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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑧ (リーダーシップ領域/田久保 善彦)

創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑧

田久保 善彦 リーダーシップ領域

15/01/09


これまで、創業300年を超え、かつ、企業の年間売上が50億円を超える長寿企業の秘密を探ってきました。今回は特に、ガバナンスについて話します。長寿企業は、自分たちにどのような規律を課し、どのように統治をしているのでしょうか。

企業事件が起きるたびに謝罪の記者会見が開かれているのをテレビでご覧になった方も、多くいらっしゃるものと思います。このようなことをなくすために企業は、ルールを作成したり、監視の役目のために社外取締役を役員会へ入れたりしています。日本型のサスティナブル企業も同様に、こうしたことをやっている場合もありますが、一方で、極めて高い倫理観にもとづいて自分を律するガバナンスのシステムを有しているという特徴も見られました。つまり、経営者や経営陣の倫理観を非常に強く保つ仕組みが、企業内に存在していたのです。

たとえば京都の伏見に所在する月桂冠では、歴代の社長が、地元の様々な要職や公職を引き受けてきています。月桂冠そのものが伏見のブランドになっている以上、役員の人たちの中にはそのことに関するプライドが生まれています。従業員も、「月桂冠の人だから」という信頼を地域からもらうことで、悪いことができなくなります。拙著『創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』(東洋経済新報社、2014)の共同執筆者のひとりは、創業数十年の地域のゼネコンの跡継ぎですが、「お酒を飲んだ状態でタクシーに乗りにくい」と話していました。タクシーに乗ると、運転手から「あなたのおばあちゃんには本当にお世話になって」などと話されてしまうそうです。このように地域に根差せば根差すほど、きちんとしなければならないという意識が従業員と経営者の中に育ち、背筋を伸ばさなければならない状態となるのです。それに加えて、お祭りの開催などによって地域に対する貢献活動や協力をたくさんしている以上、地域との距離が狭まり、ますます地域から信頼されていきます。人間は、信頼されてしまうと、悪いことをしようと思わなくなります。ここではある種の日本の恥の文化が影響を与えているかもわかりませんが、どんどんどんどん自律が促される方向に向かうようなシステムができあがっていると見ることができるでしょう。

一方で、長寿企業は神事や政事、仏事を非常に大切にします。千葉にあるヒゲタ醤油は、自社でつくった神社を有しています。毎日、神の存在を意識しているのです。その一点のみをとっても、悪いことをしなくなるという感覚が芽生えるだろうことは、日本人である私たちにはおおいに伝わってくるのではないでしょうか。300年企業ではありませんが、ソニーやパナソニック、花王も、神社を有しています。自社の敷地内に、神を意識する場を作っているのです。自分自身が抗えないものを頭の上に設定し、それに対して謙虚になった上で、常に意識しながら経営する。これが、自律を促すガバナンスとして、長寿企業には共通して見られるのです。

今日の話をまとめます。
一般の企業でも様々なガバナンスが行われていますが、長寿企業ではそれだけにとどまりません。300年×50億円企業は、自分たちの倫理観を高め、自分たちを律するメカニズムを、自社内に埋め込んでいるのです。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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