QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

金融緩和

村藤功 企業財務 M&A

15/02/03


今回は、アメリカと日本、ヨーロッパにおける金融緩和の話をします。

アメリカでリーマンショックが起こった際に、世界の株価が半分になってしまいました。そこで、アメリカの中央銀行であるFRBは負債であるドル通貨と当座預金を5倍にして、国債などを購入することで、ドルをマーケットに投入しました。これは日本で言えば、日銀が輪転機を回して円通貨を増やし、当座預金を増やして国債等を購入するようなものです。通貨の発行や当座預金というマネーサプライを増やして通貨を市場に投入することを、金融緩和といいます。

リーマンショック以来五年が経ち、アメリカ経済も立ち直りつつあるために、アメリカは金融緩和を止めて市場に投入したドルを回収する必要があります。そのためにまず、国債などの購入、すなわちお金を放り込むことをやめたのです。しかしながら、まだドルの回収や当座預金の削減には至っていません。アメリカがドルを回収して日銀が円をばらまいた場合、ドルが少なく円が多くなるために、ドルの値段が上がって円の値段が下がります。いわゆる円安です。最近になって、円安方向に動いていますが、実はさらに円安に振れる可能性があります。

また、もっと怖い話もあります。リーマンショック以前には、アメリカのGDPの6%にあたるドルのマネーサプライがありましたが、金融緩和によって、それを27%にしました。この27%を6%に戻すために、ドルを回収することになります。一方で日銀の黒田総裁が異次元の金融緩和を唱えていますが、日本のGDPの60%の円のマネーサプライがあります。さらにこれから、これを追加緩和で70%にしようとしているところです。市場にこれだけの円を投入すると、ハイパーインフレが進むのではないかという危惧が出てきています。

他方ヨーロッパでは、最近になってデフレの懸念が大きくなり、金融緩和をすることになりました。現在のところ、EUのGDPの10%程度、すなわち2兆ユーロが市場に出回っています。これから17か月かけて、さらに1兆ユーロを増やし、GDPの15%相当を目指す予定です。アメリカと同様に、ユーロのマネーサプライを増やして国債を購入することで、市場へユーロを投入しようとしています。しかしヨーロッパでは、ユーロを共通通貨にしているものの、国債を発行したり公共投資をしたりといった財政政策は国ごとに異なります。そこで、国ごとに発行している国債を、ヨーロッパの中央銀行であるECBの指導のもとに、各国がECBに出資している割合に応じて購入するというかたちをとっています。したがって今回の一連の金融緩和においては、最も多く購入するのはドイツ国債であることとなります。

しかしギリシャをはじめとした南ヨーロッパ諸国は、皆、財政破綻をしています。ギリシャでは最近になって選挙が行われ、緊縮財政がいやだという話になっていますが、これではキリギリス状態です。借り入れをいっぱいして先にいい思いをしていたにも関わらず、このような主張をしていては、ドイツをはじめとした諸国も怒らざるを得ません。ギリシャの国債を購入するに際しては、ギリシャが約束をきちんと守ることが必要となるでしょう。

このように、アメリカが金融緩和をやめようとしている今、日本とヨーロッパは大きな金融緩和を行おうとしています。日本は欧米と比べてとてつもないお金を放り込んでいるため、歯止めがきかないようなインフレの可能性を持っています。そもそも日本では、発行している国債自体が巨額です。それらを民間の金融機関や財政投融資、日銀が、これまで購入してきています。最近は日銀がむやみやたらに買い続けた結果、長期金利は下がってきました。また財政投融資は、現在では政府が100%所有の日本郵政が行っていますが、今年中に民営化される予定です。そうなれば、政府の意向に従わず、国債を売却する可能性があります。そうなると金利が上がるために、民間金融機関が売らないと損をするので大量に売ってくることになります。そうなれば日銀が、日本郵政や民間金融機関が売却する国債を、お金を刷りながら買い支えるしかありません。その結果、ハイパーインフレが起こる可能性が出てきているのです。

黒田総裁は2%インフレターゲットを唱えていますが、本当の問題は2%を達成できるかどうかではなく、2%で止められるかどうかというところです。アメリカの金融緩和終了に対して日本と欧州は金融緩和にむかっており状況は逆ですが、日本では日銀が過剰な通貨を市場に投入しており、危険水域に達していることを、私たちは意識する必要があります。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ