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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > グローバル・トレード① (国際経営、国際物流/星野裕志)

グローバル・トレード①

星野裕志 国際経営、国際物流

14/12/04

この夏は、8月にパナマ運河の調査でパナマに、9月にシベリア鉄道の調査でロシアの極東地方に出張してきました。パナマ運河は、全長約80キロで太平洋と大西洋を結んでいますが、そのふたつの海を車ならわずか一時間で移動することができます。不思議な感覚でした。シベリア鉄道は、極東の終点であるウラジオストクからモスクワまで、7日間かかりますが、その最初の2日分だけを寝台車で往復してきました。別に鉄道や乗り物が好きというのはなく、どちらもこれから世界のトレードがどのように変化するのかというロジスティクスの研究のための出張ですが、両方共にとてもおもしろい体験でした。

かつて、北米、ヨーロッパ、アジアの三極を結ぶ三つの海上交易路は、世界三大航路と呼ばれていました。北米とアジアを結ぶ北米航路、ヨーロッパとアジアを結ぶ欧州航路、北米とヨーロッパを結ぶ大西洋航路です。これらが世界三大航路と呼ばれた理由は、世界のトレードの中でも貨物の輸送量が飛び抜けて多かったからです。現在は、これらの三大航路よりも、アジアの域内の貨物の輸送量が上回っています。今日と明日はそのような世界の貿易の大動脈であるグローバル・トレードの経路についてお話をしたいと思います。

頭の中に地球儀を描いていただきたいと思います。アジアからヨーロッパに向かう船は、スエズ運河を通行します。アフリカ南端を経由するよりも、スエズ運河を通行する方が、6千キロ近い近道になるからです。それでは、アジアから北米の中でも東海岸に向かう船を考えてください。同様に、南米の最南端を通るよりも距離が短いので、パナマ運河を通行することになります。これもパナマ運河の通航で、8千キロ以上の短縮と言われています。つまり三大航路の内の2つが、運河を通行することを前提に航路が開設されています。

スエズ運河が完成したのは、明治維新の翌年の1869年11月ですから、もう145年も前のことです。またパナマ運河の完成は、第一次世界大戦の始まった1914年の8月ですから、この夏に100周年を迎えました。このように世界のトレードは、一世紀以上も前に建設された2つの運河に依存していることになります。
そんな一世紀以上も変わらなかった枠組みに、いくつかの新しい動きが出てきています。パナマ運河の拡張工事、ニカラグアに運河の建設、スエズ運河の拡張、北極海航路の開設、シベリア鉄道の再活用などですが、これらは新聞などで目にされたことがあるかもしれません。

まず今日は北米航路の運河についてお話をすると、パナマ運河は現在拡張工事を行っていて、おそらく2016年の2月くらいには完成すると言われています。本来は今年8月の百周年に向けて工事が進んでいたのですが、受託した建設企業のトラブルなどで遅れています。完成すると現在よりもかなり大型の船舶が通行できるようになりますし、液化天然ガスのように今までは通行できなかったような種類の船舶も利用できることになります。現在でも毎年1万4千隻が通行して、2億8千万トンの貨物が輸送されていると言われていますので、拡張後はそのパイプがもっと太くなると言えます。

そこに目をつけたのが、中国企業です。ニカラグアに運河を建設すると発表しており、香港ニカラグア運河開発投資有限公司という企業が設立されています。計画では、今年の12月に着工し、2019年には完成の予定だそうです。実は、パナマ運河を建設するときにも、パナマとニカラグアというふたつの選択があったようですが、当時は火山の影響などでパナマになったようです。

ニカラグアは、パナマよりも北ですから、確かにアジアと北米の東海岸を繋ぐルートとしては、パナマ運河経由よりもさらに短縮になるというメリットがあります。しかし本当に予定されている建設費用の400億ドルでできるのか、パナマ運河の全長80kmに対して、278kmもの運河が、わずか5年でできるのかと疑問視はされているようです。また生態系の影響も心配されています。

今日は、北米とアジアを結ぶ北米航路、ヨーロッパとアジアを結ぶ欧州航路、北米とヨーロッパを結ぶ大西洋航路の世界の貿易の大動脈である世界三大航路について解説し、グローバルなトレードの仕組みを変える大きな動き、特に今日はパナマ運河の拡張とニカラグアの運河建設について紹介しました。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

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