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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 今の長期金利 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

今の長期金利

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/12/17

前回は、長期金利が今後10年間に予想される短期金利を平均したものだ、という原則を御話した上で、リスクプレミアムとか市場の需給とかによって、長期金利がある程度上下する、というお話をしました。今回は、これに沿って、今の長期金利が非常に低いのは何故か、考えて見ましょう。
長期金利が非常に低い最大の理由は、短期金利が低いことです。日銀は、金融政策によって、短期金利をゼロに誘導しています。「物価が上がっているのに金利がゼロなんだから、貯金なんかしないで買い急ぎをしましょう」「借金して工場建てるなら、金利が低い今でしょ」ということで、景気を回復させようとしているわけです。
問題は、日銀のゼロ金利政策がしばらく続きそうな事です。日銀は、消費者物価指数が消費税の影響を除いて2%程度上がることを目標としていますが、その目標が達成されるまでには相当長い時間が必要だと人々は思っています。つまり、多くの人が「短期金利はしばらくゼロが続くので、今後10年の短期金利の平均も相当低いだろう」と予想している、というわけです。だから長期金利が低いのです。
今一つ、需給関係も重要です。日銀が金融緩和を行う時には、市場に流通している長期国債を購入して対価として支払った現金を市場に流通させる、という手法が用いられます。公開市場操作とか買いオペとか呼ばれているものです。
今回の金融緩和は、あまりにも大規模なので、市場に出回っている国債を日銀が片っ端から買ってしまうというイメージになっています。買い注文が圧倒的に多いので、値段が非常に高くなっているのです。国債の値段が高いという事は、利回りが低いという事になるわけです。
同じ事を別の言い方をすると、日銀が長期資金の貸出に非常に熱心で、借りたい人よりも貸したい人の方が多くなっているため、長期金利が下がっている、という事になります。
今一つ重要なのが、人々の思惑です。長期国債を買うのは、資金を10年間運用しようという人ばかりではありません。1年間だけ資金を運用しようと考えている人でも、「1年後には今より長期国債が値上がりしているだろう」と思えば、今のうちに長期国債を買っておこうと考えるからです。こうした人が増えると、長期国債の値段が上がり、長期金利が下がります。では、そういう人は多いのでしょうか。
日銀は、消費税の影響を除いて2%の消費者物価上昇率を目指していますが、なかなか日銀の思うように消費者物価が上がって来ません。私たち消費者としては、物価が上がって困っていますが、消費税が上がって私たちが苦しくなっている部分は、日銀は考慮しないのです。増税の分ですから、当然ですね。
そこで、日銀が追加の金融緩和をするだろうと考えている人が大勢います。追加の金融緩和という事は、今までよりも更に多くの国債を日銀が買うという事ですから、長期国債の需要が更に増えて、長期国債は更に値上がりするでしょう。そう考える人々は、その時に長期国債を売ろうと考えて、今のうちに買っているのです。だから、今の長期国債の値段は既に非常に高くなっているのです。
来年か再来年かになって、消費者物価上昇率が2%になると、日銀は金融緩和をやめるでしょう。つまり、長期国債の大量購入を止めるのです。そうなれば、長期国債の需給関係が大きく変わり、長期金利が大きく上昇するかもしれません。
また、日銀の追加緩和を予想して長期国債を買っている人も、そうなれば買わなくなりますから、一層大幅に長期金利が上がるかもしれません。
そうなったら、資金運用の一つの手段として長期国債を買う事を考えても良いでしょう。しかし、今の時点で非常に低い金利で資金を10年間固定してしまうのは、是非とも避けたいですね。
では、老後のための資金を長期間運用したいという場合には、どうすれば良いのでしょうか?国債を買うならば、個人向け国債の10年物がお勧めです。これは、金利が半年毎に変わっていくので、今の低い金利で資金を固定してしまう事がありません。
今一つ、物価連動国債もお勧めです。10年後の償還額が、10年後の消費者物価指数に連動するので、今後10年間にインフレが来ても、投資額が目減りしないのです。
国債だけではなく、株と外貨も買いましょう。株は、インフレに強いと言われています。企業の売値も買値も人件費も利益も二倍になれば、株価も二倍になるはずだからです。
ドルをもっていれば、様々なリスクに対する備えになります。日本が少子高齢化で人手不足となり、経常収支の赤字が続いて外国から輸入する外貨が足りなくなるとすると、ドルが値上がりするでしょう。日本国債が暴落した場合や、大災害に見舞われた場合にも、ドルを持っておけば安心です。
従って、ドルと株とさきほどの国債を、バランスよく持っている事が、リスクを避けながら長期に資金を運用する際には重要なのです。

まとめ:今の長期金利は非常に低いので、固定金利の長期国債を買うべきではありません。日銀の極端な金融緩和が終わるまで、長期国債の購入は待つべきです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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