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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > スポーツ観戦とケースメソッド (戦略思考/荒木博行)

スポーツ観戦とケースメソッド

荒木博行 戦略思考

15/02/24


今日は、私たちのビジネススクールでも取り入れている、ケースメソッドについて話します。

ケースを使って学習する方法には、厳密に言うと、「ケースメソッド」というやり方と、「ケーススタディ」と呼ばれるやり方の二つがあります。「ケーススタディ」とは、企業の成功事例や失敗事例を後日談的に分析し、成功のポイントや失敗のポイントを明らかにしていくというものです。
一方で私たちグロービスが取り入れている「ケースメソッド」とは、成功事例であろうが失敗事例であろうが関係なく、あなたがその時の当事者であればどのような意思決定をするのか、といった意思決定を問うていく、というものです。「右か左のどちらへ行きますか?」という問いがあり、それに対して当事者の立場として答えを出すことが求められる、ということです。当事者の立場であれば、その時に何を恐れ、どんな感情を持っていたのか、ということも含めて、リアリティを持って考え抜かなければならないのです。リーダーとして、企業や組織を変えていくための意思決定能力を育てたい、と考えているために、私たちは「ケーススタディ」ではなく、「ケースメソッド」を採用しています。

このことを、私が大好きなスポーツ観戦との関連において見てみましょう。
観客席からは色々なことが見えます。「何であいつはあんなところであんなパスをするんだ」、とか「あいつは全然走っていない」、「あいつは失格だ」などと、好き勝手に言うことができるでしょう。
しかし、「ケースメソッド」というのは、実際にフィールドに降りてみて、当事者がどのような視界で物事を見ているのか、ということを想像しながら、自分だったらどのようにパスをしただろうか、といった点を、リアリティを持って考えることが重要となります。たとえば、監督から叱責されてがちがちになっていた試合で、前半3分に相手チームから背中に蹴りを入れられて恐怖心を抱いていたとしましょう。自分がもしその立場だったら、どのようなプレーを選択するのか、ということを当事者のつもりになってシミュレーションするのです。

以上を、企業レベルの話に持ち込みましょう。
ある企業が何か不祥事を起こした場面で社長の説明が理解不能だった状況があったとしましょう。たとえばそんなニュースが入った時、私たちは野次まがいの叱責を行います。しかし、「ケースメソッド」的なアプローチは、自分が記者会見の場でフラッシュを浴びながらマイクの前に立っていた場面を、リアリティを持って想像し、「自分だったらどんな言葉を具体的に述べることができるだろうか」、と考えていくわけです。こう考えを繰り返すことにより、我々は様々な事象に対しても「当事者」という視点で物事を捉えることができるようになるのです。

後日談的にポイントを分解し丁寧に解きほぐしていく「ケーススタディ」というアプローチも、もちろん大事です。一方で、当事者として何ができるかを考えることも、欠いてはなりません。
たとえば、10人の社員がいる中で、9人が喜び、1人が泣いてしまう意思決定をしなくてはならない場面があったとしましょう。その時に、あなたはこの泣いている社員に対してどのように対応できるのでしょうか。
ケースメソッドでは、「私ならその人にこのように言います」といったことを考え抜きます。自分が当事者として考えた結果というのは、その後、実際に自分がそれに似たような場面に遭遇した際、何かの役に立つようになるでしょう。


今日の話をまとめます。
今日は、ケースを使って勉強するということについて説明してきました。後日的に分析する「ケーススタディ」と、当事者の立場になって意思決定を行う「ケースメソッド」の二つがあります。私たちがリーダーとして意思決定力を高めていくためには、「ケースメソッド」による学習方法が極めて有効ではないかと考えています。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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