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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 「グローバル創業都市・福岡」の実現で大切なこと(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

「グローバル創業都市・福岡」の実現で大切なこと(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/12/03

【今回のまとめ】
・「グローバル創業都市・福岡」の実現には、(1)集積効果を高めるため、力を入れる産業分野を明確に打ち出すこと、(2)成功者が定着し、地元でカネを使ってもらうこと、(3)息長く継続すること、の3点が重要だ。

・前回、福岡市が「グローバル創業都市・福岡」構想に至る経緯や、既に動き始めている具体的な施策について紹介した。今回、そのビジョンを実現する際に重要なポイントについて考えてみたい。

・以前の放送で、イノベーション産業は、特定の地域に集積する傾向があり、そのような産業集積が地域にもたらす雇用の乗数効果(波及して雇用を生み出す効果)は5倍にも達することを紹介した。また、イノベーション産業の集積には、「高度な人材が集まることによる知識の伝播」や「スター研究者の存在」、更に、長期間にわたって地域が「目標を共有し活動を継続する」ことが重要であることに触れた。

・イノベーション産業が特定の地域に集積するのは、フェイストゥフェイスで知識を伝播する必要があるからだ。ここで、「知識」の伝播に伴って「資金」や「人材」も連動することを忘れてはいけない。例えば、ベンチャーキャピタル投資やそれに関連する人材も集積の傾向を持つ。10月17日付のウォール・ストリート・ジャーナル(web版)によると、2014年(第3四半期まで)の米国でのVC投資額は、シリコンバレーやロサンゼルスを擁するカリフォルニア州で223億ドル(約2.3兆円!)、ニューヨークが34億ドル(約3,700億円)、ボストンを擁するマサチューセッツ州で33億ドル(約3,500億円)とのことだ。カリフォルニア州はマサチューセッツ州の6.8倍。知識の集積に加え、資金や人もカリフォルニアへ集積している。
・実は、MIT(マサチューセッツ工科大学)の卒業者がどこで起業するかを経年調査した結果では、大学卒業後にMITのあるボストン(正確にはケンブリッジ)を出て、シリコンバレーで起業する率が増加しているのだ。以前は地元ボストンでの起業が圧倒的だったが、2009年時点で、シリコンバレーでの起業率28%と同率になってしまった。

・以上を踏まえて整理すると、福岡市の「グローバル創業都市」構想を実現するためには、以下の3点が大切と思われる。
(1)力を入れる産業分野を明確に打ち出すこと:現行の構想からは、どの分野の創業を伸ばしていくのかが、いまひとつ明確に伝わってこない。先に述べた知識の伝播は、突出したキーパーソン(orスター研究者)を中心に人的ネットワークが形成されるから集積効果が高まる。逆に、全く関連のない分野がバラバラに乱立する状態を放置すると、集積度が不足し、自律的な成長の臨界点(クリティカル・マス)に達しないことが懸念される。また、そのためには、県・市・国など行政間で施策を連携させ、資源投入の効果を高めるべきだ。
(2)成功者が定着し、地元でカネを使ってもらうこと:シアトルのように地域内のエコシステムが機能し、イノベーション産業がもたらす雇用の乗数効果を高めるためには、"リッチ"な富裕層(個人/法人)が必要だ。マイクロソフト社員の平均年収は17万ドル。成功した企業やその社員が地元で消費することで、シアトル全体が潤っている。福岡がイノベーション産業立地の恩恵を受けるためには、成功者(社)が福岡に定着し続け、富裕層に地元で資金を使ってもらうことが重要だ。間違っても、福岡が「成功の踏み台」に留まり、成功後の域外流出を招くようなことがあってはならない。
(3)息長く継続すること:以前の放送でも紹介したが、地域が一丸となってイノベーション産業の集積を進めてきたテキサス州オースチンやノースカロライナ州リサーチ・トライアングルの事例では、長い間トップが地域づくりのビジョンを掲げ続け、リーダーシップとボトムアップとで様々な施策を組み合わせて、産業の集積を図ってきた。途中で市長が変わろうが政権与党が変わろうが、地域自身が「目標を共有し、長きに渡って活動を継続する」ことが不可欠だ。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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