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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑫ (リーダーシップ領域/田久保 善彦)

創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑫

田久保 善彦 リーダーシップ領域

15/02/02


これまで、拙著『創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』(東洋経済新報社, 2014)の内容を紹介してきました。300年以上の歴史を有し年間50億円以上の売り上げを誇る企業が、日本には現在69社程度あります。この本を書き終えて以降、BBIQモーニングビジネススクールなどで話をさせていただく過程において、改めて気付いた点があります。今回は、そうした気付きを紹介した上で、一連の話をまとめたいと思います。

一つ目のポイントは、これらの企業が、自分たちがいったい何者なのかという点をきちんと見定めていることです。どのような強みを持っているのか、どのようなことをやるべき企業なのか、地域にとってどのような存在であるのかといった点を把握し、そこからぶれることはしません。今から振り返れば、企業へのインタビューを通して、このことを強く勉強させて頂いたなと感じております。

二つ目のポイントは、トップから従業員にいたるまで様々な人びとにインタビューをしましたが、皆さん、本当に謙虚であったことです。実は300年×50億円企業69社のうち、いくつかの企業には取材を断られております。電話口において、「私たちは本当にたいしたことをしていないので、取材に来ていただいても何にもお答えすることがありません」と、本心から言われてしまうのです。しかし謙虚だから保守的であるということはまったくなく、これらの企業ではチャレンジを前向きに続けてきています。たとえば以前にも話しましたが、カップに入ったお酒を最初につくった企業は月桂冠です。また、パック入りの鰹節を最初につくった企業はニンベンですし、インテルのICチップを日本へはじめて持ってきた企業は岡谷鋼機です。長寿企業は、自身の強みを活かすことができる分野を見定めた上で、様々なチャレンジを行ってきているのです。

三つ目のポイントは、当たり前のことを当たり前のようにしっかりと積み重ねることです。最近の大企業であれば、「質素・倹約をしよう、コスト管理をしよう」と唱え、実行をしているものと思います。しかしたとえば岡谷鋼機は、一万円単位の投資案件でさえ役員会へかけることを当たり前のこととして、長年にわたって続けてきています。企業がおかしくなり倒産へいたる要因のひとつは、当たり前にやるべきことを当たり前にやれなくなることです。自分たちの得意分野ではないにも関わらず、土地や株に手を出した結果、バブルの後に日本企業の多くが痛むこととなりました。日本型サスティナブル企業は、そうしたことに手を出すことなく、当たり前のことを当たり前のように毎日積み重ね続けているのです。

四つ目のポイントは、これらの企業が成長のために成長しようと思っているわけではなく、継続のために成長しようと思っている点です。成長を目標に掲げ、来年も再来年も20%の成長をしようなどと唱えると、毎年20%の成長極めて難しいため、再来年以降に自社がどのようになるのかよくわからなくなります。日本型サスティナブル企業は、今年は2%、来年も2%といったように、少しずつでもいいので永遠に成長し続けようという意思を持っているように、私には感じられます。つい先日、トヨタ自動車の社長が、年輪を刻むように成長していきたい旨を会見で話されていました。長寿企業の取材を続けてきた私は、この会見を見て非常に感慨深く思いました。

以上の四つのポイントが、すべて正しいなどと言うつもりはありません。さっさと成長することや臨機応変に分野を変えることが素晴らしいという価値観ももちろんありますし、そうした価値観に則った経営が悪いわけでもありません。あくまでも、こうした経営のスタイルもあるということを頭の片隅に置いていいただければ、皆さんが企業で勤め、あるいは企業をつくっていく際に、何かの足しになるのではないかと思うのです。

以上で、12回にわたって放送してきましたシリーズ「創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか」は終わりとなります。どうもありがとうございました。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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