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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑤ (リーダーシップ領域/田久保 善彦)

創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか⑤

田久保 善彦 リーダーシップ領域

14/12/23


今回は、創業300年以上であり、かつ、年商が50億円を超える企業が、どのような経営スタイルを維持してきたのかという点について話します。一言でいえば、「身の丈の経営」が共通のキーワードとなります。「分相応」とでも言いましょうか。傍から見てどうこうという問題よりも、経営者が「我々はこういう会社だからこれくらいの質素倹約をしよう、我々はこういう会社だからこれくらいのチャレンジをしよう」という、無理のない、身の丈に合った経営を心掛けているのです。

今から25年前、バブルと言われた時代が日本にはありました。あの頃は様々な企業が、やったこともないのに株式投資や土地購入をして、自分の本業ではないところに手を出した結果、経営悪化に見舞われました。

他方、長寿企業は、バブルの時代においても余計なことはほぼしていません。つまり、「そこには我々の強みがない」という認識を持っていたのです。たとえば昔、国がやっていた事業を民間へ払い下げることが行われました。国がやっていた事業を民間事業者へ落としますので、その事業には確実にニーズがあって、確実に儲かると考えられます。しかし、岡谷綱機は、そうした状況においてさえ、自身の強みを活かせる領域でないため、一切引き受けませんでした。「浮利を追わず」、そして、前回までに話したコア能力をベースとした質素倹約。こうしたスタイルの経営を、これまで貫いてきているのです。

それでは長寿企業はまったくチャレンジをしないのかと言えば、そんなことはありません。たとえばワンカップ大関を最初に作った企業は、300年以上続く月桂冠です。鰹節のフレッシュパックを作ったのも、同じく長寿企業のにんべんです。このように色々なチャレンジをしている一方で、大火傷するようなチャレンジ、自分たちの強みをまったく活かせないチャレンジ、無謀な道に出ていく、といったことは、絶対にしていません。

その裏側には、継続に対する執念があります。そのため、「来年20%は伸びるけれども、再来年はよくわからない」という経営を行いません。「今年も2%、来年も2%、再来年も2%」といった按配に、ちょっとずつでも伸びていく、継続していくことが大事なのです。そのために、致命的なリスクを負うことはやりません。このようなスタイルで経営を続けてきたからこそ、300年企業なのです。

質素倹約なスタイルを貫く長寿企業は、多く見られます。大阪のヒガシマル醤油は、社員が皆、ヒガシマル醤油円という社内通貨を持っています。たとえばある人が会議に呼ばれれば、一時間の時間をドロップすることになります。そこでは、本当はコストが発生しています。しかし一般の会社では、そうしたことを気に留めないまま、ほとんど何も決まらないままのような会議へ人を呼び続けています。ヒガシマル醤油では、会議へある人を連れてくるためには、1ヒガシマル醤油円を支払わなければなりません。5人を会議に連れてくるためには、5ヒガシマル醤油円を支払います。このようにわかりやすいコンセプトを取り入れることで、社員に非常に高いコスト意識を植え付けているのです。

以上のように、300年企業は、質素倹約や自分たちが強みにしない所にいきなりノリと勢いで出ていかない、やる時は大怪我をしない範囲でやる、といったことを、是として経営しています。急成長する時もその波に乗ってしまうということはせず、また、簡単に儲かるような仕事に手を出すこともなく、あくまでも自分たちの強みにこだわっているのです。一方で、本当に緊急な時には、大胆な意思決定をします。そのような経営スタイルを貫いているところに、300年企業の特徴が見られます。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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