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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > グローバル・トレード② (国際経営、国際物流/星野裕志)

グローバル・トレード②

星野裕志 国際経営、国際物流

14/12/05

昨日は、世界のトレードを支えてきたアジアとヨーロッパを繋ぐ欧州航路と、アジアと北米を繋ぐ北米航路が、一世紀以上にわたってスエズ運河とパナマ運河に依存してきたこと、そしてこれらのふたつの運河を中心とする枠組みに対して、新しい動きが続々と出てきたとお話しました。昨日は、特に北米航路についてパナマ運河の拡張工事とニカラグアに新しい運河の建設のことでした。今日は、欧州航路に関して、スエズ運河の拡張、北極海航路の開設、シベリア鉄道の再活用についてお話したいと思います。

まずは145年の歴史を持つスエズ運河ですが、今年の8月に現在の全長163kmの隣に平行して、南側に72kmの運河を建設すると発表しました。南側に新しい運河を掘削し、北側は現在の運河を拡張することによって、これから5年間で全体が拡幅されることになります。

現在でも、スエズ運河では、船の水深である喫水が20メートル以下、または載貨重量トン24万トン以下というパナマ運河に比べても相当大きな船舶が通行できるのですが、この拡張工事で、巨大なタンカーなども通航が可能ということになります。なぜこのタイミングで計画が発表されたのかというと、やはりパナマ運河の拡張工事の完成が見えてきたからだと思います。少しでもパナマ運河に流れる船舶や貨物を食い止める必要があるからでしょう。

次に北極海航路ですが、ロシアでは北欧に近い北部のカラ海からベーリング海峡を繋ぐ航路を研究してきました。これはヨーロッパと東アジアを繋ぐ最短距離であり、スエズ運河を経由するよりも、3割から5割程度短縮が可能になるそうです。実際に、北極海航路の航海は、2010年から実験的に続けられてきたようですし、2013年からはロシア政府が実用化に向けて法律も改正しています。
国土交通省から出された興味深い比較があるのですが、液化天然ガスをLNG船でノルウエーから千葉まで輸送するコストです。距離で言うと、北極海航路は最も距離の長いスエズ運河経由の4割程度、パナマ運河の6割弱です。トン当たりのコストで言えば、北極海航路を使えばスエズ運河経由の6割弱、パナマ運河経由の7割程度ということになるようです。実際に、北極海航路を使って、実際にノルウエーから北九州に液化天然ガスも輸送されています。

まだまだ夏の間の6月から11月頃までしか航行できないことや砕氷船のサポートが必要であり、課題も多いようですが、ヨーロッパと中国を中心とする東アジアの輸送が、このルートを本格的に利用するのも間近なようです。やはりこのような動きも、地球の温暖化にも関わってくるのかと思います。

最後にご紹介するのは、シベリア鉄道です。全長9,289kmのシベリア鉄道は、もちろん世界でも最も距離の長い鉄道ですが、日露戦争中の1904年に全線が開通しています。このシベリア鉄道をアジアとヨーロッパのトレードに活用するというアイデアが、「シベリア・ランド・ブリッジ・サービス」として早くから実用化されています。1980年代初頭には、アジアとヨーロッパの貨物の1割近くが、このシベリア・ランド・ブリッジを利用されていました。

例えば、日本からコンテナ船で貨物がロシアのナホトカ港に輸送され、ここでシベリア鉄道に積み替えられます。モスクワでヨーロッパの各都市に向かう鉄道に接続すると、35日前後で到着します。これは、スエズ運河経由の海上輸送に比べて、6割くらいの所要時間になります。ソビエトの崩壊で、鉄道の運営やメンテナンスが低下し、一時は安定性と信頼性が欠けるために、輸送量が激減しました。そして今再び、「シベリア・ランド・ブリッジ」が見直されています。

日本では、成長するBRICsのひとつのロシアのサンクトペテルブルクに、自動車メーカー各社が工場を稼動させているので、ここ向けの自動車部品の輸送などに最適ですし、韓国や中国企業も着目しています。その後設備投資や技術革新が進んでいますし、今後単線区間の複線化が進めば、脚光を浴びるでしょう。

グローバルなトレードを支える国際輸送に関して、従来の枠組みを大きく変える新しい動きが、最近続々と提示されていますので、今日はアジアとヨーロッパのトレードを中心に解説をしました。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

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