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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アベノミクス (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

アベノミクス

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

15/02/18

まとめ: アベノミクスの三本の矢は、需要を増やす金融緩和と公共投資、供給力を高める成長戦略がセットになっているため、幅広い支持を集めています。供給面の強化だけを目指していた小泉構造改革と比べて、バランスが良いと評価出来ます。

今回は、アベノミクスの三本の矢について御話します。
アベノミクスというのは、2012年末に就任した安倍総理の経済政策の事です。アベノミクスには、3つの基本政策があり、「3本の矢」と呼ばれています。
1本目の矢は、「大胆な金融政策」です。金融政策は日銀の仕事なのですが、安倍総理が就任したタイミングが、たまたま日銀総裁の交代時期だったため、安倍総理と考え方が近い黒田さんを日銀総裁に選んだのです。
安倍総理と黒田総裁の基本的な考え方は、デフレを止める事が大切であり、そのためには日銀の大胆な金融緩和が必要だ、という事です。これまで日本経済は、物価が下がるデフレによって不況が続いていたので、デフレを直せば景気が良くなるはずだ、と考えているのです。
デフレが経済に悪いのは、物価が下がっている時には人々が値下がりするのを待つようになるので、モノが売れないからです。反対に、物価上昇率が金利より高くなれば人々が借金をしてでもモノを急いで買おうとするので、景気は良くなります。だから、日銀はデフレからの脱却を目指しているのです。
金融緩和というのは、日銀がお札を刷って、銀行が持っている国債を買い取る事です。銀行が受け取った現金を貸出に使うと、世の中にお金が出回ります。そうなると、世の中にあるモノの量とお金の量の比率が変わるので、モノを買うために大量のお金が必用になる、つまりインフレになる、という事です。
水よりダイヤモンドの方が値段が高いのは、少ないからですよね。少ないものは高いのです。したがって、世の中に出回る物の量が変わらずにお金の量が増えると、物の方がお金より価値が高くなる、つまり物価が上がる、という事になるのです。日銀は、消費者物価指数が毎年2%ずつ上がって行くことを目標にしています。

二本目の矢は、財政政策です。以前から、景気が悪い時には公共投資をする、というのは定番でしたね。今回は、国土強靭化計画という事で、必要な投資を行なう事が景気対策にもなる、という一石二鳥となっているわけです。
東北地方の復興はもちろんですが、被災していない地域の防災も重要です。東京オリンピックが決まってからは、オリンピックに向けたインフラ整備も必要になりました。公共投資というと無駄なものも多いという印象ですが、今回は必要な投資だけが行なわれると期待しています。

さて、経済が順調に成長していくためには、需要と供給が両方バランスよく伸びて行く事が大切です。第一の矢と第二の矢は、需要を増やす政策で、経済が不況から回復するために必要なことです。
一方で、少し長い眼で見ると、不況から回復した後は、需要に見合って供給力が増えていかないと、物不足になったりインフレになったりしてしまいます。更に長い眼で見ると、日本は少子高齢化で労働力が不足していくと予想されていますから、少ない労働力で効率的に生産する事が重要になります。経済全体としての生産性を高め、供給力を増やして行く、というわけですね。
そのために政府として行なうべき事をとりまとめたのが成長戦略と呼ばれる三本目の矢です。
つまり、三本目の矢は、一言で説明出来るようなものではなく、様々な政策の寄せ集めなのです。矢ではなく千本の針だ、という人もいます。
たとえば、保育園が足りないので保育園を作ります。そうすると、子育て中の主婦が子供を預けて働きに出る事が可能になるので、日本経済全体としての生産力は高まります。また、多くの農家が小さい土地を耕しているのは非効率なので、大きな農地に集約して大企業が農業を行なえば、少ない人手で農作物を大量に作る事が可能になります。

アベノミクスは、専門家たちの間で比較的幅広い支持を集めています。
専門家の中には、三本の矢のうちでどれか一本を支持していて、他の二本の矢には余り興味が無い、という人が大勢います。そこで、三本の矢をまとめて示されると、多くの専門家がこれを支持する事になるのです。「人畜無害な矢が二本含まれているが、私の支持している政策も盛り込まれているから、良いだろう。」というわけです。
3本の矢が集まっている事自体も評価できます。金融政策と財政政策だけだと、たしかに景気は良くなりますが、ある程度景気が良くなった後は、人手不足などが深刻化してそれ以上成長出来なくなってしまいます。
一方で、成長戦略だけだと、供給力は増えますが、需要が増えないので、やはり経済は成長しません。そればかりか、失業者が増えてしまいます。たとえば、保育園が出来たことで子育て中の主婦が仕事を探すとします。しかし、景気が悪く、世の中に失業者が大勢いるとしたら、仕事を見つけるのは簡単ではないでしょう。つまり、需要を増やす政策とセットになって始めて成長戦略は意味をなすのです。
小泉内閣の構造改革は、アベノミクスの成長戦略と同じく、供給力を高めようというものでしたが、小泉内閣は需要を増やす事に興味を持っていませんでした。その点では、アベノミクスの方がバランスがとれていると言えるでしょう。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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