです。
理屈はそうなのですが、実際に消費税増税の影響を測るのは大変な事なのです。統計を見てみると、駆け込み需要とその反動が含まれているので、それを除いて考えるとどうなるのか、という事が簡単には解らないからです。
それに加えて、今回は増税以後の経済指標に奇妙なものが多く、エコノミストたちを大いに悩ませているのです。
最も不思議なのは、GDPが大幅マイナスとなった一方で、人手不足が続いていたことです。失業率は下がり続け、有効求人倍率は上がり続けました。出張や旅行に行こうとして電車も宿も混んでいる事を実感した人も多いでしょう。企業の利益も高水準です。本当にGDPが示しているほど景気は悪いのだろうか、という疑問を私は持っています。
統計が御互いに矛盾しているように見えるものもあります。厚生労働省の毎月勤労統計によれば給料は前年比でプラスなのですが、家計調査の収入は前年比でマイナスになっているのです。これは、家計調査の対象となった家計が、たまたま去年より貧しい家が多かったという事だろうと考えられます。そうだとすると、家計調査で消費が大幅マイナスとなっているのも、本当に消費が弱いからなのか調査対象となった家計がたまたま貧しかったからなのか、という疑問が湧いて来ます。GDP統計を作る際には家計調査を参考にしますから、GDPの数字が実際の経済とズレている可能性もあるのです。
こうした事から、消費税が増税されてから、専門家の間でも景気に対する見方が大きく分かれ、様々な論争が行なわれました。
しかし、すでに論争は過去のもの、と言って良いでしょう。
大切なことは、景気は水準よりも方向を見るべきだ、という事です。景気が悪くても、上を向いているならば、そのまま改善していく力が自然と働くからです。そして、今の景気が上を向いているという事は、ほとんどの専門家が一致している見解なのです。
増税のあと、一時的に景気が落ち込んだことは、誰もが認めています。落ち込み幅の大きさについては様々な見方があります。しかし、その後経済が再び上を向いている事は、ほとんどの専門家が認めているのです。
これは重要な事です。増税の結果、景気が腰折れして、景気がどんどん悪くなっていく悪循環に陥ると心配していた人も多かったのですが、そうはならなかったのです。
つまり、景気は増税の悪影響を乗り越えたのです。これからは、景気は良くなって行くでしょう。原油価格が下がっていることも、景気には大きなプラスでしょう。消費税の増税額と同じくらい、エネルギーの輸入金額が減るという人もいます。日本政府が増税した分をアラブの王様が大減税をしてくれた、というわけですから、大きなプラス材料です。
景気が良くなれば、失業や倒産が減りますから、可哀想な人が減るという効果は間違いなくあるでしょう。企業も儲かるようになるでしょう。問題は、庶民の生活がどうなるのか、という事です。
これまでは、円安で輸入品が高くなり、アベノミクスは庶民の生活にはプラスに働いて来ませんでした。円安によって消費者物価が上がるまでの時間は比較的短いのですが、景気がよくなってからサラリーマンの給料が上がるまでは長い時間がかかるからです。
景気がよくなって売上げが増えはじめると、企業の利益は増え、社員は忙しく働くようになりますが、賃金は上がりません。しばらく経つと、ボーナスが増えたり残業代が増えたりしますが、基本給も増えず、アルバイトの時給も上がりません。しかし、更に景気がよくなると、人手不足になりますから、アルバイトの時給が上がります。企業が好業績を予想できるようになれば、サラリーマンの賃金も上がって行くでしょう。
円安による物価上昇は、円安が止まれば止まりますが、景気回復による賃金上昇は、景気が回復を続ける限り続きます。したがって、これからは庶民の生活も少しずつ改善していくと考えて良いでしょう。
景気の影響ではありませんが、原油価格が大幅に下がっていて、これも庶民の生活には大きな恵みとなるでしょう。今後の原油価格にもよりますが、日本政府が消費税3%増税した分だけアラブの王様が石油税を下げてくれた、といったイメージかも知れません。
サラリーマン以外の庶民はどうでしょうか。年金生活者は、景気とは直接関係がないでしょうから、インフレの分だけ年金が目減りしてしまう事になります。もっとも、翌年の年金支給額がインフレの分だけ増えるはずですから、しばらくの辛抱という事になります。
中小企業は、景気がよくなれば利益が増えるでしょうから、業種にもよるでしょうが、景気の回復によって生活は良くなると期待して良いでしょう。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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