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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ドルを持とう (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

ドルを持とう

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/12/19

終戦後、日本は1ドルを360円とする固定相場制を採りました。その後、ニクソン・ショックやプラザ合意などがあり、ドルの値段は大きな流れとして安くなっていきました。ドル安円高のトレンドが1995年まで続いたのです。
ドル安円高が続くと、ドルを持っている人が損をします。長期間にわたるドル安円高で、損をした人は大勢いましたし、そうした人の話を見たり聞いたりした人も大勢いました。そこで、日本人の間には、ドルを持つ事を怖がる人が増えていったのです。
1995年を境として、大きな流れとしてドル安円高が進むことはなくなり、1ドルが80円から120円あたりで上がったり下がったりを繰り返すようになりました。従って、ドルを持つ事に対する恐怖心は薄れても良かったのですが、リーマン・ショックの後で再び円高となったため、多くの日本人が円高の恐怖を思い出してしまったのです。
しかし、状況は大きく変わっています。第一に、実際のドル相場を見ると、1ドル360円から80円までのドル安円高方向の大きな流れは、1995年に終わっています。
次に、かつては経常収支が大幅な黒字で、その分だけ外国に投資する人がいないと円高になってしまう、という状態でしたが、最近では経常収支の黒字は小さくなっています。一方で、海外への投資は増えています。日本の人口が減って行く中で、海外に進出しないと発展していくことが出来ないと考える企業が増えているからです。つまり、ドルを売る人が減って買う人が増えているのです。こうなれば、ドルが高くなる力が自然と働くはずです。もちろん、ドルの値段を動かす力はいろいろありますので、確かなことは言えませんが、ドルが高くなる力が働きやすくなっている事は間違いないでしょう。
しかも、今後日本は長期的に少子高齢化で労働力が不足していきます。そうなると、現役世代は介護に忙しくて製造業で働ける人がいなくなり、貿易収支は大幅な赤字になるかも知れません。その時には、輸入のためのドルを買う注文によってドルが高くなっていくでしょう。
こうして考えると、短期的にはともかく、長い目で見ると、ドル高円安が進みやすいと言えるでしょう。少なくとも、かつて大きな流れとして360円から80円まで円高が進んだ時のような事は起きないでしょう。
ドルを持つ事のリスクが小さい事は御理解いただけたとして、ではドルを持つ事のメリットは、何でしょうか。それは、ドル高によりインフレになるというリスクへの備えです。
将来、少子高齢化で経常収支が大幅なマイナスになれば、輸入代金の調達のために大幅なドル高になるでしょう。
もしかすると、数十年のうちには大災害が起きて、日本の製造業が壊滅的な打撃を受けるかも知れません。そうなれば、輸入が激増して大幅なドル高となります。
あるいは、日本政府が破産するという噂から国債が暴落するかも知れません。そうなれば、外国人投資家が国債を売った代金でドルを買い、本国に逃げ帰るでしょうから、これもドル高になるでしょう。
こうしてドル高になると、輸入品の価格が上昇しますから、インフレになります。その時に、資産のすべてを現金や預金で持っていると、インフレで資産が目減りしてしまいますが、ドルを持っていれば、そのドルを高く売って生活費を補う事ができるでしょう。
ドルでなくとも、他の外貨でも、同じような効果は期待できますが、私としては、ドルをお勧めします。特に、高金利通貨はお勧めしません。
ブラジルやオーストラリアなど、金利の高い通貨は人気があるので、投資をしている方、考えている方は多いと思います。ハイリスクである事をわかった上でハイリターンを求めるのであれば、構いませんが、少なくとも老後の生活資金はリスクを避けて安全に運用すべきだと思います。金利が高いという事は、何か理由があって、金利を高くしないとプロがお金を貸してくれないという事です。リスクが大きいように見えなくても、プロがリスクがあると判断しているのですから、その事はしっかり理解していただきたいと思います。
安全策というと、外国の株式への投資はどう考えればよいのでしょうか。これについては、国内と同様に、外貨の一部を株式にも割り振るべきだと思います。考え方も、国内と同様で、現金や預金や国債で持っていると、インフレで資産が目減りしてしまうため、そのリスクを避ける事が必要なのです。
外国の株式は、米国のものに限りませんので、幅広く分散投資をしましょう。そのためには、投資信託やETFを活用しましょう。ETFというのは、上場している投資信託で、普通の投資信託よりも手数料が安い事が特徴です。米国の平均株価に連動するETFでも結構ですが、広く先進国の株式に投資するのであれば、MSCIコクサイという指数に連動するETFがありますので、これも一つの選択肢になるはずです。

まとめ:老後のための資産運用を考えるならば、資産の一部はドルで持ちましょう。様々なリスクに対する備えになりますし、遠い将来にはドル高円安になっている可能性が高いからです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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