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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 手垢の効果 (Contamination) (マーケティング/岩下仁)

手垢の効果 (Contamination)

岩下仁 マーケティング

14/12/12

今日は、私たちが何かを購買する際に、まったく知らない他人からも影響を受けているということについてお話していきたいと思います。

通常「他者」というと、例えば家族であったり、友だちであったり、知人から影響を受けるということが、マーケティングの世界で研究されてきたわけですが、最近では我々が物を買う際には全く知らない垢の他人からも影響を受けているということが言われるようになってきました。

これから皆さんには、2つの場面のイメージしていただきたいと思います。

まずカフェに行った場合をイメージしてください。席は空いていますが、奥の席はお客さんがたくさん座っています。エントランスに近い席にはまだ人はいません。皆さんは1人で来店し、コーヒーを買って座るわけです。皆さんは手前の誰もいない席と奥の全く知らない人がいる席のどちらに座りますか?

次に、皆さんがお友だちと5人でカフェに行ったとします。そして同じようにコーヒーを買って座ろうと考えた場合、手前と奥の席のどちらに座りますか?

1人で行った場合と友だちと行く場合では、席に座る場所が変わってくるのではないでしょうか。

これは実は知らない他者から影響を受けていて、前者の1人で行っている場合には人のいる傍に座る人が多いと言われています。これは実は「集団の欲求」というものが関係していると考えられています。マズローの有名な理論があるのですが、人間は本能的に集団の中に属したいという欲求があり、それが働いて他人の傍に寄りたくなるというのです。

知らない人であっても、やはり人がいるところに何か傍に行きたいという欲求があるのです。1人でぽつんと座っているとどこか孤独を感じてしまうわけです。
しかし、後者の友人と一緒のケースでは、「集団の欲求」は満たされていますから、垢の他人からの影響を受けないので手前に座ると言われています。

このように、垢の他人から影響を受けているということですが、これがマーケティングの世界でどんな風に活かされているのかについて事例を挙げながら説明したいと思います。

では皆さんには、書店に行ったところをイメージして頂きたいと思います。
これも2つケースがあるのですが、1つ目の書店は一寸の乱れも無く整然と本が並べられ、誰も触れていないようなただカチッと非常に綺麗に本棚に本が積まれているといった状況です。
もう1つのケースは、読んだ人の痕跡が雑然と残る書店です。皆さんは、どちらの本屋さんで本を買いたくなるでしょうか。

これは、実際にある研究者が試した実験なのですが、雑然とした本屋さんで本を買いたくなるということが明らかになっています。雑然と積まれた本屋さんの売り上げの方がきれいな本屋さんより多くなったということです。
どういうメカニズムが働いていたかというのが重要なのですが、他者の「手垢」から消費者が影響を受けていたといえます。「手垢」は、我々コンタミネーションにおいて「汚染」などを意味しますが、要はお客さんが読んだ痕跡が残ることによって、何かその商品に触れやすいとかその商品に対しての補償みたいなのを感じることができるということです。

つまり、積まれている本の1番上とか2番目など触った感じがある方が、「あ、誰かが興味関心を持ってくれたんだな」というのが心理的に働き、自分もちょっと手にとってみようかなと思うということです。

そのため、あまりにもカチッと一寸の乱れも無く本を並べるよりも、この手垢の効果を考えて売り場を設計した方がいいということになります。

よく書店では、見本など中を見ていいですよという本が置いてありますが、こういった展示方法のように、何か手に取った痕跡が残るように売り場を作ると、お客さんが手に取りやすくなると言えます。

一見、ピチッと本を並べる方が良いように思いますが、実はそういうことではなく、少しくたっとしたくらいの方が手に取りやすいというところがこの手垢の効果の面白いところだと言えます。

今日は、実は我々は全く自分の知らない他者から物を買う時に影響を受けているということについてお話しました。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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