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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑪ (リーダーシップ領域/田久保 善彦)

創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑪

田久保 善彦 リーダーシップ領域

15/01/27


前回は、300年企業がどのような価値観を共有し、経営を繋ぎ続けているのかという点について話しました。今回はより具体的に、社長から社長へ、あるいは社長から従業員へ、企業の価値観がどのように伝承しているのか、そのメカニズムについて説明します。ここでのプレイヤーとしては、現在の社長と次の社長、従業員、そして顧客やサプライヤー、地域の人びとが挙げられます。

多くの長寿企業において現在の社長は、次の社長をまず取締役などにして、10年などの長い期間をかけて育てていました。自分の傍らに社長候補を置き、一挙手一投足を見ながら議論を重ね、少しずつ経験を積ませていくのです。ある企業では、現在の社長と次の社長が本社に共にいる時には、毎日二人だけでランチをとっていました。そこでは、第三者が立ち入ることはできない、社長と後継者の二人だけの特別な関係が見られます。

もっともこの二人だけで価値観を共有しておけばよい、というわけではありません。やはり、従業員とも同様に価値観を共有していく必要があります。方法としては、トップダウンで語りかけたり、研修を行ったりといったものが見られますが、長寿企業においては、横―横の関係で共通体験を持たせて、価値観の浸透をはかるという例も観察されました。すなわち、クラブ活動や社員旅行、飲み会といった、共通体験を重ねることができるイベントが、非常に盛んなのです。昨今の日本企業では、これらをコスト削減という名目のもとでやめていく傾向にあります。そうした企業では、コミュニケーション不足で困っているという声がきかれます。クラブ活動や飲み会の開催は、現代の経営には似つかわしくないと見られるかもわかりませんが、長寿企業は、その結果としてコミュニケーションを深め、価値観を共有することで、300年を超えて存続しているのです。この点を鑑みれば、企業にとってこうした共通体験はやはり大事なのではないかと思われます。

また、理念を共有する、理念を繋ぐ相手として、社外の関係者を忘れてはなりません。具体的に言えば、顧客やサプライヤー、地域の人びとのことです。サプライヤーとは、部品を納品してくれる人、物を売ってくれる人、あるいはお店など、ビジネス上の取引がある相手を指します。長寿企業の理念は、こうした社外の人びとにも伝わっています。たとえばある企業がある理念を大事にしている場合、それは言葉や行動、意思決定を通して、取引先にも伝わります。その結果、取引先は、その理念をもって「さすが○○さん」と当該企業を褒めることになります。それをきいた企業内の従業員は、「ああ、やっぱりうちの会社で働いていたよかったな」、「うちが大事にしていることは、社外の人にもちゃんと認めてらっているんだな」という感覚を覚えます。このように社外の人の言葉を通して、自分が働く企業の良さや理念を理解することができるようになるのです。300年企業は、社外の人びとから感謝され、社外の人びとに感謝することで、価値観を外部と共有しています。同時に、自分たちが大事にすべき事柄を強く深く理解しています。このあたりが、長寿企業が長寿企業たる理由のひとつではないかと思います。

今日の話をまとめます。
企業において価値観を繋ぐという点を考えた場合、現在の社長と次の社長、従業員、社外の人びとが登場します。これらのプレイヤー間において、自社の理念なり大事なことが共有され、伝わっていくプロセスができあがっている企業こそが、長寿企業なのです。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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