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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 非常識からビジネスを考える(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

非常識からビジネスを考える(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

15/01/22

【今回のまとめ】
・独創的で革新的なビジネスを生むためには、常識の枠を越えて発想する「Out of the Box」ではなく、むしろ制約を加える「Inside the Box」の方が有効であるという理論に注目が集まっている。


・今回は、「Out of the Box」ではなく、近年注目されている「Inside the Box」というビジネス考案手法について紹介したい。
・先日、インターネット上のニュースで、キリンビバレッジが11月に発売開始した缶入り飲料「別格」シリーズが、価格が200円にも関わらず大ヒットしていることが報道されていた。年間販売計画が100万ケースだったところ、発売後2週間で目標の8割を達成する大ヒットだという。
・この「別格」シリーズは、高級茶葉を利用した緑茶、希少糖分を用いたコーヒー、高知県の生姜を用いたジンジャーエールなど4種類が発売されている。
・このシリーズの開発に携わった方のインタビュー記事(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1412/03/news004_2.html)を読むと、とても興味深い開発プロセスを経て実現したことがわかる。これは、社長直轄プロジェクトとして立ち上がり、100回以上も社長にダメ出しをされた末にようやく完成したとのことだ。通常の飲料開発は、140円の定価が予め決まっており、それに合わせて材料の選定などを進めるのだが、「別格」の場合価格を決めずに良い製品を作るべし、と社長から指示されていた。
・開発者は、「従来の発想の域を越えることがなかなかできませんでした。140円で売る商品をつくっていたので、自分で勝手に壁を設けていたんですよね。それでもなんとかつくって、社長に試飲してもらいました。価格は140円を少し高めに設定したところ、社長からは『こういうモノではない。過去の経験をとっぱらえ』と言われました」とインタビューで答えている。つまり、コンビニ等に並ぶ飲料として当然に考慮すべき「価格」という要素を外したことが、従来品を越えた新しい価値創造に結びついたというのだ。
・このようなビジネス手法は、「Inside the Box」として、米国コロンビア大学のゴールデンバーグ教授らが提唱し、注目が集まっている思考方法だ。
・従来、イノベーションには、独創的で「枠を越える(Out of the Box)」発想が重要だと言われてきた。従って、枠を設けずに、様々な視点からアイデアを出し合うブレーンストーミングなどの手法が重宝されてきたし、それはそれで有用だ。
・これに対して、むしろ「制約」の中にこそイノベーションが潜んでいるというのがゴールデンバーグの主張だ。つまり、革新的な製品が生み出された過程には、5つのひな形に集約できるというのだ。その5つとは「引き算」「分割」「掛け算」「一石二鳥」「関数」の5つだが、先のキリンの「別格」は「価格」の要素を「引き算」した例だ。
・「引き算」の手法は、創造性を妨げる「思い込み」を捨てて、従来その製品に必須と考えられていた要素を取り除く、というものだ。例えば、ソニーのウォークマン(ラジカセからスピーカーを取り除く)が典型的な例といえる。
・「別格」の場合、価格の壁が取り払われることによって、発想の制約が取り払われたと開発者がインタビューに答えている。「本当においしい緑茶って、なに?」といったことを議論して、原点から見直すことにしました。緑茶の研究を長くしてきた影響なのか、議論の中で自分の考えが凝り固まっていることを痛感させられました」。
・少し前に高校生や大学生に流行っていた「携帯2台持ち」の片方、PHS端末は、余計な機能を省いて音声通話(話し放題)に特化したことによって、廉価なPHSインフラを有効活用でき、息長く市場に存在し続けている。これも「引き算」の好例だ。

・イノベーティブな発想で、革新的な製品やサービスを生み出すためには、完全に自由でオープンなアイデア創造プロセスではなく、むしろ「その製品に欠かすことができない(と考えられていた/思い込んでいた)要素を大胆に取り除いて考える」ほうが有効な場面も少なくない。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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