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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 『製品タグライン』に表れる技術特性と顧客価値(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

『製品タグライン』に表れる技術特性と顧客価値(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

15/02/11

・前回は、メーカーがハイテク製品を市場投入する際、製品タグラインを使って価値の伝達を行っているということを話した。その際に、往々にして"技術特性(スペック)"を全面に打ち出してしまい、消費者が価値を知覚できない事態に陥ることが多い、という話をした。
・今回は、その問題の背景について理解を深めて、どのように回避すべきか、ということについて話を進めたい。

・もともと、ハイテク製品の場合、技術者主導で製品企画や開発を行うことも多い(もちろん、社内のマーケティング部門や製品企画部門の協力はあるが)。その結果、製品の価値の伝え方も技術特性に偏ったものになりがちなのは、ある意味無理もない。技術者が最もこだわり、自社だけが持つ技術の粋を結集し、他社との差別化を徹底的に図って製品を仕上げるのだから。しかしながら、他社との"技術特性の違い"が、そのままユーザーが感じる"価値"であるとは限らない点が問題なのだ。ユーザーは、現実の購買シーンや製品の利用シーンで、"明確な価値"を感じないと対価を払わない。
・この背景は、ビジネススクールで良く引用される、キャズムという考え方を適用しながら考えると判り易い。
・ハイテク製品が社会に普及するプロセスでは、最初にイノベーター(市場全体の2.5%)と呼ばれる、新しい物好きの、いわゆる"技術オタク"が価格や機能などを無視して購入する(新型iPhoneやゲーム機の発売日に店頭に並ぶ人たちだ)。次いで、アーリー・アダプター(13.5%)と呼ばれる層が、他人の評判によらず高価格であっても製品の利点を評価して購入する。次に、アーリー・マジョリティ(34%)と呼ばれる層が、一過性の流行ではなく価格と価値のバランスを認めて購入する。最後にレイト・マジョリティ(34%)と呼ばれる人が、周囲が皆使っているので不便を感じ始めて購入する。ちなみに、残る16%は何があってもハイテク製品に手を出さない"ラガード"と呼ばれる層だ。
・さて、メーカーから発信された技術特性(スペック)に反応して購買行動を取るのは誰か?それは、最初の2.5%のイノベーターと呼ばれるオタクたちと、次に待ち構える13.5%のアーリー・アダプターの一部だ。彼らは "4K"というキーワードにパッと反応して購買行動に移る可能性はある。
・ただ、市場のボリュームゾーンであるアーリー・マジョリティ(34%)との間には、"キャズム"と呼ばれる大きなギャップがある。これを乗り越えるためには技術特性(スペック)を謳うだけではダメだ。技術特性(スペック)を、顧客が価格や使い勝手を含めて、明確な価値を感じることができる恩恵(ベネフィット)へと転換しなければならない。従って、製品タグラインも、顧客がベネフィット(恩恵)を感じられるような言葉遣いにする必要がある。

・つい先日、トヨタが世界で初めて燃料電池自動車MIRAIを市場投入した。元々2015年度の予定だったものを前倒しして投入したところに、トヨタの意気込みが伝わってくる。
・トヨタのMIRAIのホームページを見ると、そのトップ画面には「燃料・水素。」というストレートに技術特性(スペック)を表すタグラインがある。今は、燃料電池自動車の市場普及が極初期なので、購入者の多くはイノベーター(技術オタク、あるいは行政機関など費用対効果を追求しない組織)と察せられるので、「燃料・水素。」というタグラインで良いのかもしれない。しかし、市場普及させるにつれて、顧客の恩恵(ベネフィット)を的確に表すタグラインに変更する必要があるだろう。

・ハイテク製品の市場普及を図るには、技術特性(スペック)ではなく、顧客価値(ベネフィット)を表現する製品タグラインを使用する必要がある。リスナーの方も、ハイテク新製品をみかけたら、そのタグラインに注目すると良い。その製品の価値や恩恵(ベネフィット)が表現されているか、それとも技術特性(スペック)の表現にとどまっているか、興味深い発見があるかもしれない。

【今回のまとめ】
・ハイテク製品の市場普及を図るには、技術特性(スペック)ではなく、顧客価値(ベネフィット)を表現する製品タグラインを使用すべきだ。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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